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2019.08/28 高分子のプロセシング(38)

溶解理論の拡張過程で、1941年に高分子の相溶に関するFlory-Huggins式が登場している。格子モデルに用いられた2種類の高分子では同じサイズの構造単位から構成され、これらが規則的な格子を埋めていると仮定している。

しかし、二種の高分子を混練しても、あるいは溶媒に溶解してブレンドしたとしてもこのモデルに示されたような現象は自然に起きない可能性が高い。あくまでもこのモデルは理論式を導くために考案された仮想モデルである。

さて、混合に関するGibbsの自由エネルギーは⊿Gmix=GAB - (GA+GB)となる。ここでGA、GB、GABは、それぞれ分離した状態の成分Aと成分B、および混合状態のGibbs自由エネルギーを表す。

すなわち、この表現は、混合状態の自由エネルギーから、相分離して独立した相となったときの自由エネルギーを引いただけである。

この式についてFlory-Huggins理論では、⊿Gmix=-T⊿St + ⊿Glocと表す。

⊿Glocは(GA+GB)であり、これはモノマー-モノマー対の相互作用の性質によって、混合を促進する方向にも妨げる方向にも働く値を示している。すなわち添え字「loc」は、混合によるモノマーの局所的相互作用変化を表している。

-T⊿Stでは、すべての高分子鎖の重心の運動に関するエントロピーが、混合によって増加することを意味している。ここで⊿Stは並進エントロピーの増加を表している。

⊿Gmixについて混合過程の二つの主要な側面をこれら二つの寄与で表すことができるが、必要なのは⊿Stと⊿Glocについての具体的な式である。

カテゴリー : 高分子

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