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2023.09/10 シミュレーション

シミュレーションには現象を数式で記述する方法と現象のモデルをコンピューターの中で機能させる方法とがある。


後者では、現象の動作を数式で記述する必要が無く、思考実験と類似の方法なのでプログラミングスキルがあれば、だれでもコンピューターシミュレーションが可能である。


数式で記述する場合も、現象をデフォルメしたモデルを仮定することがあるので、この両者の違いが分かりにくいが、後者では機能の数学表現を考える必要が無い点が容易である。


ここに最近はディープラーニングすなわちAIの手法も入ってきて、後者はますます便利になった。Pythonを用いれば豊富な無料ライブラリーが存在し、プログラミングもますます易しくなる。


このあたりを体感していただくためにパーコレーションのシミュレーションセミナーを開講してます。詳細はセミナーのページをご覧ください。

カテゴリー : 一般

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2023.09/09 高分子の難燃化技術セミナー

下記内容で、今月22日に技術情報協会主催で高分子の難燃化技術セミナーが開催されます。弊社にお問いあわせ頂くか、直接技術情報協会へお申し込みください。


火災は,急激に進行する酸化反応である。非平衡下の科学が未だ研究段階であり,高分子材料の難燃化技術を科学の形式知だけでは開発できない。形式知で解決できない問題は,経験知や暗黙知まで動員して解決することになる。


すなわち,科学で解決できない高分子材料の難燃化技術では,高分子材料の用途に適合した難燃化規格を定めることにより,問題解決できるようにしている。


しかし,高分子材料の用途は様々であり,ひとたび火災が発生すれば用途ごとに燃焼のリスクだけでなく燃焼時の現象も様々となる。このことから難燃性の規格は,用途ごとに決める必要性があり,その結果測定法も様々となり,不定期に改定される規格も出てくる実情を納得できる。

高分子材料の成形体を購入する立場であれば,納入業者に規格に合格しているかどうか確認すればよい。ところが,多種多様の業界に製品を納入している成形体メーカーは大変である。それぞれの業界ごとに製品が規格に合格するのかどうか確認しなければいけない。


ここで手を抜く担当者は,材料メーカーにそれを求める。その結果,高分子材料の業界では,コンパウンドメーカーが難燃化技術の開発をしなければいけなくなる。 コンパウンドを難燃化するときに,最もよい難燃化手法を探すことになるが,「最もよい方法」を客観的に評価するには,それが科学的に証明されなくてはいけない。

本セミナーでは,高分子の耐熱性と難燃性について概説する。また,熱分析手法を用いた開発事例を説明し,新たな難燃化技術を開発するヒントを示す。さらに,2022 年に施行された法律により再生材の活用が本格化している実情を踏まえ,再生材の難燃化技術の事例も解説する。

高分子の難燃化技術は,トランスサイエンス(注)でありその問題解決にデータサイエンスは有効な手法の一つであり,Python によるディープラーニングによる回帰の結果についても言及する。


(注)科学で問うことができるが,科学で答えることのできない問題。

カテゴリー : 未分類

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2023.09/08 マテリアルズインフォマティクスの問題

かつて高分子のレオロジーについてダッシュポットとバネのモデルを用いて研究していた時代があった。しかし、クリープという現象についてこのモデルでは説明できないことが分かり、1980年代に頓挫している。


ゴム会社では、1970年代に数理モデルによる高分子研究は否定され、研究者はひどい目にあったらしい。当方のようなセラミックス事業を研究所で住友金属工業とのJVを起こしたケースでは会議前になるとFDを壊されたりという妨害を受けたので、当時のレオロジー研究者は大変だったのではないかと想像している。


さて、2010年代に第3次AIブームが始まって、日本でもマテリアルズインフォマティクスが流行したので、慌てて飛びついた企業が多いのではないか。


マテリアルズインフォマティクスという何か魔法のような名称だが、1980年前後に情報工学の講座設置ブームが起きた時の流れであるデータサイエンスの一分野である。


第三次AIブームでAIが導入されたデータサイエンスと書けばわかりやすいかもしれない。コンピューターという学習機械を用いてビッグデータで機械学習を行い、答えを見つけようという手法である。


これで新しい知を見つけられるとアカデミアが騒ぎ、マテリアルズインフォマティクスを推進する会社まで生まれている。弊社はこのブームが起きる前から問題解決法の一手法として多変量解析を指導してきたが、この多変量解析は、機械学習の一手法に組み入れられている。


