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2021.04/04 ブランドか品質か

30年以上前にギブソンやマーチンと言えばギターのトップブランドで、アコースティックギターに限定すると、これ以外にギルドとかギャラガーなどアメリカブランドに続き、ヤマハ、SあるいはK-ヤイリ、モーリス、キャッツアイ、タカミネ、アリアなど日本メーカーがそれなりのブランドとして知られていた。

 

ところが最近のアコースティックギター市場では、テイラーがトップシェアを占めているという。このテイラーと言うギターブランドは1970年代に登場したアメリカメーカーのブランドで、ギターを可能な限り機械生産することで楽器として高い精度の製品を市場に供給してきた。

 

すなわち、ギターは材木を扱うのでどうしても人間の手で生産をしたほうがプロセスが簡単になる。それをテイラーはネックと胴のジョイント方法はじめ材木の裁断などギター生産プロセスを機械化しやすいようにその構造を設計しなおし、手工部分を極力削減して機械化を進めた。

 

店頭に並んでいるテイラー製のギターは安価な製品から高級品までどれも弾きやすく高品質である。使用している材木や装飾の違いで価格が変わるが、みかけのカタログ品質で価格を比較すると、マーチンギターよりも高く感じる。もちろん日本製ブランドの製品よりも高い。

 

30年以上前、ギターの構造からテイラーを二級品と評価していた記事(昔テイラーギターはモーリスより安かった)を読んだことがあるが、店頭で製品を見たときにその弾きやすさにびっくりした。必ずしもプロの評価が正しいとは限らない例だろう。

 

この30年間のテイラーの躍進で学ぶのは、過去の名声で築かれたブランドでも品質が悪ければ後進の高品質ブランドに負ける、ということだ。

 

1980年代に日本製アコースティックギターは高品質で低価格という武器で躍進したが、工芸品に近い製品を工業製品の発想で品質管理したテイラーには勝てなかった。

 

QCは日本のお家芸と言われた時代がある。しかし、くい打ち不正事件やそのメーカーで建てられた3階建ての品質管理のいい加減さに驚いた経験から、そろそろ日本のQCの問題を真剣に考えなければいけない、と思うようになった。

 

確かに昔の日本の現場はQCサークルで活性化され高品質の製品を生み出したかもしれないが、故田口先生がタグチメソッドの普及に渡米しなければいけなかった現実、そして設計段階から品質を優先したテイラーのような企業の躍進から、再度日本のQCについて考え直す時ではなないか。

カテゴリー : 一般

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