2025.05/04 大阪7人の小学生の事故
表題の痛ましい事故について、犯人の父親の談話が発表された。胸が痛む談話だった。犯人を擁護するつもりはないが、犯人は犯人で大変だったのだろうと思う。
犯人は28歳でもう子供ではない。おそらく、これから犯人像について解析が行われるのだろうが、何か悩みを抱えていた可能性がある。そして、そのはけ口について、今回の事故以外に思い至らなかったのだろうと想像する。
当方のゴム会社の12年は、セクハラ、パワハラの宝庫であり、死にたいとか考えたこともある。いくら前向きに考えているような人物でも、健全な思考も止まるような異常な状況に陥ると一瞬反社会的な、あるいは地獄のような状態へ自ら導くようなことを考える場合も出てくる。
当方は、どんなに悩んでいても苦しくても明るく見えるらしい。むしろ、良いアイデアがひらめいて必死にそれを展開して考えているときに、他人は心配してくれるので困っている。
一番幸せ状態の時に他人から大変な状態とみられるのである。この悩みをご理解いただけないと思うが、人間ならだれでも悩みというものを経験する。孔子だって40にして惑わず、という言葉を残しているので、40になるまで悩んだりしたのだろう。
他人の悩みの相談に乗ると分かるが、誰でも悩んでいるときにはとんでもないことを一瞬考えているようだ。孔子は40でそれが無くなったそうだが、凡人は、いくつになっても死んでしまいたい気になるものである。
しかし、70を越えた今、悩んで死んだと思ってくれる人がどれだけいるのか、と考えたときに不安になる。恐らく寿命で死んだぐらいにしか思われないのではないかと考えると、まず死ぬことがあほらしくなる。
このとき、ふと孔子も同様に感じたのではあるまいか、と気がついた。今のような長寿の時代ではなかったはずで、織田信長の時代でも50歳まで生きることが大変だった時代である。40にして惑わずは、人間として完成していなくても寿命の短い孔子の時代ならば考えることだろう。
孔子でさえも寿命近くの40になるまで、悩みを抱えていたと思う時、この悩みの解消機会の数だけ、不幸な事件に至るのかどうか左右されるのかもしれない。
表題の犯人の父親は、犯人が放射線技師を辞めたことをニュースで知ったという。一方で本人の悩みの相談に乗ろうと努力していたことが述べられている。
当方の悩んだ経験からすれば、周囲から悩みの相談に乗ろうとしても相談者と悩んでいる人物との関係で上手くいかない場合がでてくる。「あなたに相談しても問題は解決しない」と考えてしまう場合である。
大切なのは悩んでいる本人が、悩みを一緒に解決してくれるだろうという人物がいるかどうかにかかっている。新入社員時代に人事部は当方の駆け込み寺の機能となっていた。
高純度SiCの事業を推進しているときに、本部長はじめ役員の方々が悩みの相談者だった。しかし、電気粘性流体の耐久性問題を解決した後に連続して起きた事件の相談者はいなかった。正しくは、相談した誰もが隠蔽化したのである。
同僚でさえも事件を信じられなかったのである。業務の世話をしていた二人の若手は事件の恐怖を知り、転職するような状態になってしまった。
その後当方は妻に相談し、転職を決意している。転職後しばらくして社長室乱入割腹事件という未曽有の事件が起きて、転職して良かった、と思ったりしたのである。会社という閉鎖社会で起きる恐怖は隠蔽化された時に当事者は逃げ場のない恐怖となるのである。
悩んでいる人が、自ら悩みを相談できる人が常にいる社会や職場風土が大切である。ところが最近の社会のキーワードは「自己責任」や「孤立化」である。
(注)今回の事故がやりきれないのは、防ぐことのできた可能性があった、と感じさせる報道がなされている点である。少なくとも犯人の悩みを解消できる環境さえ犯人の周りにあったならば、事故を防ぐことができたのかもしれない。高純度SiCの事業が住友金属工業とのJVとして立ち上がったときに、本部長が交代している。それまで営業活動の指導までしてくださった本部長から、新入社員時代の本部長のような共感性の乏しい方に交代している。FD事件を相談しても、同僚が転職する可能性を相談しても、正しい理解が得られなかった。人事部の同期に相談しても本部長が隠蔽化していては人事部として動きようがないといわれた。まず指導社員となっていた部下が転職した。そして事件の状況を身近で見てきた同僚の転職先が決まったという。当方は慌てて写真会社へ転職している。転職後、当方の仕事を引き継いだ管理職の方の技術相談のため半年以上転職後も時々ゴム会社を訪問している。この頃の証拠として、この管理職から頂いた手紙が残っている。当時を思い出すと、「病んでいる職場」という難しい問題が浮かび上がる。当方が転職後、ゴム会社で世間の経営者を震撼させる大事件が起きているが、新聞も週刊誌も事件の報道以外何故か沈黙していた。今回もそうであるが、事件を起こした犯人が一番悪い。しかし、犯人が仕事を辞めて事件を起こした経緯を知りたい。これは単なる事故ではなく、このような犯人を生み出す問題について解決策を考えなければいけない。
カテゴリー : 一般
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