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2021.11/08 退職後中国で活動した理由

表題の結論は単純で、日本に仕事が無かったので中国蘇州にあるナノポリスでコロナ禍前まで仕事をしてきた。ナノポリスとは中国のナノテクの研究学園都市で、筑波学園都市の中心部ほどの広さがある。そこに中国の研究機関と関係する企業が集結している。


ここで、カーボンナノチューブ水分散液や、PPSの新規添加剤PH01などいくつかの新規な発明を実績として出すことができた。これらの成果は中国企業だけでなく日本企業にも還元することを当方は忘れていない。


日本人としての節操は守り、弊社あるいは弊社がコンサルティングを請け負った日本企業から特許を出願している。特許については毎年1件を目指したが、これは弊社の予算の関係である。


昨日TBSニュースWEB版に「なぜ科学の重鎮たちは中国を目指すのか「頭脳流出」だけでは語れない実態」という記事があったが、ニュースとすべきほどのことではない。


ニュースとすべきは、老人が中国へ出て行っても日本でそれを補う力が育っていない問題だろう。当方にしても現役時代には300件ほど30年間に特許を書いたが、今は1年に1件のペースである。年寄りのパワーは現役時代よりも落ちている。パワーの衰えた老人が中国に行っても大した問題ではない。


問題はその能力が落ちた老人よりも落ちてきた日本の若手の研究パワーである。一年に1件の特許も書けない高偏差値の大学卒業技術者がいるという。これ以外に、時間があれば今でも日本化学会や高分子学会の年会に出席して研究発表を見てきた経験からも心配事は多い。


また、この兆候は当方が一人で企画から研究のまとめまで実施した研究を、研究とは無関係のアカデミアの研究者がちゃっかり小生の名前を末尾に載せ、自分を筆頭にして論文として発表した話をここで紹介しているので20年以上前からあったのかもしれない。


最近では早稲田大学の学位授与の杜撰さの問題がニュースとなっている。若手が中国へ逃げて行ったならニュースとすべきと思うが、若手に声がかからず年寄りに声がかかっている実態を切り口としてニュースにすべきだろう。昨日のニュースの内容も当方が中国で活動した理由に近かった。


日本で働き口の無い元気な年寄りが海外に好条件で迎えられていることは大きな問題ではない。問題はそのような好条件で声がかからない現役世代である。そこをニュースとすべきではないか。もし現役世代がナノポリスはじめ中国の研究機関へ流れ出したら、それこそ事件である。しかしそれが起きないことも憂うことだろう。

カテゴリー : 一般

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