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2021.10/28 PPS用添加剤

5Gはじめ情報通信分野でPPSの売り上げが世界的に伸びている。当方も5年ほど前に米国で問題となった通信会社向けにコンパウンド開発を中国で指導した経験がある。


その時、射出成型用添加剤としてPH01という新材料を開発している。この添加剤をPPSに添加すると流動性が著しく向上して0.5mm以下の薄肉射出成型が可能となる。


これはPPSの結晶化も抑制した効果もあり、割れにくくなったからである。さらに200℃で熱処理しても強度低下しない。この温度で24時間保持すると無添加のPPSと同様の強度低下を起こすことから、結晶化を抑制していると推定している。


おもしろいのは、このPH01を架橋タイプのPPSへ添加してやると繊維を引くことができた点である。これは某大学で繊維化装置を借りて実験して得た結果である。大学教授もその結果に驚かれていた。


もっと驚くべき結果は、この添加剤は一般の可塑剤と同じような効果がありそうな物性データが出ているにもかかわらず、この架橋タイプPPSが繊維化できたという結果以外にTgを下げない点も驚くべき結果である。


すなわち、高分子に可塑剤を添加すると可塑化効果により緩和速度の指標となるTgは添加量とともに低下する。しかし、この添加剤はそのような挙動を示さない。


この原因は、電子顕微鏡観察で明らかとなったのだが、ご興味のあるかたは弊社へ問い合わせていただきたい。弊社ではこの添加剤の特許に関してこれから審査請求をするところだが、事業として生かせる企業に特許を売却したいと考えている。日本でそのような企業が現れなければ、海外企業への売却も考慮中である。

カテゴリー : 電気/電子材料 高分子

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