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2023.09/20 新規ポリマーアロイ(5)

昨日微妙なニュースが飛び込んできた。当方はコロナ禍前の2019年までナノポリスへ出かけては、学生やローカルメーカーの指導をしてきたが、その中に1社PPSコンパウンドを事業としている会社があった。


そこの総経理から中国EVメーカーが使用するPPSコンパウンドについて、全EVメーカーへのPPSコンパウンド納入に成功したという連絡が入った。すなわち中国のEVメーカーで生産される製品に使用されるPPS部品は、当方が指導した会社のコンパウンドになったという。


理由は、世界のどのメーカーよりも高品質だからだそうだ。タグチメソッドを導入し開発したのだからロバストが高いのは当然だが、他社では実現できない品質が達成されている、と自慢していた。


特にMAO処理では、高い品質効果が確認されているという。これは今連載で説明しているが、カオス混合の寄与が高いと思っている。


そのほかに、データサイエンスで解析して得たある知見をコンパウンディングに用いているが、これは科学では説明できない現象(注)を活用している。


科学を重視というよりも科学パラノイアに近い技術者には理解しがたい技術でコンパウンドを生産しているので、他社ではリバースエンジニアリングが難しい。


いろいろ感謝された後、10月に来てほしいと言われたが、現在の日中関係を思い、回答を差し控えた。ナノポリスで指導していた技術については、当方の著書にすべて書いてあり、日本で公開済みであるが、著書の売り上げは芳しくない。弊社へご注文いただければ、送料サービスでお送りいたします。


また、タグチメソッドはじめデータサイエンスについては、セミナー活動を通じ、当方のノウハウを公開している。中国や台湾でもセミナーをたまに実施しているが、集客は日本と比較にならないほど盛況で悩ましい問題だと思っている。


日本でも当方のセミナーに多くの人に参加していただきたいと願っている。今週末の難燃化技術セミナーでも50年近くのノウハウとこの10年の成果やデータサイエンスを用いた開発事例を公開する。また、ディープラーニングについても入門程度の解説を行い、難燃化技術とマテリアルズインフォマティクスについて理解できるよう準備してる。


(注)ほとんどの混練技術に関する形式知の説明では、分配混合と分散混合の概念が用いられている。この概念では理解できない現象が混練で起きている。

カテゴリー : 一般 電気/電子材料 高分子

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