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2020.05/09 「戦略の間違い」は正しいか

正しい問題が設定されて、戦略が決まり、アクションが展開される。今のコロナウィルスの問題では、クラスターに注力し、PCR検査を絞ってウィルスと闘う戦略が設定されていることは、日々報じられている。

 

また、ロックダウンを避け、細々とでも経済活動を続けながらウィルスと闘う方針を提示している8割おじさんのアイデアに従い、日本人はひたすら行動変容をしてきた。

 

しかし、医療崩壊寸前のところに達し、非常事態宣言が出されて、行動変容を行っても思うような感染者減少とならない。

 

一方で今回のコロナウィルスについていろいろと新しい情報が明らかになってきて、当初の戦略が間違っていたのでは、という声が大きくなってきた。

 

これは、開発が思うように進捗していない企業の研究開発現場でもよく見かける雰囲気である。

 

この時よくやる間違いが、当初の戦略の見直しから入る解決法である。このような方法では、当初の戦略の妥当性評価に陥り、正しい問題を途中で間違えてしまうミスを犯す。

 

手前みそで恐縮するが、2005年に豊川へ単身赴任し担当した中間転写ベルトの開発では、製品化を半年後に控え歩留まりは10%に満たない状況だった。

 

研究部門の窓際にいた当方は左遷となるような選択をしてまでも、わざわざ単身赴任しているが、その理由は、研究部門において、このテーマが戦略の失敗で製品化できず、ベルト内製化チームはつぶれる、とささやかれていたからである。

 

この時、当方は旧ミノルタ開発担当者らの戦略を遵守する方向で、すなわち戦略はそのままで、ベルト成形歩留まりを100%近くまであげて開発を成功に導いている。

 

戦略が思うように展開されていない時でも、まず最初に行うべきことは、「正しい問題は何か」という作業と、「その時の課題は」である。その結果、戦略が変更される場合も出てくるかもしれないが、それは、当初の戦略が間違っていたからではない。

 

正しい手順で立案された戦略であれば、まず、それを真摯に遂行しながら、改めて「正しい問題」を問う必要がある。そして新たな課題が見つかったならば、思い切って戦略を変更するなり、新たな戦略を加えたり、あるいは戦術展開の変更をしたりするのだ。

 

間違った問題で導かれた戦略ならば間違いかもしれないが、正しい問題から導かれた戦略は、課題設定した時点におけるアクションを決定した結果なのだ。

 

戦略が意思決定の結果である限り、技術開発において、戦略の間違い、という評価は無い。戦略の間違いではなく、正しい問題を設定しなかったのか、あるいは正しく設定された問題の解き方を間違えたのか、どちらかである。

カテゴリー : 一般

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