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2020.12/08 技術者の解放(23)

電気粘性流体用に開発した傾斜構造の粒子は、C-SiC繊維製造技術をそのまま転用しただけである。

 

すなわち、繊維の代わりにフェノール樹脂球へポリエチルシリケートを含侵させて焼成し、シリカがカーボン内部に傾斜組成として分散している粒子を製造するのは瞬間芸的技術で可能だった。さらにSiC化する必要はないので容易だった。

 

すなわち、技術開発された成果に潜むブラックボックスを科学という道具で解明しておくと、他の技術開発にそれを活かすことができるので開発効率が上がる。

 

科学という道具で得られるのはたった一つの真理である。ゆえに他の現象においてもその真理はひっくり返ることは無いので安心して形式知として活用できる。それゆえ開発効率が上がるのである。

 

なぜ科学の研究が企業で重要なのかという理由は、ここにある、と思っている。企業において真理それだけを追求するような研究は重要ではないのだ。企業で最も重要なのは、他社に先駆け新しい機能を市場に付加価値として提供することである。

 

ただし、企業の強固な基盤技術を造るために他社よりも迅速に形式知を獲得できれば、独自技術の伝承あるいは組織内の共有化を容易にし、迅速に波及するので他の技術開発の効率を上げる。

 

そしてノウハウと形式知との整理された体系は、アジャイル開発をも可能にする。アジャイル開発では、体系化された知が不可欠である。

 

形式知の体系の中で、間違った真理が存在していたなら、その体系は見直され修正されなければいけない。そこに迅速に気がつくためにも研究が必要となってくる。企業で基礎研究を行うためにもアジャイル開発は普及してゆくのではないかと思っている。

カテゴリー : 一般

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