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2022.08/10 情報化時代の技術開発(7)

マテリアルインフォマティクスを従来の科学の研究と同様に捉えるのは、言葉が悪いが詐欺に引っかかるようなものである。改めて言うまでもないが、科学とは真理を追究することが使命である。ゆえに従来の科学研究とは異なる情報化時代のカテゴリー不明のテーマである。


科学の意味は時代とともに変化するかもしれないが、その使命を変えたなら科学の意味が無くなる。ユークリッド幾何学が学校教育で積極的に指導されなくなった理由は科学時代に似つかわしくない学問と捉えられたから、と高校で習った。


ユークリッド幾何学の今日の扱いを考慮すれば、マテリアルインフォマティクスは科学というよりも技術のカテゴリーで論じられるべきテーマである。


分かりやすく言えば、マテリアルインフォマティクスは技術のカテゴリーにおける問題解決の方法である。マテリアルインフォマティクスで得られるのは経験知であって、形式知ではない。形式知とするためには、従来からの科学の方法による手続きが必要である。


人工知能を使わない情報科学を用いた材料開発の方法について、多変量解析が生まれた時代から研究が始まっている。ただし当時は、科学の方法ではない、という理由ゆえに馬鹿にされた。


技術の方法という自覚で手法を展開しても科学技術こそ正しい技術開発と信じている人間からFDを壊されたりする妨害を受けた。成果(注)を出しても多変量解析の手法が迫害された時代があった。


8月末にデータサイエンスのセミナーを企画している。情報をどのように扱い技術の問題を解いてきたのか、実例をもとに講演を行う。9月以降にはAIで注目されるようになったPythonについてパーコレーション転移を題材にプログラミングの基礎セミナーを予定している。


このPythonの基礎セミナーについては、無料セミナーを8月に行うかどうか迷っている。資料ができ次第無料セミナーについては告知します。お問い合わせください。内容の評価を調査する目的で事前のお問い合わせの人を対象にしたクローズドセミナーとする可能性も考えています。


(注)絶縁体オイルに特殊な微粒子を分散させると電気粘性流体(ERF)ができる。ERFは流体であるが、電場をかけると固体に近い状態になる。この性質があるので、電場でレオロジーを制御できる機能性流体として注目され、開発競争が行われた時代がある。ゴム会社でERFが研究されていた時にその方法は科学で行われ、「ERFの耐久性問題はケースにゴムを用いる限り、界面活性剤で解決できない」という否定証明を完成させた研究者集団がいる。そしてその研究の完成をよりどころとして、「加硫剤もオイルも何も添加されていない加硫ゴムの開発」という技術的にはおよそ信じられない科学テーマが企画され、高純度SiCの事業を立ち上げたばかりの当方に依頼された。理由は当時のゴム会社の研究所でゴムについて一番詳しい研究者は、新入社員時代に樹脂補強ゴムを3か月で作り上げた当方だと評価されていたからである。当方はこのテーマをやりたくなかったので、一晩徹夜して界面活性剤について自分の頭とMZ80Kを用いてデータマイニングを行い、ゴムのケースを用いてもERFの耐久性を改善できる界面活性剤を見出した。そうしたら会議前になると実験データを取り込んだFDを壊される妨害を受けるようになった。それでもひるまず、ERFの機能性を実用化レベルまであげる実用性のある傾斜構造の粉体まで開発した。しかし、FD事件を隠蔽化するという上司の行動で転職をしなければいけなくなった。科学の否定証明が完璧になされても技術は現象から機能を取り出せる、という実例であるとともにERFの実用技術開発で起きた出来事は科学の世界における事件でもある。

カテゴリー : 一般

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