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2020.08/01 熾烈な戦い

ペンタックス(リコー)がAPS-Cサイズの新型一眼レフを新発売するという。メーカーサイトにその新製品の概要がビデオで紹介されているが、発売日は未定である。

 

ニコンはZ-5というフルサイズミラーレス一眼レフを8月に新発売するという。両社それぞれかつてはトップ企業だったが、デジタル化の流れや写真文化の変遷によりその座を他企業に譲った。

 

ペンタックスが業界トップだった時代をご存じな方は60代以上かもしれないが、ニコンはおそらく30代以上かもしれない。現在のカメラトップ企業は、ソニーあるいはキャノンである。

 

両社が激しいトップ争いを行っており、ソニーはミラーレス一眼に特化し、その分野で一番となっており、ミラーレス一眼と古くからのミラー駆動一眼レフカメラの合計でトップとなっているのがキャノンである。

 

すなわち、ソニーはじめキャノン、ニコン、ペンタックスはそれぞれの独自戦略により、縮小しつつあるカメラ市場で戦っている。この戦いは、戦国時代が鉄板となった大河ドラマより面白い。

 

公知のように、今写真を撮るにあたりカメラをわざわざ持ち出さなくても携帯電話に付いているカメラできれいな写真が撮れてしまう。

 

そして写真文化を盛り上げているのはインスタグラムで、素人がかつてのプロ並みの写真のような作品をアップロードしている。

 

さらに、インスタグラムの普及で写真をわざわざプリントして楽しむ人も少なくなった。画面の大きくなった携帯電話で鑑賞すれば済むからだ。

 

写真文化そのものが変質してゆく中で、かつての撮影道具メーカーは必至の生き残り戦略を展開している。ソニー、キャノン、ニコン、ペンタックス以外に富士フィルムやレンズメーカーシグマ、家電メーカーパナソニックも必死である。

 

残念なことにオリンパスはそのカメラブランドを売りに出している。ミノルタとコニカはその統合時にカメラ事業をソニーへ売却している。コンタックスはじめ多くのカメラメーカーやブランドは21世紀を迎えることなく消えている。

 

この熾烈な戦いは、写真文化に必要な道具としてのカメラとは、どのようなものかを問うているのと同じである。博物館に残るかもしれないペンタックスの新製品をカメラ店で一度手に取ってご覧になることをお勧めする。

 

一眼レフカメラは、長い間、傑作写真を撮るための必須の道具だった。TTL方式が撮影者に選ばれたのだが、撮像素子と電子ビューファインダーの登場でTTLの大半の目的が置き換えられることが理解され、ソニーは早々とミラーレスに特化した。そして、今では一眼カメラといえばミラーレスの時代である。

 

そこに一石を投じようというのが、かつて一眼レフトップメーカーとなったペンタックスである。

 

電子ビューファインダーでは決して実現できない価値を求めてTTL方式の完成形を追及した新製品の発売が待たれる。カメオタでなくてもその製品を手に取ることは、写真文化を考えるために参考になる。

 

ニコンは、一眼カメラについてレンズ交換可能な特徴に着目し、時代の流れに沿った戦略として、最大の口径に広げたレンズマウントを搭載したミラーレス一眼で戦っている。

 

そのメリットを実現したレンズはこれまでにない「写り」を実現しているが、ソニーの市場を侵食するまでには至っていない。この8月に新発売されるZ5は、首をかしげる商品企画であり、その販売価格だけが魅力の商品である。

 

Z50は、商品として魅力的な企画だったが、カタログからその魅力は伝わってこなかった。ニコンは昔からこの辺りの戦い方が下手である。

 

弊社へご相談いただければ、ソニーの市場を10%以上侵食する方法を伝授したい。緻密な商品ラインを展開しているソニーには、その緻密さに弱点がある。ニコンやキャノンは、今、そこを攻めなければいけない。

 

かつてこの欄でニコン銀塩フィルム一眼レフの樹脂部品について、商品評価技術の問題を指摘したが、基本機能がずば抜けていても、商品として問題があれば一般ユーザーは逃げるのである。

カテゴリー : 一般

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