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2019.05/18 粘弾性測定

高分子のレオロジーについて調べようとすると粘弾性測定装置が必要になる。粘弾性測定装置には、歪制御の装置と力制御の装置がある。

 

すなわち、歪制御の装置では、歪を一定にするように動作し、力制御の装置では、力を制御して歪を一定にしようと動作している。

 

10年ほど前の価格では、力制御の装置のほうが安かった。コンパウンドの品質管理用に購入したのだが、普通に温度分散を測定している分には問題なかった。

 

しかし、品質管理用にある特殊な測定をしたときに困った。少し挙動が異なるのだ。少し特殊な手順で弾性率の乱れ(偏差)を見ていたのだが、それが小さいのだ。

 

歪制御の装置で計測される偏差の20%ほどしかなく、品質管理用には感度不足となった。面白いことに測定モードを変更したところ、感度が上がった。

 

粘弾性装置だから変更すると言っても時間のファクターである周波数(振動数)だが、これを変更して歪制御の装置と測定結果が一致したのだ。

 

品質管理用なので、とりあえずこれで仕様を決めなおし、ことなきを得たのだが、測定データに対して時間温度換算則を使う時に問題が起きることに気がついた。

 

退職後聞いた話では、コンパウンド工場を移転した時にコンパウンドの品質基準を見直し、粘弾性評価を廃止したと聞いた。すなわち、5年間の品質検査で異常が起きなかったから不要な検査と判断されたらしい。

 

CDのために品質規格を見直し、不要な検査を廃止するということは常套手段である。しかし、品質評価項目の中には、機械の寿命とも関係している項目があることを知っておくべきだ。

 

すなわち、一般に設備が劣化すると品質のばらつきが大きくなってくる。当方は、それも管理できるように粘弾性装置をややトリッキーな使い方で品質評価するように決めたのだ。

 

残念であると同時に中古で導入した二軸混練機が心配になってきた。ゴム会社でQCの心得を学び、その思想でカオス混合という世界初のプラントを約13年前に稼働させたが、トラブルは何も起きていない。

 

しかし、その安定なプラントも管理技術が骨抜きになっていったらどうなるか。今のところ何も問題が起きていないので、過剰な品質検査だった、という評価になっている。しかし、この粘弾性を活用した品質検査を当方は過剰とは思っていない。

カテゴリー : 高分子

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