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2020.12/05 技術者の解放(20)

傾斜構造の粒子は高純度SiC製造技術が基盤である。高純度SiC製造技術を開発後、その技術に秘められたブラックボックスについて科学による研究を行っている。

 

 

シリカとカーボンが原子レベルで均一に混合された前駆体を用いたなら、シリカ還元法によるSiC化の反応は、均一固相反応で進行する、という仮説を設定した。

 

 

そして、それを証明するために、2000℃まで1分以下で昇温可能な熱天秤を開発し、それを用いて反応速度論の研究を1984年に行っている。研究企画から熱天秤の設計、そして結論を導くまでたった一人の研究である(注)。

 

 

但し、熱天秤については真空理工(株)に依頼し、製造していただいた。1600℃までが限界だったその熱天秤を1週間で希望していたスペックまで実現できるように改良した。

 

 

この熱天秤を用いて1450℃以上の温度で数点保持し、恒温熱重量分析を行っている。そして反応機構の解析から活性化エネルギーまで求めた。等速昇温実験により、他の視点で解析を進め、これらの結果の妥当性を検証している。

 

 

これらの科学に基づく研究で、シリカ還元法においてシリカとカーボンが原子レベルで均一に混合されているならば、均一固相反応で反応の進行することが証明された。

 

 

この研究結果が出るまで、シリカ還元法の反応機構について諸説あったが、それらはシリカとカーボンが不均一に混合された結果であることも説明できた。

 

 

科学の真理が確定されると、それまで議論されてきた不確かな現象について明確にされるのは、科学の良いところである。

 

科学はそのためにあり、技術が完成したならば、科学を道具として使い、可能な限りブラックボックスを無くす努力をしなければいけない。これは技術者の義務である。技術者はこの義務を果たすために科学者に研究委託を行っても良い。

 

(注)その4年後公開された論文では、なぜか当方がセカンドネームとなっている不思議なことが起きている。この論文も当方が知らない間に出ている。

カテゴリー : 一般

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