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2024.12/26 1980

1970年代に、ドラッカー著「断絶の時代」が日本で発売されている。これは、知識労働者の台頭による時代の断絶を著したものだが、日本では学生運動の影響で単なる世代の断絶という薄っぺらい意味に誤解された。


高校生だった当方は、社会のこのような誤解に批判的な父から、この書を1週間で読むように言われた。当時の当方にとって難解な書であり、社会が誤解したのも納得できた。


同様に、ワインバーグの論文「サイエンス & トランスサイエンス」を大学の図書室で読み、アメリカではトランスサイエンスに関心が集まっていることを知ったが、日本ではバラ色の科学論ブームが始まっていた。


「デッドライン2000年」ではジョゼフ・バジールが、コンピューターや情報により引き起こされるイノベーションに備え、技術と社会、精神の調和の重要性を指摘している。また、直後にはアルビントフラー著による「未来の衝撃」が発表されている。


1980年になると、その続編「第三の波」がベストセラーとなった。この本は、情報革命を予言した本である。同じ年にはガルブレイスによる「不確実性の時代」のベストセラー現象があった。


1970年代に8bitマイコンが登場し、インベーダーゲームはじめ簡単な絵柄のゲームが巷でブームとなっている。最初は喫茶店の客寄せ目的だったが、専門のゲームセンターが誕生した。


そのマイコンが1980年代にはオフコンとかパソコンという呼び名に代わる。16bitの実用的なPC9801がワープロや表計算ソフトとともに一気に普及した。


今DXという言葉が一般化しているが、デジタルトランスフォーメーションは1980年代に始まったのではないか。2004年にエリックストールマンが提唱した言葉ではあるが、アナログレコードがデジタル化されCDが浸透していった1980年にはデジタルトランスフォーメーションが始まっていた。


2020年に経産省はデジタルガバナンス・コード2.0でDXを再定義しているが、1970年から1980年代の状況を改めて思い出してみると、今後変化してゆく世界が見えてくるような気がする。

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2024.12/25 NH統合勝算の可能性

日産とホンダの統合が発表され様々な立場の人が、どちらかと言えばマイナス方向の見解を述べられている。元社長ゴーンに至っては、意味が無く日産は三流の会社になる、とまで述べている。


ただ、自動車という商品から統合効果を見たときに、今回は面白いシナジー効果が生まれる可能性がある。意外と評価されていないのが日産の電気自動車周辺技術である。


特許を調べていただくとわかるが、ホンダには大きなプラスとなる特許がいくつか存在する。すなわち、CASEの領域では、日産に救われるホンダ、という構図になっている。


しかし、EVへ移行する途中では、既に報じられているように日産のePowerは日本だけで評価された技術であり、欧米ではホンダのハイブリッド技術のほうが高く評価されている。


しかし、日産のePowerで開発された世界初で唯一のVCターボエンジンは、ホンダのハイブリッドに使用でき、トヨタを凌ぐ熱効率の高いハイブリッドエンジンを開発可能である。


その他、技術の対応表を作成してみると、世間が言うほどに悪い統合ではなく、世界最強の自動車技術を持った会社が出現する可能性がある。


また、あまり知られていないが日産にはセラミックスフィーバーの時に開発された自動車用小型高効率ガスタービンエンジン技術がある。バットマンカーのようなePowerカーを期待したい。ガソリン代替燃料を使用可能となる環境対応エンジンである。


技術の視点で特許や過去に発表されたニュースを改めて読んでみると、今回の統合により、世界最強の自動車メーカーというシナリオが見えてくる。

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2024.12/24 ホンダと日産の統合

ホンダと日産の統合について昨日記者会見が開催されたが、淡々と経緯などの説明が行われホンダ主導で経営が進められるとのこと。


日産の経営陣のダメさについて多くのメディアで指摘されているので今更書かないが、この日コメントを求められたゴーンにまでこれから三流の会社になる、と言われ、日産の社員はどのように感じたであろうか。


カローラとサニー、コロナとブルーバード、マークIIとスカイライン、セリカとシルビア等トヨタと日産が競っていた時代にも日産の官僚主義については指摘されていた。また社内の派閥争いについてもたびたび週刊誌ネタとされていた。


技術の日産と自ら名のっていたように、技術は今でも光る技術が存在する。なにかと批判されるePowerであるが、エンジンを発電機専用として熱効率の最大化に取り組む姿勢には感動する。


エネルギー効率を科学の視点から見れば、エネルギー保存則からトヨタやホンダのハイブリッドが勝っているのは自明である。しかし、そのハイブリッドがエネルギー保存則通りの最大効率が発揮されていないのでePowerというアプローチが出てきた。