これは少し問題である。確かに機械学習の側面もあるが、多変量解析には多変量解析の解析方法が存在し、その中には単純に回帰を求めるだけではない方法もある。


50年近く多変量解析を利用してきて、この手法を気軽に機械学習の一手法として説明しないでいただきたいと思っている。多変量解析の一部に機械学習もある、そして機械学習には多変量解析以外の方法もある、ぐらいのほうが誤解を生まない。

カテゴリー : 一般 高分子

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2023.09/07 MBD

モデルベースデザインとかモデルベース開発という言葉が1980年代のアメリカで生まれているそうだ。これは故田口玄一先生との雑談で伺った話である。


タグチメソッドもそのカテゴリーのメソッドとして最も優れているとの説明だったが、確かに損失関数で、研究開発から市場まで同じパラメーターで一気通貫に記述できたなら、モノづくりの流れの中で、セグメントごとのモデルが異なってもO/Pを揃えることができるので、モデルベース開発となる。


しかし、各企業の現状はQC手法で品質管理が行われており、そこで損失関数は使われていない。すなわち、タグチメソッドでモデルベース開発の思想を川下まで行おうとするとそれなりのイノベーションが必要となる。


損失関数は、品質が失われたり低下した時の社会的損失を例えば金額ベースで表すことができ、管理がしやすいが、現状のQC手法とどのように整合性を取ってゆくのか難しい問題が存在する。ワイブル統計さえもうまく使いこなされていないのに、である。


しかし、トランスサイエンスの時代となり、科学で問うことができても科学で答えることができない問題が溢れてきて、科学的品質管理手法というキャッチフレーズで1960年代から普及してきた手法ならDXの進展もあり大きく転換しても良いのではないか。

カテゴリー : 未分類

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2023.09/06 Pythonで学ぶパーコレーション

絶縁体高分子に導電性微粒子を分散し抵抗測定を行うと、その添加率(体積分率)に従い、抵抗が減少する。そしてある添加率のところで急激に抵抗が減少する現象が観察される。


これがパーコレーション転移と呼ばれる現象で、電気抵抗だけでなく、弾性率や線膨張率でもその変化を確認することができる。ただし、電気抵抗のように桁数が大きく変動する変化ではないので、あまり注目されていない。


ただ、昔から混合則とか複合則というルールがあり、未だにいいかげんな教科書でこのルールを見かけることがある。1990年ごろ、当方が日本化学会で研究発表を行ったときに、パーコレーションという言葉を用いたが、会場がシーンとなってびっくりした。


他のセッションでは、複合則とか混合則という言葉が常識的に使われていたので、奇異に思われたのだろう。当方は1979年に指導社員からパーコレーションの説明を受けている。


当時はスタウファーの教科書が頼りであったが、化学系の人でこの教科書を読んでいる人は皆無だった。その教科書によれば、カリフォルニアの山火事について数学者たちがボンド問題とサイト問題として議論したのが最初だという。1950年代で当方が生まれた頃の話である。


それが高分子の世界で一般的になるのに40年以上かかっている。数理モデルを数式で理解することが難しかったからである。この数式はコロナの流行でよくテレビで見たようなクラスター理論と通じている。


無限クラスターが生成するところがパーコレーションの閾値である。微粒子が真球であれば、体積分率で30%前後のところである。長径と短径の比、アスペクト比が大きくなるにつれこの閾値は小さくなる。


数式で数理モデルを理解しようとすると大変であるが、コンピューターの中で実際に微粒子が分散する状態を再現して計算すると理解しやすい。


このシミュレーション法についてエンジン部分のPythonプログラムを配布してWEBセミナーを弊社で行っています。Pythonのプログラミングを学ぶには良い教材ですのでお問い合わせください。パーコレーションを理解できるとPythonが身についている、というセミナーです。

カテゴリー : 一般 電気/電子材料 高分子

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2023.09/05 Pythonのスキル

マイクロソフト社からエクセル365にPythonを搭載するニュースが発表されたが、どれだけの人がこのニュースの重みに気がつかれているだろうか。


2010年から第三次AIブームが始まり、過去二回のブーム同様に下火になるかと思っていたら、ChatGPTが飛び出した。そしてマイクロソフト社の発表である。


この第3次AIブームは明らかにPythonが牽引していると言っても過言ではないだろう。マテリアルズインフォマティクスも含めディープラーニングが注目されているが、昔からの多変量解析にも注目したい。


回帰や分類を行うには多変量解析が便利だ。そして重回帰分析では、Pythonを使えばたった2行で計算部分を書くことができる(import文は別である。)。


弊社ではマルチパラダイム言語である点に着目し、習得しやすいように解説しています。詳細は弊社セミナーサイトをご覧ください。

カテゴリー : 一般

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2023.09/04 人生はカオスである。

ゴム会社に入社したきっかけは、オイルショックの影響で就職氷河期だったこと、車に関心があったこと、たまたま合格通知が他の企業よりも早く来たことなどの要因が重なっている。


