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2020.12/12 アイデアの出し方(3)

昨日の「チコちゃんに叱られる」(本日朝8:15より再放送あり)において、「お好み焼きの鰹節はなぜ踊るのか」という命題に果敢に挑戦した小学生を紹介していた。そしてその小学生が成人し、挑戦した成果について完璧な締めくくりをする様子まで放映された。

 

ご覧になられた方は、この映像を通じて科学という道具をよく理解できたのではないか。また、この映像は貴重なアイデアを提供していたことに気づかれた方はどれだけいるのだろうか。

 

昨日の映像から得られたアイデアをすぐに実験で検証したところ、特許を書けるような発明が生まれた。

 

実は1か月以上前に別件の現象から特許出願を済ませているのだが、ここで申し上げたいのは、アイデアの中身ではなく、アイデアが出る人と出ない人との差異が生じる問題である。

 

これは頭の良し悪しでは解決できない問題であり、それゆえ弊社のコンサルティングでは重視している。頭の良し悪しではなく、ほんのちょっとしたコツによる気づきである。

 

12年間ゴム会社で見てきた頭の良い人の成果を出せない科学重視の仕事のやり方は参考になったし、ドラッカーも「頭の良い人が必ずしも成果を出せるわけではない」とか「困ったことに頭の良い人は間違った問題を正しく解いて成果を出せない」とか述べている。

 

ドラッカーは、正しい問題を選べない頭の良い人を嘆いていたのだが、そもそも異なった問題を選んでしまうのは、認識の差異から出てくる、と解説している。

 

以前説明したように、認識の違いは、組織の立場とか、経験知や暗黙知に影響を受ける。立場から生じる正しい問題を選べない問題については、「議論では異なる見解に耳を傾けよ」とドラッカーは警鐘を鳴らしている。

 

さて、昨日の鰹節が躍る現象に戻るが、これが完璧に科学的に解明できたからと言ってお好み焼きがおいしく焼ける様な成果が出たわけではない。

 

しかし、科学で現象を解明してゆく過程で必ず多くの観察を真理に向けて、すなわち科学という認識を持って現象を眺める。この瞬間がアイデアの出る瞬間であり、科学における実験の重要性なのだ。

 

この時、科学だけの認識しか持たなければ真理以外出てこないが、科学以外の考え「型」(技術の方法も科学同様の一つの型である)でも眺めていると新たなアイデアが浮かんでくるはずである。

 

例えば、昨日の鰹節の踊る様子を艶めかしいポールダンサーに見えた人もいたかもしれない。これも科学とは異なる一つのアイデアである。

 

ポールダンサーでは特許を書けないが、何をイメージするのかはその人の持っている経験知と暗黙知に影響を受ける。(これは「あるコツ」が必要で、それを弊社は指導している。人間は、生きてきた年数だけの経験知を持っているはずだ。亀の甲より年の功とはそのような意味だ。しかし、年の功にもコツがある。これは年を取るにつれそのような思いが強くなってくる、年を取らないと見えてこないものかもしれない。当方は、頭は良いが成果を出せない人を反面教師にしてこのコツに気がついた)

 

実は科学による思考の型では、真理を導くために、現象の中から雑念をそぎ落とすようなプロセスを踏む。その結果、現象の中に隠れていた機能を偶然見つけるチャンスが増えることになる。

 

ところが科学者は研究過程でこのような機能を見落とす人が多く、研究発表後、「ところでその真理が何に役立つのか」と質問を受けて右往左往する。

 

真理が役に立つかどうか考えるよりも、その真理を導く過程で遭遇した現象の数々から人間の営みに役立つ機能を探りだした方が容易である。

 

また、科学の研究の重要性はここにあり、昔の人はそれゆえ「千三つの研究」などと言っていた。これは1000個研究を行い、三つ当たれば大当たりという意味である。弊社のコンサルティングでは、大当たりが含まれる三つの研究を一つの研究で見出せることを目標に指導している。これは若いコンサルタントには無理である。

カテゴリー : 一般

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