そして、都内で走る限りは、トヨタやホンダのハイブリッドを凌ぐまでになった。例えばオーラの走行感覚は2000cc以上のエンジン感覚であるが、搭載されているのは1200ccのエンジンである。


加速では、電池の電気とエンジンで発電される電気が使われ、まるで2000ccターボ車に乗っているような爽快感がある。試乗したプリウスではこのような感覚を味わえなかった。


また、中国のEVメーカーに抜かれたと言っても、EVでは日産の技術の先進性は知られている。ホンダやトヨタよりも販売台数ははるかに多い。アリヤは今でも進化している。


もし、今回の統合で日産のブランドが消えるような経営が行われたなら、これら特徴ある技術の一部が消えることになる。ゴーンは日産とホンダは補完しあえないと言ったが、ホンダと日産はねじの太さから異なる技術思想の違いがある会社である。


ゆえに、その独立性を維持した経営戦略が重要になってくる。かつてプリンス自動車のブランドを日産は上書きしてしまったが、本来は残すべきではなかったか。

プリンス自動車のスカイラインは、今では日産の看板車種になり、GT-Rは世界的なスポーツカーに熟成された。また、10年ほど前には、コンパクトSUVジュークにその500馬力超のエンジンを載せて発売したことが話題になった。このような日産車として話題になるスカイラインへゴーンの時代にベンツのエンジンを載せる暴挙を行っている。

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2024.12/23 FS全日本選手権の放送

フィギュアスケートの全日本選手権がフジテレビで放送されたのだが、これがひどかった。このような放送をしていては、TVを見なくなる人が増える。当方でさえ最近TVの平均視聴時間が1時間以下となりびっくりしている。


ニュース以外で見ているのは題名の無い音楽会と朝ドラぐらいである。大河ドラマも歴史を歪曲した徳川家康以来見ていない。


さてフィギュアスケート全日本選手権放送のどこがひどかったのか。それは、十分にライブ放送ができる状況でありながら、また途中までライブで放送しながら、放送局の都合で録画に切り替えてしまったことである。


インターネットとTVをながら視聴していた当方は、インターネットで結果を見たとたんにTVのスイッチをOFFとした。せっかくのライブ感を楽しんでいたのに放送局の都合で録画となったのである。


番組表では、放送時間の延長もありうる、と出ていたのでライブで最後まで放送されるのかと思っていたら、逆に放送時間が短くなりそうだったので、6位以下を録画で編集して放送したのである。


詐欺に近いというよりもNHKだったなら詐欺である。しかし受信料を支払っていないのでCMの都合を考えてした対応と理解でき、視聴者を無視した放送局の対応にがっかりしてTVの視聴を辞めたのである。


視聴者がいてTVは成り立つはずだ。視聴者のいないTV受信機にCMを流してみても、その広告効果は低い。視聴者を大切にしないTV局はやがてスポンサーからも見放される。


「7位より入賞の可能性の無い選手についてライブで放送してきました。注目される6位より上位の選手につきましては、1位坂本香織、2位ーーーー、と決まっておりますが、CMをご覧になっていただきたいので、ライブでは放送しません。CMとともにお楽しみください」はたしてこれで楽しめるのか?参加選手にも失礼だろう。

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2024.12/22 自動車産業

日産自動車だけが大変ではなく、フォルクスワーゲンその他の自動車メーカーも同様である。ただ、日産自動車は、よく言われる官僚主義的な体質で救いようのない企業と今回の状況でまたささやかれているうえにこれで3度目である。


自動車産業の大変な状況については9月くらいからいろいろニュースで報じられているのでそちらを見ていただきたいが、イノベーションの起きている分野では仕方がないことである。


例えば、デジカメの登場で写真フィルム市場が一気に小さくなった。そのデジカメ事業は携帯電話の世界的普及で大きく変貌した。ペーパーレスの流れの中でオフィスの電子写真システムも大きく変貌しようとしている。


イノベーションとはこのような変化をいうのだが、自動車産業は今後どのように変わってゆくのだろうか。将来電気自動車に変わりそうだ、ということは見えてきたが、その電気自動車の普及に急ブレーキがかかった。


電気自動車の問題にユーザーが気づき始めたためである。そこでHV車の世界的人気が生まれている。最近のHV車は、モーター走行の割合が多い設計と言われている。日産のePowerは、それを見越してエンジンは発電機に徹している。


