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2019.12/11 レオロジーと不易流行

科学成立以前の時代に、日々の営みの中で自然界から有用な機能を人類が取り出して技術を開発してきた。この自然界と対峙する姿勢について不易流行という思想がある。

ニュートン力学は物体の変形を伴う運動について取り扱う時の、いつまでも変わることのない「不易」の形式知である。

高分子のレオロジーに関しては、ソフトマターの物理学という分野が誕生しており、これは新しく変化を重ねてゆく「流行」である。

ソフトマターの物理学が永遠性を獲得し、不易と一体になろうとしているのが現代のレオロジーである。

さて、質点系の力学とは異なる連続体の力学では、弾性体と流体を扱う。これはニュートン力学の後に誕生した形式知である。

過去の高分子のレオロジーでは、この形式知を土台に築かれている。そこには、高分子鎖一本一本の運動が表現されていない。

高分子にレオロジーを適用した初期の研究では、ダッシュポットとバネのモデルを使っている。ただし、このモデルによる体系化が形式知として破綻したとはいえ、高分子材料のマクロ的な側面、弾性変形と粘性に基づく現象が無くなったわけではない。

この方法は、高分子のミクロブラウン運動や塑性変形を無視できるマクロな時間スケールの現象を扱う場合に問題があったとしても、経験知として使用可能である。また、このモデルを使った説明は直観的で単純であるという長所がある。

すなわち、目の前の現象について自由に頭の中で高分子鎖をイメージし、過去のレオロジーの道具を用いてコンパウンドのおさわりをしながら、高分子の運動を感じる、というつきあい方が賢明である。

カテゴリー : 高分子

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