それでも入社前送られてきた創業者の伝記を読み、啓発されて高純度SiCの半導体治工具事業を起業しサラリーマンとしては12年間勤務したゴム会社に多大な貢献をしたと思っている。


しかも、この仕事を成功させるまでに十分な残業代が支払われていないばかりか、出張費など持ち出しも多かった。さらにこの仕事の前に担当していた高分子の難燃化技術では、天井材や寝具などの成果を出しているが、過重労働の毎日だった。


これらの技術企画は当方でなければ立案出来ないと言える個性豊かな企画と言われている。これらの企画の前に担当した業務が、研究所に配属された最初の仕事となる。


それは、ゴム会社に勤務した経歴として分かりやすい、樹脂補強ゴムの開発である。3か月という短期間であったが、バンバリーとロール混練の実技を身に着けるには十分な作業量と、スキルと高度な専門知識を学ぶこともできた。


レオロジーの専門家であり、実技のスキルも高かった指導社員のおかげで、1年間の予定のゴールを3か月で実現でき、混練のスキルを研究所で最も高いレベルと転職前に言われるほどの濃厚な毎日だった。


この時ご指導いただいた知識とスキルのおかげで、写真会社転職後様々な成果をあげることができた。ゴム会社では大学院で学んだ知識で成果を出したが、写真会社では、ゴム会社で3か月間学んだ知識で成果を出している。


面白いのは、この3か月間に指導社員から出された宿題を写真会社の最後の5年間で実現できたことである。指導社員からはカオス混合技術について研究するように言われていたが、この指導社員から別れた後、ゴム会社で研究する機会は無かった。


それが、写真会社で偶然生まれたのだ。企業の統合により、カメラ会社で6年ほど研究開発されていたテーマを担当することになったためである。そのテーマは、国内で高分子技術ではトップクラスの企業からコンパウンドが提供されて進められていた。


そして、コンパウンドの改良をしなければ問題点を解決できないテーマだったので、その企業にお願いした。ところが、断られた上に勝手に自分でやれ、と言われたので、カオス混合プラント建設のチャンスが生まれた。

そして大成功だった。その後、このメーカーからもカオス混合に関する特許出願が10件ほど出ているのを知り、何となく嬉しかった。

カテゴリー : 一般 高分子

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2023.09/03 人生やり直せるか

大人のファンタジードラマの設定として、カフカの「変身」のような自分が別の生き物になるタイプや、人生をリセットしてやり直してみたりするタイプ、タイムスリップして別の時代を生きるタイプなどがある。


いずれもあり得ない設定なのでファンタジーなのだが、最近人生をやり直すタイプのドラマが流行しているらしい。


『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』や『東京リベンジャーズ』『ブラッシュアップライフ』などのタイトルが並び、これらのドラマが流行する社会背景の解説がWEBニュースにあった。


この解説を読み、これがこの10年の傾向であることを知った。10年前と言えば、村上春樹の「色彩を持たない多崎つくると巡礼の年」がベストセラーとなっている。


名古屋が関係したこの小説では、年上の恋人沙羅からのアドバイスで、昔の友人たちに主人公は会いにゆく。すなわちこれが巡礼なんだろうけれど、巡礼途中で沙羅が他の男性とデートしている様子を見つけて慌てる。


そして明日沙羅にプロポーズを断られたら、と悩んでいるところで終わるストーリーで、とにかく今を懸命に生きることが大切であることがテーマとなっている。


ストーリーが分かっていても村上春樹の小説は面白いので、もし村上本を一冊読むとしたらこの本をお勧めする。2時間ほどで一気に読めるので、他の著書のように途中で読み飽きることはない。


残念ながらWEBニュースで紹介されたTVドラマを見ていないので、その解説について評価できないが、その解説に書かれていた、「人生をやり直す」、という考え方では、多崎つくるの巡礼は参考になる。


彼は高校時代の友達と会い、自分の過去と向き合うのだが、この小説では、そのきっかけが沙羅のアドバイスである点が面白い。自分の気づきではないのだ。


ところで、人生のやり直しは、誰でも考えるものらしい。人生で成功した友人たちと話していても、一つや二つ「もしーーだったなら」という話が、酒の肴として飛び出す。


しかし、若い人たちが、「人生のやり直し」にあこがれるのは、少し不思議に感じたりする。それよりも今の自分を見つめなおし、これから何をしたいか具体化するために、定年後何をするのかよく考えることをお勧めする。


