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2021.10/03 混練プロセスの考え方

混練プロセスに関する考え方は、技術者により異なる。また、分配混合と分散混合の考え方で教科書が混練技術を説明している問題も存在する。その結果、認識さえも異なる。


技術者により認識が異なるので何が正しくて、何が間違っていると決めつけることなどできないはずだが、カオス混合技術が学会の技術賞審査で議論されたときにはひどかった。


10年前の出来事なので、詳しくは書かないが、およそ混練技術に対するこのような状況を無視されているような意見で、技術そのものを否定された。もちろんフローリー・ハギンズ理論に適合していないPPSと6ナイロンの相溶に関しては、低分子化されて相溶しているように見えただけだと決めつけられた。


樹脂技術者とゴム技術者の認識の違いが見解の違いを生み出した、と言ってしまえばそれまでだが、日本では仕事にならないと思い、中国でカオス混合技術に関してさらに磨きをかけた。日本の高分子技術者と中国人との違いは、新しい考え方を受け入れるかどうかである。新しくなくても良い結果が得られるならば、教科書と異なる考え方でも容易に受け入れてくれる。


さて、40年前のゴム会社の状況を書くと、今の日本の状況と似ていた。研究者の数だけ考え方が存在した。運が良かったのは、指導社員がレオロジーの専門家で、混練の神様と呼びたくなるような技術者だったことである。


彼の指導によれば、現場ではバンバリーとロールが混練プロセスで使用されているので、研究段階でもパイロットプラントを使い、同じプロセスで練るように、という考え方だった。研究所では手軽なニーダーでゴム配合を研究されている方が大半だった。


指導社員は、この会社でゴムの配合技術を研究したいならば、簡易的なニーダーを使わない覚悟が必要だ、とまで言われた。混練のプロセシングに関して厳しく指導されたが、未だにあの時の指導内容が正しいと思っている。なぜなら、中国で指導した樹脂開発について配合設計で失敗した経験がないからだ。

カテゴリー : 高分子

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