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2021.09/07 オーディオに学ぶ(10)

オンキョーはじめ今でもかろうじて生き残っているオーディオメーカーは、売り上げを落とし倒産の危機にある。また1970年代から成長した、アンプやスピーカーメーカーも同様で、ブランドを残すだけのメーカーも存在する。


しかし、市場をよく観察すると、音楽を楽しむユーザーは今でも多数存在しているが、そこで使用される道具が20世紀から大きく変わり、旧来のオーディオメーカーがそこに対応できなかっただけである。


昔ながらの道具は、富裕層の贅沢品あるいはいわゆるオーディオオタク族の興味の対象となり、今でもその市場は存在するが、オーディオ市場全体から見ればニッチ市場である。


このような市場の変化を、20世紀のマーケット研究家たちは、ユーザーのライフスタイルの変化にオーディオメーカーが対応できなかっただけ、と説明するかもしれないが、ユーザーの音楽の楽しみ方を変えた技術の流れに着目しなければ、この市場の新商品企画は難しいだけでなく、同じような危機にさらされている他の市場の参考にならない。


オーディオ市場における道具の変化は、まさにDXである。ソニーのウオークマンは20世紀のマーケット研究家たちの解説に適合する商品であるが、その後この市場は携帯電話からスマートフォンへの技術の流れに駆逐された。


ホームオーディオは、携帯電話からスマートフォンの技術の流れに無関係に位置づけられているが、スマートフォンとそれに対応したTVがあれば、デジタル化された高音質の音楽を楽しむことが可能である。不足するのは重低音の刺激ぐらいである。


恐らくオーディオ業界は、DXによりゆっくりと革新が起きた市場で、その解析を誤り、多数のメーカーが倒産した典型例ではないだろうか。


写真フィルム業界のように、デジタルカメラの登場で突然マーケットが縮小した事例と異なり、携帯電話の登場以来ゆっくりと進展し、オーディオ業界はその変化を見誤り、昔ながらの商品を作り続けていた多くのメーカーが倒産した。今他の市場でも同様の変化が起きている。DXにより難しくなった商品企画でお困りの方はご相談ください。

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