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2022.08/11 情報化時代の技術開発(8)

情報化時代において形式知の入手が容易になった。例えば化学系の情報について50年ほど前ならばケミカルアブストラクトという定期刊行物が発行されるたびにチェックする作業が求められた。


高額な料金を支払えば、希望するキーワードについてデータベースの利用が可能になり始めていたが、学生時代にケミカルアブストラクトを読む習慣を躾けられた。


ところがこのような習慣の躾は講座ごとにまちまちで、4年時に在籍した講座では研究者ならば常識とされた。当方は研究者になるつもりは無かったのでさぼっていたら、卒論提出締め切り日の前日に指導教官から300報以上の論文別刷を机につまれ、これらが明日までに1年間読んでいたはずの資料である、と説明された。


早い話が、目の前に積まれた論文の内容が反映されていない卒論は受け取れない、という意思表示である。早速それらを家に持ち帰り徹夜でまとめて卒論を書き直し、締め切り日の夕方には卒論を受け取っていただけた。


そしてアメリカ化学会誌投稿用の下書きをまとめるように言われた。その後教授の退官ゆえに講座が閉鎖されること、大学院はどこの講座でもすきなところへ進学してよいことを告げられた。π型人間の講話を聴いていたので無機材料の講座を選んでいる。


大学院に進学後、毎月図書室でケミカルアブストラクトを読む時間を半日設けた。そのときケミカルアブストラクトの当方が読むべき個所に鉛筆で印がつけられていることに気がついた。


新しい指導教官がつけてくれていたのだが、それを消す作業が当方の日課となった。理由は図書室の受付の女性から、大学の図書に書き込みをしてはいけないと注意を受けたからである。


古いケミカルアブストラクトにも皆鉛筆で印がついていたので、当方のためでないことを理解できたが、いつの間にかこの落書きを消すことが当方の習慣になった。ケミカルアブストラクトだけでなく学術雑誌にもチェックが入っていたのである。おかげで大学院の2年間はよく勉強ができた。

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