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2022.08/05 情報化時代の技術開発(4)

1970年代の高分子材料開発の方法は、新たな高分子を合成してその物性を評価し、応用分野を考えるプロダクトアウト方式だった。


応用分野として選ばれた顧客に新しい高分子を売り込み、顧客が商品性能を評価し、気に入れば採用となる。しかし、新材料がいつでも顧客の商品スペックを満たしてくれるとは限らず、顧客から出たクレームを基に改良を行う。


顧客から見て魅力的な基本物性の材料では、顧客(例えば組立メーカー)と共同開発を行う場合もある。今も昔も高分子材料が事業化されるためには、材料価格相応の商品性能(商品あるいは部品品質ニーズ)が無ければならない。


商品あるいは部品品質を満たすための改良を材料メーカーが行うにあたり、目標となったのは商品の品質(以下部品品質)であり、材料そのものの物性ではない。


材料メーカーとしては材料の基本物性と部品品質の対応表が欲しいところだが、組立メーカーにとってそれはノウハウと見なしていた。ゆえに共同開発となっても部品品質の値は示されず、◎〇△×とxxを加えて五段階評価として示された。


材料メーカーにとって理不尽な扱いであっても組立メーカーの言いなりにならざるを得なかったのが1980年代までの両者の関係である。


このような両者の関係では、力のある組立メーカーに情報が集まる。一方材料メーカーは売り込むために材料物性表で魅力を伝えるためにそれを提供しなければならない。また、材料メーカー間の競争で有利に立つために材料の構造に関する情報まで技術サービスとして提供していた。


合成プロセス等は特許で公開されていたので、組立メーカーは合成プロセスから商品品質までの材料に関する情報を揃えることができた。


情報優位な立場にあった1980年前後の組立メーカーの中にはデータサイエンスに基づく研究開発を行うところも出てきた。そして、特許出願を行い材料メーカーに材料合成を依頼するメーカーまで現れた。

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