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2021.04/17 工場火災

ルネサステクノロジーの工場火災で自動車の生産が止まるという。火災原因には、怪しい部分も存在する、というので安全保障との関連が取りざたされている。しかし、大切なことを忘れている。そもそも出火の可能性の高いプロセスにおいて可燃性の素材が使われていたことである。

 

工程帯電と火災に対する対策は、プラント設計の基本である。50年近く前の化学工学の授業で化学プラントの火災について質問したことがある。そのとき学生だったがその回答にびっくりした。



火災についてプラント設計で考えられていなかったのだ。せいぜい爆発した時の対策として屋根を壊れやすくし、上へ爆風が吹き上がるようになっているとの説明を受けた。



10年前の福島原発では、建屋の壁は崩れず屋根が吹き飛んでおり、授業で先生が回答された設計になっていたことがうかがわれるが、地震や津波対策がお粗末だったことは報じられたとおりである。おまけに外部補助電源のコネクターが電源車のコネクターと異なる規格だった、というとんでもないミスがあった。



当方が中国でコンパウンド工場の建設で指導してきたことは、万が一のトラブル対策である。すなわち混練機が故障した時にその対応をどうするか、火災が起きたときに備えた消火栓の位置など当方のノウハウとなるのでこれ以上書かないが、災害対策を工場の設計に導入している。



このような視点でルネサスの火災状況を見ると、怪しい安全保障上の問題を論じる前に、火災に対して対応がなされていなかったプラント設計の問題をもう少し議論しなければいけない。



過電流が流れてもブレーカーが落ちなかった、と言われているが、かつてブレーカーが落ちやすいのでブレーカーを落ちにくい大電流に耐えるようにして事故が起きた某工場もある。このような間抜けな対応をしていないかよく調べなければいけない。



福島原発の事故で学ばなければいけないのは、間抜けな科学者の存在である。頭は良いが人間の営みの中で技術が稼働している現実を知らない。

カテゴリー : 一般

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