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2021.05/23 ユークリッド幾何学と技術(3)

有機高分子と無機高分子のポリマーアロイを前駆体とした高純度SiCの新合成方法は、直感で必ずできると考えていた。しかし、少し実験を行ってもフローリー・ハギンズ理論の正しさを証明する結果しか得られなかった。


そこで大量のフェノール樹脂を廃棄する役目を仰せつかった時に、フェノール樹脂を固めて廃棄すること、という面倒な指示を逆手にとって、フェノール樹脂とポリエチルシリケートの混合物が均一になる条件を試行錯誤で求めている。



もちろん試行錯誤と言ってもQCを重視したゴム会社だったので研究所では不人気だったラテン方格を用いてた験計画法である。そして、フェノール樹脂とポリエチルシリケートが均一に混合される条件を見つけることができた。

これを高温度で処理したところ高純度SiCが合成されたわけだが、合成に成功した後、反応速度論により均一素反応で反応が進行していることを熱分析手法を用いて証明している。そしてこれが学位論文である。

ユークリッド幾何学ではたった1本の線に気がつくかどうかで図形の問題を解けるかどうかが決まるが、そのたった1本の線を見つけるのにユークリッドは試行錯誤を繰り返したに違いない。

ただ直感だけであの体系が出来上がった、とすると体育会系の技術者に未来が無いように見えるが、逸話には試行錯誤の繰り返しで体系を作っていった話が残っている。

凡人はユークリッドの爪の垢でも煎じて飲みたくなるが、ユークリッドは今の時代に存在しない。しかし、弊社の研究開発必勝法では彼の爪の垢が無くても体育会系の技術者が明るい未来となるような手法を指南している。

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