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2023.12/09 データの解析力(3)

電気粘性流体の耐久性問題では、旧七帝大の二人の博士を含む優秀なスタッフたちが、界面活性剤ではこの問題を解決できない、という否定証明を1年かけて行っていた。


電気粘性流体とは、電場をかけると固体に近い状態となり、電場をOFFにすると流体になる、電圧でレオロジーを制御できる流体である。これをゴムケースに封入し、電圧制御可能な制振デバイスとして応用する研究が40年近く前先端技術のテーマとしてもてはやされていた。


当方は高い電気粘性効果を発揮する3種の粒子構造(傾斜組成の構造、超微粒子が分散した構造の粒子、コンデンサーが分散した粒子)の基本特許を非科学的な問題解決法で技術を生み出して4件書いている。


話がそれるが、当時得体のしれないカーボンを使って電気粘性流体の研究が科学的に進められていたので、耐久性問題の解決後、3種のコンセプトを企画として提案し、1か月ほどで4種の特許明細書を書き上げている。


弊社の問題解決法では研究開発のスピードが著しく向上する。ゆえに研究者の働き方改革(注)に活用すべきである。ゴム会社の当時の特許を調べていただければこの真実を確認できる。


特許検索をしていただければ確認できるので興味のあるかたは、検索していただきたい。傾斜組成の構造の粒子は、そのまま実用化され、テストマーケティングされている。


さて、この電気粘性流体を自動車のアクティブサスとして実用化しようとして、ゴムケースからのブリードアウトで電気粘性流体が増粘するという問題が起きた。これが電気粘性流体の耐久性問題である。


このとき、ゴム会社の常識ある技術者ならば、電気粘性流体の改良でこの問題解決を行うのが鉄則である、とヒューリスティックに答えを導くことができる。


しかし、高学歴研究スタッフは、添加剤や加硫剤が入っていないゴムを開発する以外に解決法は無いという結論を電気粘性流体の耐久性問題の科学的解として導いている。


そしてそれを当時の音振動の大家であった本部長は絶賛し、住友金属工業との高純度SiC半導体治工具事業を立ち上げたばかりの当方へ、JVを中止し、ゴム開発を行うように命じてきた。


当方が命じられた理由は、当時アメリカの会社を買収したばかりで、研究所に残っていたゴムの研究者はセラミックス事業開発を一人で担当していた当方しか残っていなかったからである。


ゴム会社の研究所で最もゴムに詳しい研究者として指名されたので、今から思えば、大変名誉なことである。この時の名誉に応えるために5年ほど前にゴムタイムズ社から混練技術に関する書籍を出していただいた。


(注)研究とは「何か新しいニュースを見出すこと」と大阪大学の小竹先生が昔日本化学会会報に書かれていた。科学的である必要は無く、現象から新しい機能を見出す方法が求められる。それが弊社の問題解決法に活かされている。科学的方法と同様に非科学的方法も用いているのでそれをコントロールするコンセプトが重要となってくる。弊社の研究開発必勝法は単なるヤマカンの方法ではない。

カテゴリー : 一般

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