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2022.02/20 高分子材料の寿命予測(3)

高分子のクリープ現象は、金属やセラミックスのクリープ現象より複雑である。例えば高純度SiC成形体のような材料でも1450℃以上で観察可能なクリープが起きるが、これは拡散クリープである。


室温で実験を行うと天文学的な観測時間となる。そこで高温度で加速実験を行ってクリープ速度を求め、時間に対する変形量のマスターカーブを描くことが可能で、これが実際の現象とよく適合する。


金属やセラミックス材料では時間温度換算則を用いてこのような実験を行い、構造材料の設計を行っても市場でクリープによる品質問題を発生することは稀である。


例えばシリコーン半導体製造に用いられるダミーウェハーは、過去に高純度石英が用いられてきたが、クリープによるたわみ変形の問題があった。


シリコーンウェハーの加工温度におけるSiCのクリープ速度は石英のそれよりもはるかに遅い。シリコーンウェハーが大口径化されたのでSiCダミーウェハーはこの分野の必需品となった。


フェノール樹脂とポリエチルシリケートとのポリマーアロイ前駆体を用いた高純度SiC製造プロセスは40年以上前に当方により発明された。日本化学会技術賞も受賞しているこの製造方法は高純度SiCを経済的に製造できる優れた技術である。


この技術の発明により、高温度構造材料として用いられていた高純度石英の問題が解決され、信頼性の高い高純度構造材料の設計が可能となった。

カテゴリー : 一般 連載 電気/電子材料 高分子

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