人生100年時代に、組織人としては65歳までしか生きられないのだ。企業によっては、55歳で線引きをしているところもある。


30歳や40歳で過去のやり直しにあこがれるくらいなら、65歳過ぎてからの人生を真剣に考え、自己実現の戦略を練ることの方が大切である。


ゴム会社は親切にも管理職に対して55歳過ぎると閑職にしてくれる。組織を離れた人生について、10年間考える猶予の時間を給与とともに与えてくれるのである。


未来は、今の行動変容の結果であることを知ると、多崎つくるのように巡礼をしている暇など無い。20年、30年先にまだ長い人生があることを若い人は気がつくべきである。

カテゴリー : 未分類

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2023.09/02 石川数正の出奔

「どうする家康」の視聴率が上がらないらしい。当方もほとんど視聴しなくなった。理由は単純で、面白くないからである。若者受けを狙って演出している、との解説があったが、その若者も見ていないのであれば意味のない演出だ。


ところで石川数正の出奔について、このドラマでは、泣ける話が展開された。演じる松重豊もうまかった。しかし、本当にそのようであったかどうか、ネットにはいろいろ批判が書かれている。


当方は当時の時代背景や石川数正の位置づけから、二人の気持ちとして、ほぼ同様の展開ではなかったか、と思っている。ただ、石川数正の気持ちはそうであっても、このような演出ではうまく伝わらない。


当方は、高純度SiCの半導体治工具事業をゴム会社で立ち上げたが、フロッピーディスクを壊されるなど妨害を受け、それを研究所が隠蔽化する方針としたので、セラミックスのキャリアをすて写真会社へ転職している。


しかし、引き継ぎを行った上司から若手の育成をしたいので、しばらくは指導をお願いすると言われ、写真会社で業務を定時で終えて日野から小平まで通った経験がある。まさにドラマで描かれた石川数正の心境に近い。


しかし、ほぼ指導できた頃、自宅に一通の手紙が来た。そこには、もうゴム会社へ来なくて良い、SiCを忘れろ、と書かれていた。


本来は酒の席でも設けてもらえるのか、と思ったら、もう来なくてよい、というよりも来るなである。その後、たまたま学会賞の審査員になっていた時に、このゴム会社の半導体治工具事業の推薦書を審査することになった。


そこには、当方が転職した翌日から開発が始まった、というウソが書かれていた。現実はこのように展開する。石川数正は歴史に名前が残っているだけでも幸せである。


事業立ち上げまで深夜まで勤務しながら残業手当も出ず、その中で努力したにもかかわらず、名前は基本特許の発明者ぐらいしか残っていない。


学会賞その他多くの受賞をこのテーマは受けているが、すべて事業立ち上げで最も苦労した時に関わっていなかった人物ばかりである。


当方だけでなく、当方の業務引継ぎ後、業務中に脳梗塞になられた上司や無機材研から戻ってきたときの上司の名前は無い。当方は過重労働でこれら上司の希望に答えたが、プロジェクト推進において精神的負担が大きかったと想像している。


お二人とも平均寿命以下で、最初の上司は担当して1年で胃かいようから胃がんになりお亡くなりになっている。転職した当方の名前を書けなくても,その職についておられ脳梗塞で入院された上司の名前だけでも入れていただきたかった。事業がうまく流れている時のメンバーだけ書かれた推薦書を見てこの方たちを思い涙が出た。

カテゴリー : 未分類

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2023.09/01 お化けの話

フィルムの帯電防止層を開発していて、負の誘電率に遭遇した時には驚いた。ちょうど福井大学客員教授に就任した頃で、お世話になった先生が電気化学の教授だった。


ベセラゴが予言したそうだが、キワモノと言われており、データに絶対値をつけて発表したほうが無難だとご指導を受けた。


すなわち、研究の本筋とは関係ないところで研究の価値を下げてしまう問題があったからである。当時取り組んでいたのは、パーコレーションの検出方法である。


当方は、技術経営には興味があったが、基礎研究に身をささげるまでの勇気は無かった。ゆえに、インピーダンスに絶対値をつけて、誘電率の議論とならないように発表を工夫している。


それから10年以上経過して、半導体無端ベルトの開発を担当したときに、「倉地さん、たいへんなものができてます」と電気専門の部下がデータを見せてくれた。負の誘電率である。


確かに大変な現象であるが、半年という限られた時間の中で、カオス混合プラントを立ち上げ、無端ベルトの押出成形歩留まりを10%から100%にしなければならない状況で、少し迷惑な話だった。


高分子の導電性を制御するために、導電性微粒子を絶縁体である高分子に分散し、そのパーコレーションを制御する必要がある。その実験過程で負の誘電率がお化けのように現れた。

カテゴリー : 一般 電気/電子材料 高分子

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