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2021.01/25 考える(10)

科学的に考えると否定証明をやりたくなるが、すなわち科学的に考えるとできない、と思われる機能でも、技術的思考法で考えると動作できる機能がある。

 

昨日例示した電気粘性流体の耐久性問題では、まさにそのような機能を含んだ問題だった。ただし、界面活性剤が機能して耐久性問題を解決できているのだが、どのような機構で機能しているのか、今でも「科学的」にはブラックボックスである。

 

心眼では、界面活性剤によりオイル中で形成されたミセルがゴムからブリードアウトしてきた添加剤をその中に閉じ込めているような光景が見えるが、HLB値の観点から科学的な説明はできない。

 

しかし、主成分分析(注)を行うと、同一HLB値でも異なる界面活性効果を持った界面活性剤が存在することを示す結果が得られる。すなわち、形式知で界面活性剤の機能をすべて記述できていないだけなのだ。

 

このようなことがほかにもあるかもしれない、と言うことでマテリアルインフォマティックスという研究テーマがアカデミアで推進されている。これは、一見科学的に見えるが、技術的思考の学問分野である。

 

イムレラカトシュは、科学と技術の境界は時代により変わる、と指摘しているが、まさにアカデミア側から技術側へ境界を移動させようという動きが今起きている。

 

(注)主成分分析のプログラムで注意しなければいけないのは、固有値を求める演算プロセスを適当に扱っているソフトウェアーがあることだ。すなわち、公開された主成分分析のプログラムで同じデータ群を処理した時に異なる結果が得られる時がある。これは固有値の計算結果が異なっている場合が多い。もし希望者があれば弊社で開発した主成分分析のプログラムを公開したい。主成分分析の代わりにマハラビノスのタグチメソッドを使用する方法があるが、考える作業には、すなおに主成分分析を行った方が、感覚としてとらえやすい。SN比に慣れていると、そんなことはない、と異を唱える人がいるかもしれないが、得られた結果をプレゼンテーションするときのグラフとしては、主成分分析で素直にグラフ化したほうが分かりやすい。このあたりのノウハウについても希望者があれば、無料セミナーとして企画しても良いので問い合わせていただきたい。

カテゴリー : 一般

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