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2019.06/24 高分子のプロセシング技術(5)

セラミックスでは、0.5μm未満の粉末を成形に必要な添加剤といっしょに混合後、製品の形状に近い成形体(この密度は原料に全く空隙が含まれない場合の65%以下となる。)に加工する。

 

これを高温度の炉の中に入れて焼結という反応を行う。焼結では、サブミクロンの粒子が成長しながら緻密化してゆく。粒成長と緻密化が同時に起きて成形体密度は理論密度の90%以上に達する。

 

焼結されたセラミックス成形体の概略ミクロ構造は、金属やSiCなど一部の無機材料で粒界相が存在しない場合もあるが、あたかも高分子の海島構造のようで、海に相当する粒界相は結晶をつなぎとめるノリの様な働きが主な機能である。

 

この構造サイズを説明すると、茶碗や衛生陶器では、結晶の大きさは不揃いで数10μmから100μmまで達する場合もある。

 

しかし、SiCやSi3N4などのエンジニアリングセラミックスでは、10μm前後あるいはそれ以下に制御された構造となる。

 

ホウ素とカーボンを添加したSiC配合物スラリーから製造した成形体のミクロ構造の写真について。棒状に見える組織は6h型平板結晶の断面である。原料のSiC粉末の平均粒径は、0.1μm前後であり、これが10μm前後の結晶まで成長している。

 

また、この成形体では、粒界相の有無が1980年代に議論されたが、研究の結果、結晶と結晶の界面にはホウ素の存在だけが確認され粒界相は存在しないと結論された。ホウ素とカーボン以外の配合によるSiC成形体では粒界相が見つかっている。

 

今では体系化された形式知から、セラミックスの機能をその結晶構造から推定することができる。

 

結晶と機能の関係が体系化されているので、セラミックスのプロセシングでは、目標とする結晶をどのように作りこむのかが技術課題となっている。

 

ただし、X線回折データから同定可能な結晶については、14のブラベイ格子のいずれかの構造に属することが知られているので組成分析データが得られているならば、プロセシングの結果得られる生成物の管理を形式知の活用で可能なので、こうした技術課題について体系化された形式知と若干の経験知で解決できる。

カテゴリー : 高分子

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