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2024.01/18 松本人志

表題はダウンタウンのコンビ漫才のネタ作りも担当している人物である。1982年にコンビ結成され、またたくまに人気者になった。


少し過激なネタが多かったためだろう。当方は故志村けんの芸風が好きで、ダウンタウンの漫才をあまり見ていない。いわゆるイロモノの芸でも松本氏と故志村氏では全く異なり、どこか傲慢さを感じる松本氏の芸を受け入れることができなかった。


たまに松本氏の漫才を見たときのネタが、ネタではなく体験談だったことに驚いている。性加害が問題とされ、松本氏は引退の瀬戸際に追い込まれている、この時代の変化には驚嘆している。


40年以上前ならば、今回の文春砲はネタにされて終わっていたのかもしれないが、今や社会問題にまでなっている。かつて松本氏との関係で名前の出た女優にも二次被害が出始めている。


同様の急激な変化として、マテリアルズインフォマティクス(MI)がある。第3次AIブームでは生成AIに話題を持っていかれたが、10年近く前登場した時には、それを事業にした企業まで登場し、大手の材料メーカーが飛びついている。


天国と地獄という変化の違いがあるが、このMIも松本氏と同様の変遷であることをほとんどの人はご存知ないだろう。昔データサイエンスで材料を研究する、という数理モデルで問題を解くスタイルの研究(注)は迫害に近い扱いを受けている。


ちょうど松本氏がデビューした頃は初任給10万円程度だったが、上司から言われ80万円でローンを組み独身寮に8ビットマイコンを設置して、本格的にデータサイエンスの勉強を始めなければいけなかった。ローンの保証人には上司が印を押してくださったので今でも感謝している。


会社では、材料屋がコンピューターを使ってデータ解析することは、趣味として扱われたのである。その一方で、上司が企画委員だったという理由で、高分子学会「崩壊と安定化研究会」で、高分子の難燃化技術というセッションでデータサイエンスと化学分析を組み合わせた研究を発表させられている。


なんと、この時出張旅費の申請をするなとも言われている。1時間もしゃべらされて、すぐに会社へ戻り、仕事をしている。なぜか珍しく上司から昼飯をご馳走になっているが、本来は業務出張とすべきではないかと、今でも鮮明に記憶している。


鮮明に記憶している理由は、当時松本氏の芸同様に大うけし、セミナー会社から高分子の難燃化技術に関するセミナーで講師を頼まれるようになったからである。


このセミナー講師の仕事では、上司から年休取得して勤めるように言われている。写真会社へ転職してからは、出張扱いだった。企業により扱いが異なっていることに違和感を感じたが、セミナー講師に講師料と交通費が支払われていることを知ったのは写真会社へ転職してからである。難燃化技術の講師は上司から紹介されたが、講師料の話は無かった。


しかし、ゴム会社の研究所では今の松本氏同様の地獄状態で、データサイエンスを用いて電気粘性流体の耐久性問題を解決したときには、FDを壊されたりナイフが机に刺さっていたりとひどい状態になり、それが隠蔽化されさらに続くというので転職している。


40年近く経って時代は大きく変わった。松本氏は引退まで考えなければいけない状態になっているが、材料科学の研究ではデータサイエンスが大うけでますます発展しそうな勢いである。


40年近く経ち、地獄から天国となった材料研究にデータサイエンスを用いるスタイルを、今年日本化学会の春季年会で発表します。昨日セッション番号等届きました。興味のあるかたは、聞きに来てください。


セッション番号は C443-3am、セッション日時は 2024年3月20日(水) 9:00 ~ 11:30で講演番号は C443-3am-01「 難燃剤の組合せ効果解析法及びそれを用いた難燃性高分子設計法」です。


40年近く前に行ったデータサイエンスの手法と最近のMIでよく用いられるパーセプトロンのアルゴリズムで解析する手法との比較です。数理モデルで材料科学の問題を解くときのヒントになります。


なお、弊社で開催しているデータサイエンスのセミナーでも詳細を解説していますので、ご興味のあるかたはお問い合わせください。2月度にセミナーを開催いたします。


また、来週その一部であるタグチメソッドについて、R&D支援センターでPythonプログラムを配布しわかりやすく解説いたします。弊社へお申し込みくださるとゴムタイムズ社発行の著書を謹呈いたします。


(注)ダッシュポットとバネのモデルで粘弾性問題を考える手法は、ゴムのクリープを説明できないという理由で高分子科学の研究手法から追放された。当方の指導社員はこの名手で、研究所で厳しい立場にあると嘆いておられた。

おそらく当方の体験談など今の時代の若者は信じられないかもしれないが、昔の松本氏も今の時代になるとは思っていなかったからネタにしていたのだろう。当方は今の時代となったので、昔のパワハラ実態を体験談のネタにしている。データサイエンスの研究に対する周囲の反応は自己実現の励みになったが、それも度を越せば自殺か転職をしなければいけない事件となる。

高分子の難燃化技術の研究にコンピュータを導入する業務について、マイコン購入の保証人になってくれたり、セミナー講師の仕事を任せてくれたり、と当時の上司は、実態はどうであれ、支援していただいたのではないか、という思い出となっている。ただ、電気粘性流体の仕事を担当した時の周囲の反応から、研究所のメンバーからは非科学の方法で仕事を進めるスタイルを邪教のように思われていたことに気がついた。

邪教ではあるが、直交表を用いてフローリーハギンズ理論で否定される高純度SiC前駆体の合成法を開発したり、多変量解析でホウ酸エステル変性ポリウレタンフォーム、タグチメソッドもどきの手法で高純度SiCヒーターやセラミックスチップを開発したり、ゴム会社ではデータサイエンスを用いたモノ造りをしていた。

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