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2020.08/08 組織の役割(1)

今さら人間が社会的動物であることを説明する必要はないだろう。社会的動物ゆえに何らかの組織を形成したりするが、ドラッカーは組織の機能に着眼し、組織とは平凡な人間誰もに非凡な成果を出せるようにするのが良い組織だと説明している。

 

すなわち、企業の組織に限らず政府やNPO、さらには家庭(家庭の無い家族の時代とはなったが)の組織をどのように形成するのかにより、その機能の質は変わる。

 

コンセプトの重要性に開眼した体験を書いているが、当方がそこにたどり着けたのは組織の成果とも言える。また、この組織ではユニークな「燃焼時にガラスを生成して難燃化する手法」や「世界初の台所用フェノール樹脂断熱天井材」を生み出している。

 

当時のゴム会社の研究所組織は、アカデミア同様の基礎研究を推進するのに適した体制であり、その風土もゴム会社全体の風土と異なり、アカデミア顔負けの「科学こそ命」の組織風土となっていた。

 

1970年前後の研究所ブームで日本企業の多くは基礎研究所組織を内部に作っている 。しかし、時代の流れとともに企業内の基礎研究所の運営について疑問を持つ企業も出てきた。

 

高校生の時に読んだドラッカー著「断絶の時代」には、企業における知識労働者の台頭による社会との断絶や、間違った問題を解いていることに気がつかず正しい答えを出す頭の良い人が成果を出せない問題が指摘されていた。

 

ちなみに、間違った問題の正しい答えほど扱いが難しい。ゆえに経営者は答えを管理するよりも、正しい問題が設定されているのかを管理しなければいけないが、とかくアカデミア的風土のマネジメントでは、答えの正しさや、そこに至るアルゴリズムを管理したりする。この問題は後日事例を基にここに書く。

 

余談だが、ドラッカーといえば経済活動の研究者として知られているが、問題解決法の専門家でもある。早くからヒューリスティックな問題解決法を提案している。

 

ところが、ヒューリスティックな問題解決法は、アカデミア顔負けの科学重視の活動をしていたゴム会社の研究所では、水と油のような関係になりがちである。

 

基礎研究の組織であっても成果を上げるためには、ヒューリスティックな問題解決法は重要であるにもかかわらず、その手法が科学に要求される緻密な論理を満たしていないという理由で、敬遠される。

 

しかし、ノーベル賞を受賞したヤマナカファクターもその解決法で見つかっている、といえば、緻密な論理よりも社会に役立つ成果こそ重要であることを理解できると思う。必要があれば、成果について、厳密な科学的アルゴリズムで検証すればよい。

カテゴリー : 一般

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