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2021.06/10 ペンタックスK3 MarkⅢ

表題のカメラが、大手カメラ店の売り上げNo1になっているという。デジカメでは新製品が登場した月にトップとなることがあるが連続してトップとなるのはヒット商品の兆候というコメントがついていた。

ニコンも国内生産を終了した一眼レフがレンズ交換式ミラーレスに置き換わる流れの中で、リコーはあえて一眼レフの新製品を、それもフルサイズではなくAPS-Cで市場投入してきた。

スペックは現在発売されているAPS-C一眼レフとして最高であり、特にファインダーの見え方は他製品とは比較にならない高品質である。

かつて一眼レフの半分はペンタックスと言われた時代もあったようだが、デジタル化の流れの中でキャノンやニコン、ミノルタ、ソニーに抜かれてブランドだけ残った。

今レンズ交換式ミラーレスのトップはソニーだが、これはミノルタと統合後の一位である。デジタル化の流れとカメラと言う商品が携帯電話の1機能として変化してゆく流れの中で、かつて一眼レフの時代にマニアのあこがれであったニコンは苦戦している。

写真フィルムはすでに富士フィルム1社だけになったが、カメラメーカーはデジタル化の中でパナソニックの参入もあり、複数の生き残りが予想される。これは生産規模が一定量を越えなければ価格が下がらないフィルム事業と異なるとともに、価格の中に占めるブランド価値が大きいためと思われる(注1)。

1970年代に多数存在していたギターメーカーはいくつか倒産し、ヤマハ、モーリス、K-ヤイリ、フジゲン、寺田楽器、東海楽器、ESP、SAGO、SUGI、ディバイザーとなった。ギターの生産を行っていないファブレス企業として、星野楽器(アイバニーズ)、アリアなどがいまだに日本には多数存在する。

半導体事業は簡単に世界で負けてしまったが、日本は隠れたギター生産国である。この事実から第二次産業はどうあるべきかが見えてくる。

フジゲンや寺田楽器、東海楽器のブランド力は弱いが高い生産技術のおかげで、海外ブランドのOEM生産で生き残ってきた。面白いのはES335タイプについては、ギブソン子会社エピフォンが製品名に335とつけているにもかかわらず東海楽器製のほうが評判が高く、価格も高い。

ギブソンは最近倒産しかかって現在ブランドの再構築を行っているが、その様子を市場観察していると面白い。同じギブソンES335でも100万円以上の製品から20万円台まで存在し、20万円台は東海楽器製の同じ価格のコピーギター(注2)よりも品質が悪い。アイバニーズの7万円のギターと比較しても負けている。

ギターも工業製品である限り、ブランドと同様に製品品質を高めない限り市場でのポジションを維持することが難しい事例だろうと思う。

レンズ交換デジカメはキャノンやソニー以外は海外生産となった。ペンタックスは早くから海外生産となっていたがその品質は国内生産品と変わらない。またアイバニーズの20万円以下のギターはすべて東南アジア製だが、粗を必死で探さない限り(例えばハンダ付のハンダ量のばらつき)見つからない。

ブランド戦略が注目されているが、工業製品を見る限りは、まず製品品質が高くなければトップブランドになるのは難しい。

ペンタックスK3がどこまで売り上げを伸ばすのか興味深いが、レンズ交換式APS-Cサイズカメラというカテゴリーで見てもその品質はトップクラスであり、さらに写真撮影という文化的要素を製品に盛り込んでいるので、仮に売れなくなっても歴史に名を遺す名機の1台になると思われる。

(注1)フィルムはブランド価値よりも生産規模により生み出される利益の差が格段に大きい。かつてトップシェアを占めていた小西六工業だが、モノクロからカラーフィルムの流れの中で品質トラブルを起こし、富士フィルムに逆転された。またタイヤ業界では、バイアスタイヤからラジアルタイヤへの流れの中でかつてのトップだったヨコハマタイヤは、品質問題を起こしブリヂストンタイヤに抜かれている。ギターの世界でギブソンがブランド戦略を展開している、と言われているが、その品質をテイラーや日本メーカー以上に高めない限り、かつての輝きを取り戻すことは難しいと思われる。ギターのマーケットを調べてみると高い品質を維持することの重要性を理解できる。ニコンの苦戦について内部の技術者は理解していない可能性がある。すなわち、カメラとして細部を見たときにギブソンと同じく細かい品質に問題があるのだ。とにかくいつかはニコンと思い、ペンタックスからニコンへ乗り換えようとF100を購入したのだが、ニコンへ一本化できなかった。これは品質も含めたペンタックスの商品としての魅力がシェアーを落としても低下していなかったからである。一部の品質についてニコンのカメラは他社と比較にならないぐらい大変優れているが、価格と商品品質のバランスが悪い。詳細は弊社へ問い合わせていただきたい。

(注2)東海楽器は、アコースティックギターについてかつてマーチン社のOEM生産を行うとともにキャッツアイというブランドを展開していた。今キャッツアイはすべて中国製であるが、エレキギターは国内生産であり、ギブソン社のコピー製品と思われる製品を出しており、本家よりも高品質で評判が高い。アウトレットがインターネットで販売されているが、その品質も高くすぐに売り切れる。20年近く前にES335を購入したが、指板やナット、fフォールの加工品質が悪く16万円で売却し7万円でアイバニーズの同等製品を購入したがES335と比較にならないほどの高級品質である。

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