動力の問題よりも自動車という製品の特性が今後大きく変わる可能性がある。車好きは未来も一定数いるだろうから、このようなマーケットは一眼レフカメラが現在も残っているように現在の姿の自動車が存続し続けるだろう。


市場が無くなった、と言われているオーディオでさえ、スピーカーメーカーは多数生き残っている。しかし、移動手段のカテゴリだった自動車市場はカーシェアリングや自動運転技術の改良により、必要最小限の車の市場に変わってゆくだろう。


自動車市場は、オーディオのように無くなってしまうことはないと思われるが、今よりもその市場は確実に小さくなってゆくのかもしれない。


ただ、最近自動車の新たな用途が話題にされ、自動車という製品のこれまでにない特性が見いだされれば新たな成長市場が生まれるかもしれないが、まだその市場は具体的に見えてこない。

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2024.12/21 日産とホンダ、そしてゴーン

日産とホンダの経営統合に対して、ゴーン氏が見解を述べている。但しその内容は後ろ向きで、経産省の働きかけによる無理な統合と結論している。


日産とホンダの経営統合がうまくゆくかどうかは、未だ見通せないが、両者の技術と大きく異なる文化から、資本のみの統合でも成功するのではないかと思っている。


それはトヨタを見ればわかる。クラウンがあるのにレクサスブランドを立ち上げ、最近は、クラウンをレクサス同様のブランドへ育て上げようとしている。


日産とホンダは、全く異なるブランドであり、自動車へのアプローチの仕方も異なる。これは、トヨタレビン、ホンダプレリュード、そして日産セレナと乗り継いでみて理解できた。


トヨタは、自動車の百貨店であり、一応トヨタの発売する車種の中には、多くの人のニーズを満たす車が存在する。実際にトヨタ1社あれば日本市場に他のブランドが無くても良いくらいに車種は豊富である。


しかし、個性的技術でトヨタに無い車を作っているのはホンダと日産、スバルやマツダである。スズキやダイハツはコストパフォーマンスで頑張っている。その結果、ホンダや日産、スバルやマツダには固定客がいる。


当方も日産の良いカモ客だが、日産車には試乗すると分かる、トヨタ車に無い技術の高さがある。例えばオーラは、廃版となったレクサスCT200Hに近い性格があり、CT200Hよりも運転席は高級な先進性がある。


運転席の遮音性も高く、たまにエンジン音が気になるCT200Hよりも高級感があり100万円も安い!売れるわけである。ノートの半分の顧客は高いオーラを購入している。


それだけパッケージ商品として完成しているのだ。このような車づくりはトヨタやホンダは下手である。見てくれは良いのだが、試乗すると粗が出る。車を試乗しないで購入する人がいるが、是非日産車とトヨタ車を試乗して比較していただきたい。


ただし、オーラの後輪はマルチリンクでもなければダブルウィッシュボーンではない。安い車軸式の流れの足回りだが、これがよくできている。マルチリンクのジューク4駆も乗り心地が良かったが、オーラも遜色のない乗り心地である。


ホンダの問題は、とがっているところを際立たせる車づくりが特徴で分かり易いが、コスパが悪い印象を受ける。プレリュードXXは、当時のホンダのフラッグシップで高価だったが、サンルーフもついておりコスパが高いと言われていた。


しかし、板に乗っているような乗り心地と大きな凹凸に乗ると跳ねる足回りの設計にびっくりした。最近の車を試乗しても、同じ車格の日産車と比較すると劣る足回りである。


これは好みもあるのかもしれないが、日産車は硬い足回りでもぴょんぴょん跳ねるような動きをしない。これはオーラニスモに試乗すればわかる。硬い足回りでも乗り心地は良い。


スバルも良い足回りだが、ハンドリングが趣味に合わない。日産車に比較し、よく回るのであるが、ハンドルが切れすぎるので、時々恐怖感を味わう。


スバリストと呼ばれる人はこれがたまらないのかもしれないが、ハンドルと車の向きは連動していて欲しい。長年日産車に乗ってきたので日産車のハンドリングに慣れ過ぎたのかもしれないが。


客の立場から見ると、ゴーンの見解は当たっていないように思う。ただ日産の国内販売はそれなりにブランドとして成功しているが、海外では、特に北米では安売りをしてそれを毀損したという。このあたりの立て直しがポイントだろう。


ホンダと日産は個性のある車つくりをしているので、それぞれの個性を失わなければ、この統合は大成功するかもしれない。それぞれ特徴ある技術を保有しているからである。


ここへ、ランサーエボリューションのような車を作ってしまう三菱が加わると、結構面白い自動車グループとなるのかもしれない。三菱の車種の整理を行い、開発負担を軽減して品質を向上できる。

