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2022.07/29 データの数

科学の論文で現象の変化をグラフ化して議論を展開するためには3点以上データが必要である。また、3点あれば回帰分析が可能となる。


アーレニウスプロットでさえも3点あれば寿命予測可能となる。これを2点でやっていた猛者もいたが、寿命予測に用いるためには再現性の確認のためにもやはり3点は必要だろう。


ゴム会社の研究所でも多くの研究者は少ないデータ数で帰納論理を展開し結論を出していた。ところが新入社員時代の当方の上司は多数のデータを要求してきた。


美人の指導社員は最低5点グラフにないと納得してもらえない、と言われた。多数のデータを要求するところが、当方の上司は評価されていたのだろう。アーレニウスプロットでも3点では叱られている。


ある日二種類のサンプルのLOI比較グラフをそれぞれ3点でプロットして同一平面に並べて提出したら、すんなり受け取っていただけた。上司の名誉のためにこれ以上の事例を書かないが、どうもグラフの同一平面の点が3点以上であれば納得する人だった。


ゆえにどうしても実験データが増えるのだが、ホウ酸エステル変性ポリウレタンフォームでは50種類ほどの試験用ポリウレタンフォームを作らされた。


あとから分かったことだが、D社からリン酸エステル難燃剤の新製品評価を依頼されていたためだった。ただ、この実験のおかげで多変量解析の可能性についていろいろと検討することができた。


この経験から、データ解析に必要なサンプル数に興味がわき、実験計画法で最適条件を求めた場合に再現性が落ちる問題を解決している。


実験計画法を経験された方ならご存知かもしれないが、因子や水準の選び方で最適条件が変わる場合がある。ところが、相関係数を実験計画法に用いると最適条件の再現性がほぼ100%となる。


相関係数を用いるので、一水準の実験が3水準増え、例えばL9であれば9個の実験が27個必要となる。実験数は3倍となるが、最適条件が外れる問題は解消できるので、ゴム会社で実験計画法を用いたときにはこの方法で行うようになった。


タグチメソッドを経験されている方は、これが感度重視のタグチメソッドであることに気がつかれたかもしれない。田口先生がどのような経緯でタグチメソッドを考案されたのか存じ上げないが、実験計画法の問題に気がつくと外側因子として信号因子を振り実験を行う発想は自然と出てくる。

カテゴリー : 一般

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