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2020.10/21 問題解決法(2)

正しい問題設定が如何に難しい作業であるのかはドラッカーが指摘している。そもそも問題とは何か、という問いも重要で、問題と課題の定義もドラッカーはその著の中で行っている。

 

すなわち、「問題」とは「あるべき姿」と「現実」との乖離であり、「課題」とは、問題を解決するためにしなければならない「こと」である。

 

何か問題が発生すると、すぐにホワイトボードに向かい、「さあ、課題の整理だ」と、元気よく課題と問題をごちゃ混ぜにして書いて、したり顔になっている人をよく見てきた。

 

確かに問題の中に問題が含まれてくるような構造の問題も存在するかもしれない。しかし、問題の構造をすべて課題で整理していかなければ、問題を解くことができなくなる。

 

問題の構造を決めるのは、問題を解く人でもある。問題の構造を、問題で組み立てたなら、その問題を解くことができる人はいないだろう。課題を用いて組み上げて初めて解ける問題となる。

 

PPS/6ナイロン/カーボンの配合の半導体ベルトでは、カーボンの分散がパーコレーション転移の影響をうけて大きくばらつくのが問題だった。

 

この問題では、6ナイロンはPPSに相溶しないので島相となっており、この島相も量の変化により、あるいは島相の大きさによりパーコレーション転移を生じる。

 

それぞれのパーコレーションの問題を放置していては解決できない、とすぐに気がつかなければいけない。

 

このような現象を前にしたときにすぐに「解決できない」とヒューリスティックに解を出せる習慣を身に着けたい。そうすると無駄な開発をしなくても済むので開発資金を節約できる。

 

難しいことではない。難しい問題を解くことはだれでも難しい、問題は易しくなるように正しい問題を見出す、と理解するだけである。

 

凡人は、その正しい問題を簡単な構造にする習慣を身に着ければよいだけだ。正しい問題について、簡単な課題で簡単な構造として問題を表すことができたなら問題は解けたことになる。

 

例えば、半導体ベルトではカーボンのパーコレーション転移を制御することだけを課題にすれば簡単に科学の世界で解決できる。

 

ただし、この時6ナイロンをどうするのかという問題についてはカオス混合というヒューリスティックな解で解決済みであることを前提としているので混練の経験知が無い人には、コンサルタントに相談するという意思決定が重要である。

 

当方に依頼していただければ低コストで正解がすぐに出てくるので、経済的である。知が不足して解けない問題を無駄に時間を費やすぐらいならば、有料でも誰かに相談した方が良い。時は金なりである。

 

少しカーボン分散の経験知があれば、問題の構造をカーボンの分散に関わる課題だけで整理できて、カーボンの凝集体のパーコレーション転移を制御すればよい、という解を当方ならば提案する。

 

カーボンの凝集体は、その凝集構造を変化させて抵抗を10の6乗Ωから10の4乗Ωまで制御することは可能であり、この程度の抵抗体のパーコレーション転移であれば、ばらついてもその偏差は小さくなる、という経験知もある。

 

その他詳細は当方の著書「混練り活用ハンドブック」の中に書いてあるが、問題を具体的な課題として見える化し、その後は課題を解決する具体的なアクションを書き上げるのである。このあたりは1日のセミナーの時には演習を行っている。

 

カテゴリー : 一般

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