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2024.12/20 DXの最終段階

今という時代がDXの最終段階のように感じている。第三次AIブームでAIの完成形が見えてきたからである。第一次と第二次AIブームが科学の成果であれば、第三次AIブームは技術の成果と言えそうだ。


産業革命は、技術の成果として引き起こされ、科学により加速された。その科学によるAI設計ではなく統計に頼る、すなわちデータ駆動によるAIに完成の姿が見えたのである。


今の時代を産業革命の総仕上げの時代と表現された方がいるが、まさにそのような時代にふさわしく、次の時代を切り開くAIがうまれたのである。


そしてこのAIを生み出すのに用いられたのは、データとアルゴリズムであり、アルゴリズムはPythonで記述されたのだ。かつてエージェント指向が注目されて、映画マトリックスが大ヒットした。


しかし、今注目されているのはオブジェクト指向言語Pythonである。エージェント指向には、科学の仮説思想が盛り込まれていたが、結局それを実現できるプログラム言語は成功しなかった。


次の時代に備えて技術者は何をすべきか。それはまずPythonをスキルとして実装すべきだろう。エクセルを日常の道具として扱うようにPythonを使いこなせるようにすべきである。英語より簡単だ。

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2024.12/19 日産自動車はどうなる?

昨日日産とホンダとの経営統合のニュースがあったが、まだどうなるのか分からない、流動的な状況らしい。それでも昨日発表があったのは、台湾H社の買収の動きやモノ言う株主などの動きが加速してきたためらしい。


政府が動いて今回の発表に至った、などというニュースもネットには出ていたので、どうも国際的な動きの中で見切り発車の発表だった可能性がある。


時価総額でもホンダに逆転され、ホンダのお荷物にもなる会社と経営統合できるのか、という論調のコメントまであった。そこには財閥系から出てきた日産の経営の甘さや経営陣の無能さまで書かれていた。


ここまで書かれていると日産の役員という名刺を出しにくくなるぐらいである。そして経営陣のダメさ加減を裏付ける他の記事、例えばH社には元日産幹部で次期社長と言われたが、なれなかった人物が経営陣になっていた話が出ていた。


そのSという人物は有能らしく、日本のNという会社の社長に抜擢されたが、会長と馬が合わずH社に引き抜かれたという経歴まで書かれていた。さらに他の記事では、このSが日産の社長になれば、などという話まである。


ここまで書かれるとやりきれないのは真面目な日産技術者はじめ従業員である。特許など見ても十分技術力がありながら、経営陣の無能さのため倒産の危機となる。


以前この欄で30年以上日本のGDPが上がらない問題を書いたが、かつて日本を代表した企業経営者がうまく後継者を選ばなかったためだろうと思われる。それはかつて世界6位のメーカーからトップになった企業からそうではない企業へ転職して見て分かったことである。


やはり、世界で戦える企業の経営陣はそれなりの人材が選ばれている。ただ、経営陣が優秀だから社員も幸せかというとまた異なるので難しい。


もっともゴム会社は研究所とタイヤ部門は全く異なる会社のような風土だったのでタイヤ部門は幸せなのかもしれないが、研究所は最悪だった。転職先はそれなりの幸福感を味わえる会社だったが。


企業というのは外から見ていては分からない部分がある。つぶれそうな会社で大変そうに見えても、昔TVであった「スチャラカ社員」という番組のような会社もある。


そのような会社でも自己を律して人件費削減のため早期退職(注)している。管理職までなれる人はそれなりに優秀なはずなので率先して退職すべきかもしれない。そうすれば、リストラなど不要になるかもしれない。


(注)55歳で早期退職予定だったが、ある役員から環境対応樹脂を開発する依頼を受けたので2011年3月11日を最終日に設定して、中国ローカル企業と挑戦的な方法でPETボトルのリサイクル樹脂、UL94ー5VBとV2合格品2種類を開発している。この成果は2011年の新製品に搭載され、2012年に社長賞を受賞している。特許もすべて公開されたので、役員との約束通りに当時の技術もセミナーで公開している。成果を出しても退職金は増えないと言われたが、好きなようにやってよいとありがたい方針を出してくださった。2-3か月に1回中国出張しながらデータ駆動で実験を進め、PET廃材を80%含みながらも容易に射出成型できる材料を開発できるとともに、懸案だった大量のPPS廃材を有価物として処理できた。これは永年前任者が行っていたPPS転写ベルトの研究でたまった某社の出来損ないのコンパウンドだったが、PETの改質剤として良い材料となった。前任者から引き継いだ時にその存在を知らされていなかったが、早期退職時に転写ベルトの開発を引き継いだ当方の責任と脅されてのアイデアである。世の中にはおかしな人物もいるが、ゴム会社の転職経験が生きて、堂々と当方の責任と言ってきた人物に敬意を表す意味で頑張ることができた。組織で生きるコツは、負の因子を正にする考え方で行動すると良い。どうしても誠実に生きていると負の要因が集まってくるものである。それを悩んでいても仕方がないのである。正の要因に変えるアイデアを考え出す力量を育てる努力をするとよい。すると負の要因が自分を鍛えるチャンスに思えてくる。

