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2022.01/26 フェノール樹脂とエチルシリケート

表題の組み合わせは、高分子の難燃化技術開発の過程で生まれた技術シーズである。ホスファゼン変性ポリウレタン発泡体の難燃性を評価した時に、その高い難燃性が燃焼時に無機高分子を生成するため、と思われる現象が観察された。


すなわち、リン酸エステル系難燃剤を添加型で用いたときに反応型として用いた時より、同等の難燃性レベルを得るためにリン原子の添加量が多く必要だった。


ところが、この性能差よりもホスファゼンの添加効果が高かったので、燃焼時のリン原子の挙動を研究した。すると、リン酸エステル系難燃剤では燃焼時にオルソリン酸の形態で揮発し、燃焼後の残渣にリン原子の単位が残っていないことがわかった。


それに対し、ホスファゼンを用いたときには燃焼時にオルソリン酸は検出されず、添加されたホスファゼンのリン原子の大半が燃焼後の残渣に残っていることが確認された。


そこで、燃焼時に揮発するオルソリン酸を燃焼時の系内に保持する目的で、リン酸エステルとホウ酸エステルの組み合わせ難燃化システムを検討した。


組み合わせたホウ酸エステルは期待通りに燃焼時にリン酸エステルと反応し、ボロンホスフェートを生成することが確認されただけでなく、この組み合わせ難燃化システムでは、ホスファゼンと同等レベルの難燃性能が発揮されることもわかった。


この成果から、フェノール樹脂とポリエチルシリケートを組み合わせてSiCを合成するアイデアが苦労なく自然に生まれている。ところが、この組み合わせのχパラメーターは十分に大きく相溶しない問題があり、これをどのように解決するのか、という高い技術の壁が存在した。


しかし、リアクティブブレンド技術を習得していたので、解決手段とその効果はフェルミ推定で予測された。すなわち、未体験の技術について、その技術要素を抽出し、それぞれの機能や役割効果を概略評価することでブレークスルーするための実験計画とその結果を予測したのである。

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