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2019.06/29 やりがい詐欺が話題になっているが

ゴム会社に入社し、半年間の研修生活の後に研究所へ配属された。研修では、半年は試用期間で10月の配属後が本採用とか、2年間は査定がつかないから思い切り頑張ってほしいとか、企業人としての基礎を教育された。

 

研究所に配属されて一年間の新入社員テーマとして樹脂補強ゴムを担当した。指導社員は当方が初めての部下と言うことで優しく丁寧に指導してくださった。

 

午前中が座学で午後が自由に仕事ができる時間、という毎日だった。研修期間とこの指導社員のおかげで、残業代がつかないとわかっていても、毎日深夜まで仕事をして、徹夜まですることもあった。

 

今で言うところの「やりがい詐欺」状態と言われるかもしれないが、この時の3ケ月は混練について生の貴重な勉強の機会でもあった。

 

「ロール混練ではカオス混合が行われているかもしれない。それを連続式混練機で実現できるのは君しかいない」と言ってくださった指導社員は、本気で言われたのか冗談だったのか知らないが、少し信じてみた。

 

恐らくマンツーマンの朝の座学の時間によく居眠りをしていたので、気合を入れるための一言だったのかもしれない。しかし、カオス混合と言う響きは40年以上も耳に残っている。

 

ゴム会社では、やりがい詐欺状態の末、FD事件で転職したので、おそらくこの会社で出した成果、樹脂補強ゴム、燃焼するとガラスが生成して難燃化する技術、フェノール樹脂天井材、電気粘性流体の耐久性改良技術、電気粘性流体を実現できる傾斜粉体はじめ3種の粉体技術、ホスファゼン難燃性油、30年続いた高純度SiC事業立ち上げについて特許等を証拠に訴えたらそれなりに報われたかもしれないが、訴えていない。

 

 

樹脂補強ゴムやフェノール樹脂難燃剤は、一人で担当していたわけでもないので、という理由からではない。これらの仕事で確実に自己実現できたからだ。

 

 

FD事件の舞台となった電気粘性流体の仕事ではいじめと言ってもいいような状態で、業務を担当しながら業務情報の詳細を見せていただけず、カヤの外で仕事をさせられた。

 

 

しかし、そのおかげで未知の業務で最先端の情報を得る方法を編み出すことができた。インターネットなどない時代である。すべてポケットマネーで活動しておりこの時の領収書もとってあるのでこのお金ぐらいはゴム会社からもらいたいと思っているが時効である。

 

 

ほとんどゴム会社では報われることのない、むしろ労働者としては大赤字状態だが、それでも「やりがい詐欺」と会社を訴えなかったのは、お金に代えがたい「知」を大量に指導していただいたからである。FD事件で退職と言う決断ができたのも当方を指導してくださった多くの方がいたからである。

 

 

セラミックスのキャリアを活かせない写真会社へ転職したのは、ヘッドハンティング会社から技術マネージメントができればよく、専門性は問わない、と言われた。200万円前後年収が上がる条件と将来の約束を提示されての転職だった。

転職先では、転職後にリストラとかその後会社の合併とか散々の状態で転職時の約束など反故にされて、出した成果に対してもそれはマネージャーとしての成果ではないと言われ、うやむやのまま。

この会社ではやりがいが無くなるような日々だったが、会社が倒産しそうだったので必死で働いた。管理職としてこのような感覚を味わえたのは貴重な体験かもしれない。

その結果、酸化スズゾルを用いたフィルムの帯電防止技術、インピーダンス法によるフィルム評価技術、フィルムの表面処理から射出成型まで環境対応高分子技術、ポリマーアロイコーティング技術、有機無機複合ラテックス技術、ホスファゼンの写真感材への応用技術、その他PPS中間転写ベルトやシリコーンLIMS改良など20年間十分すぎるぐらい貢献できた。

しかし、同じ時期に転職していた10歳年上の人ほど処遇されていない。この方は定年退職まで毎日何をされていたのか知らないが、会社の倒産リスクの高い情報を見ても我関せず、たいした成果を出さずに良い処遇を受けていた。

当方も最初はよい処遇だったので気がつかなかったが、日本のサラリーマンはどのように働けば出世できるのかと言う見本になるのかもしれない。ただし、日本のGDPはバブル崩壊後停滞したままである。

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