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2020.02/13 リン系難燃剤

リン系難燃剤には、大別すると低分子リン酸エステル系とその他に分かれる。その他はさらにホスファゼン系とその他縮合リン酸エステル系に分けることが可能である。

 

以下はポリエーテル系軟質ポリウレタン発泡体で実験を行った結果であるが、硬質ポリウレタン発泡体でも同様の結果になることを確認している。ただ、硬質ポリウレタン発泡体では、残炭率とLOIとの相関は少し悪くなる。

 

さて、低分子リン酸エステル系難燃剤は、600℃まで難燃剤だけを加熱するとほとんど残らない。縮合リン酸エステル系難燃剤でもほとんど残らないが、一部構造により600℃における残存量が多くなる化合物も存在する。

 

ホスファゼンは、600℃までの加熱であれば、P=Nの構造に相当する重量が残ってくるから面白い。

 

この実験結果は、ポリウレタン発泡体に難燃剤として添加してもそのまま反映される。すなわち、極限酸素指数(LOI)と残炭素率との間の相関を調べると、リン系難燃剤の3タイプに分かれる結果が得られる。

 

すなわち、残炭素率とLOIとが相関しないグループと、残炭素率とLOIが相関するグループとに分かれ、後者はさらに残炭素率の違いで二つのグループ分けが可能である。

 

以前ここで書いたように、600℃までの加熱でリン酸エステル系難燃剤はオルソリン酸に熱分解して揮発しているのでこのような結果になる

 

そこで、ホウ酸エステルと一緒に混合して同様の実験を行うと、反応してボロンホスフェートとなるのでリン酸のユニットが600℃まで残っている。

 

これは40年前に発見した難燃剤システムで、高分子学会の崩壊と安定化研究会で発表したら反響が大きかった。無機材料を専攻した技術者にとっては大したアイデアではなかった。

 

新入社員時代に始末書を書かされたが、その始末書に新技術として提案した内容がこれである。

 

カテゴリー : 高分子

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