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2021.11/01 イノベーション

イノベーションにはインクリメンタルイノベーションとラディカルイノベーションがある、と一般に説明されるようになった。これはシュンペンター博士著「経済発展の理論」で有名になった言葉である。


1980年代には、染み出しイノベーションと落下傘イノベーションという表現をしていた経営者がいた。当方はゴム会社で高純度SiCの半導体治工具事業を1980年代に起業しているが、これは高分子から高純度SiCを製造するという従来とは異なる概念の技術であり、またゴム会社からセラミックス事業へ進出するようなイノべーションなのでラディカルイノベーションである。


GDPが30年も伸び悩んでいるのでラディカルイノベーションが検索ワードで目立つようになったが、ことばなど無くても40年ほど前からイノベーションの二つの形態については知られていたのだ。


ゴム会社でラディカルイノベーションを行った経験からいうと既存の事業と異なる事業を起業するときには、死を覚悟するぐらいの気持ちで決断せよ、と言う一言に尽きる。また、従業員を自死に追い込みたくなければ、経営者は自ら腹を切るぐらいの覚悟をせよ、と申し上げたい。


なぜなら、当方は自死か転職かの2者択一を迫られた経験があるからである。また当時当方が転職後、理由は不明だがゴム会社で切腹事件が実際に起きニュースになっている。サラリーマンが組織でイノベーションを起こすときにはそのくらいの凄惨な事態も覚悟する必要がある。


安直に自社でもラジカルイノベーションを、と言っている経営者は少し頭を冷やした方が良い。また従業員は従来と変わらぬ風土の中でラジカルイノベーションを求められた時に死あるいは転職を覚悟しないで手を挙げてはいけない。


これは公的研究所も同様で、STAP細胞の騒動では著名な研究者の研究所における首つりという結末で終わった事件が21世紀に起きている。イノベーションが求められる日本の公的研究所の中でも死ぬほどの覚悟が要求されるのである。


イノベーションの素を創り出すのが研究所のミッションの一つだが、日本の研究所の体質はイノベーションを好まないという風土のところが多い。ゴム会社の研究所はアカデミアよりもアカデミックで科学の殻に閉じこもるような保守的な体質だった。


これは日本人と言う国民性も関係しているのかもしれない。SNSに見られるように不特定多数の顔も見えないような状況で他人を責める状況があってもそれを社会で容認するところがある。


ゆえに社員にイノベーションを求める場合には、それなりの手順なり仕掛けで風土改革を行わなければいけない。もしイノベーションを希望される企業があるならば、弊社へご相談いただきたい。ラディカルイノベーションを成功させ転職により生き延びた経験からの学びを伝授したい。

カテゴリー : 一般

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