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2020.11/30 技術者の解放(16)

電気粘性流体は、絶縁オイルに微粒子が分散した液体で、電場をかけると、そのレオロジーが固体状態の物性まで変化する。

 

古くから現象は知られていたが、少量の水と絶縁体粒子とを組み合わせて、高い電気粘性効果をウィンズローが発表してから、注目を浴び1980年代に世界中で開発競争が行われた。

 

ゴム会社では粒子として生焼けの半導体カーボンを用いて研究が進められていた。生焼けの半導体カーボンを用いると科学的には説明がつかないが水を用いなくても電気粘性効果が得られた、と言われていた。

 

当方が電気粘性流体の増粘問題を解決して、某自動車会社におけるアクティブサスペンションの実用化研究に提供しうる耐久性レベルを実現しても性能が未達だった。

 

そこで当方は半導体微粒子の開発を提案している。「帯電しやすく」かつ「放電しやすい」物質は科学的に考えていても材料設計が困難である。

 

前者は誘電体の性質であり、後者は導体の性質で、均一な物質で設計できないことはヒューリスティックに解が得られる。

 

しかし、科学で頭が固まっているとこのような解は得られない。当方が設計案を提示したところ、リーダーは「言葉でいうのは簡単だ。実際に作ってみろ」と突然怒り出した。

 

科学的な説明以外受け付けない人に、非科学的なアイデアを言うと稀にこのような場面となる。非科学的なアイデアの発言者を小ばかにするかしかりつけるような科学者が稀にいる。

 

このような人は、非科学的アイデアでもそれが実現されてから科学的な説明を加えられる「技術者の仕事」の柔軟性に気がついていない。

 

もっとも21世紀になっても科学で自然現象をすべて説明できない状態なので、科学的にはブラックボックスとなる部分が生まれる。

 

例えばノーベル賞を受賞したヤマナカファクターは、科学的に見出されたものではないし、未だにブラックボックスは存在する。ただし、それを用いると細胞がリセットされる現象は科学的に証明されている。

 

すなわち非科学的に見出されても科学的に証明された現象あるいは機能は存在する。現代の技術者は自然界から機能を取り出す使命と、その機能を科学的に証明(注)することが求められているが、機能を取り出す段階は非科学的でも許される。12月には、このあたりに絞って2時間の無料セミナーを実施するので希望者は問い合わせていただきたい。

 

(注)繰り返し再現性について証明されている必要があるので、科学的品質管理手法で日常実現されている。

カテゴリー : 一般

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