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2024.12/18 日産とホンダの経営統合

今朝表題のびっくりするニュースが入ってきた。日産とホンダについて、まさかこのような状況になるとは想像をしていなかったが、期待はしていた。


かつて、通産省時代にお役人が本田宗一郎に対し、日本に自動車メーカーは2社あればよい、と言い放っている。その言葉に激怒した彼は、世界を目指したと言われている。


今や国内2位はホンダであり、日産自動車はかつてトヨタと首位を争ったメーカーという面影も無く、モノ言うファンド会社に狙われるほど落ちぶれた。日産を応援するために車を買おうと思っても、買いたくなる車が無いという人もいるかもしれない。


今ホンダの方が種類は多く、国内潜在顧客数も多い。日産はスバルやマツダ同様の物好きが集うメーカーとなってしまった。あえて日産車を買うという人は、「技術の日産」というフレーズに拘る人ぐらいしかいない。


ホンダも技術と創意のメーカーであり、意外とこの統合はうまくゆくかもしれないが、昔から日産とホンダはデザインの方向が異なる。日産は成熟した大人のデザインに対しホンダはどこか薄っぺらな若いデザインである。


2世代目のプレリュードは、リトラクタブルライトに低いボンネットという、いかにも若受けするそのデザインでデートカーとして大ヒットした。当方も最上位のXXを買い、独身を卒業している。


心配なのは、経営統合により両者の個性が無くなってしまわないかという点だ。ホンダと日産は企業文化もトヨタと大きく異なる個性的メーカーである。


かつて、日産はスカイラインにベンツのエンジンを載せて不評を買った。スカイラインはブリヂストン創業者石橋正二郎が設立した旧プリンス自動車の名車であり、日産はその伝統を守ってきたので自動車ファンは裏切り行為と見たのである。


スカイラインはベンツでもなくいかにも高級なレクサスとも異なる価値を持った車であり、今では日産の技術の象徴である。GT-Rにはその名こそつけられていないが、紛れもなくスカイラインであり世界的なスーパーカーでもある。


経営状況が悪くてもこのような車を作るのが日産である。この経営統合でこれまでの日産の歴史が消えるようなことにならないことを祈っている。スカイラインが無くなればプリンスの歴史が消えるのである。

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2024.12/17 科学と知

1970年代から科学論がブームとなっていた。1980年代には似非科学者あるいは評論家がタレントとして活躍した時代である。


日本のこのブームは、アメリカの影響を受けてのことであるが、当時アメリカではトランスサイエンスが話題となっていたにもかかわらず、日本では科学礼賛のあるいは科学こそ命的な考え方で現在に至る。


就職して驚いたのは、大学よりもアカデミックだった研究活動である。1000に3ついや一つでも事業として成功すればよい、と本部長が語っていたのを聞いて驚いた。


また、科学の研究ができるのは大卒の証とまで言っていた管理職がいた。仮説設定しそれを実験で確認する作業は、それなりの知が無ければできない、という考え方である。


経験知は排除され、形式知をどれだけ身に着けているのかが重要とされた。ダッシュポットとバネのモデルによるレオロジーが懐疑的にみられるようになり、化学構造とレオロジーの関係が議論されるようになった。


1990年代にOCTAが生まれているが、大学よりも早くレオロジーの科学的研究の見直しが進められた。セラミックスの講座出身者にとって、その光景は新鮮だった。大学院の特別講義よりも先進的な話が議論されていた。東大はじめアカデミアの教官となる研究所員が出始めた時代である。


世界初のLi二次電池が生まれ、日本化学会化学技術賞を受賞したが、事業をすぐにやめてしまった。高純度SiCの事業は、それから約30年続いた。


必ずしもサラリーマンとして恵まれておらず、セラミックスのキャリアを捨て転職することになったが、技術者として幸先の良いスタート場所だったのかもしれない。高分子について多くの知を身に着けることができた。

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