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2023.03/23 ブリードアウトの困った問題

ブリードアウトという品質問題は典型的なトランスサイエンスであり、科学的に解けそうで解決が難しい問題である。


品質問題が発生した時に仮説を設定してそれを検証することは可能であり、例えば拡散現象として仮説を市場の観察結果から設定して実験を行うとうまくゆくことが多い。


しかし、科学的に解決できたはずなのに、異なる条件でまた問題が発生する。そこで異なる条件において仮説を設定し、また仮説を検証することになる。ブリードアウトの問題はモグラたたきになりやすい。


運が良ければ、同じ条件で品質問題が起きて、すぐにトランスサイエンスであると悟れた時である。形式知で解決できない問題、として有識者に迅速に相談できる人は、優秀な人である。


当方が実務を担当していた時には最初にトランスサイエンスかどうか判断していたが、さらにそれさえも複数の有識者に相談していた。


複数の有識者に相談した理由は、ドラッカーの異なる見解にこそ耳を傾けよ、という名言を知っていたからである。例えばこのブリードアウトの問題について、「科学的に解決できる」という人と「科学的に解決できない」と見解が分かれる。


当方は、現物を見てみないと分からない、と答えるのだが、これを理解できない人もいる。すなわち、説明している内容から答えを見出せないなら力量が低い、と判断する人が日本人には多い。


ここで日本人には多い、と書いたのは中国人の顧客はコロナ禍にも関わらず、すぐに見に来てくれ、と言われるからだ。彼らは現象の理解が視点により変わることを本能的に知っているからである。


八百万の神を信ずる日本人のはずだが、八百万の神が皆同じことを言ってくれるものと勝手に信じているようだ。自然現象には経験知により見え方が様々に変わる問題が存在することを早く理解できるかどうかは技術者の成長と関係している。


八百万の神の中から自分好みの答えを言ってくれる神を探すのか、自分のことを救おうとして考えてくれると信じて八百万の神にお願いするのか、人それぞれである。ただし当方は神でも仏でもない。だからいつでも現物現場主義となる。

カテゴリー : 一般

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