音楽の才能など無いことを承知しており、それでも昨年コロナ禍でstay homeを強いられたためギターの練習を始めた。オークションで落札した7万円のセミアコは生鳴りの音がギブソンES335よりも美しく、その効果もあり、エフェクターを通さなくても手製のスピーカーからきれいな音が出てくる。
とりあえず指板上の音名を把握でき、簡単なメロディーならば、楽譜を見て弾くことができるようになった。しかし、コードとか音楽理論がなかなか頭に入らない。おおよその体系を理解できても、すぐにそれを使うことができないもどかしさがある。
おそらく専門外の人が高分子やセラミックスの教科書を理解できたとしても、その知識をすぐに材料開発に応用できないもどかしさとこれは似ているのかもしれない。
音楽理論を演奏に活かすためには、あとどのくらいの時間がかかるのか不明だが、記憶力が若い時よりも落ちてきている現実をどう克服するのか悩んでいる。反復学習の効能を理解していても、反復練習しているときに覚えていた知識を翌朝すっかり忘れている。
この繰り返しですでに半年が過ぎた。小学校のときから新しい知識を学ぶことに関してあまり抵抗はなかったが、この低下した記憶力は、学ぶ上においてものすごい抵抗となっている。
ただし、毎日少しずつ進歩している実感はある。それは、学んで身に着けたはずの知識についてどこを忘れたのか思い出せるからだ。断片的に知識として残っている部分があり、それがやりがいにつながっている。
努力して獲得した知識をほぼ忘れることは悲しいことだが、忘れた部分を覚えている自分をほめながら断片的な知識を頼りに再び同じ内容を確認している。ある女性ランナーが、金メダルを取れなかったが自分をほめてやりたい、と言っていたことを思い出したが、これは学ぶためのよいコツかもしれない。
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ドラッカーは、頭の良い人は、しばしば間違った問題を正しく解いて成果を出せない問題を指摘していた。そして頭の良さは、体系的な仕事を通してその良さが発揮される、と頭の良い人の問題を指摘していた。
QMSを導入している会社は多いと思われるが、これは頭の良い人が世の中に増えすぎたために、会社内の仕事を体系的にできるようにしたものである。これは皮肉ではなく、知的労働者のためには体系的なマニュアルこそが、誤った成果を出さないために必要、と言っているようにも思われる。
ところが困ったことに、日々の問題一つ一つに体系的なマニュアルを誰かが書いてくれるわけではないのだ。だから間違った問題を解くような問題を防ぐために問題解決法を身に着けている必要がある。
残念ながらこれを学校では教えてくれない。最初に述べたような誤った問題の正しい答えを導かないためにも、体系的な問題解決法が必要となるが、科学的に体系的な問題解決法ならば小学校から習っている。
弊社では学校では教えていない、問題解決法を指導している。そしてそれはある程度の体系は整理されているが、体系にできない部分も存在する。どこか音楽や美術に似ている。
音楽や美術などの芸術にもある程度の体系が存在するので、音楽大学や芸術大学が存在する。写真撮影でも同様である。カメラの機能は写真撮影の体系が整理されており、あとはレンズを被写体へ向けるだけのカメラも存在するが、それだけでは他人が見てくれるような写真を撮れない。
加納典明氏は、人に見てもらいたい写真を撮りたいならいやらしい女性の裸の写真を撮ればよい、人類の半分は見てくれる、という迷言を言っていたが、芸術分野は科学のようにすべてを体系化できない。
加納氏の迷言のように、どうしても感性で説明しなければ伝わらない部分が入ってくる。ちなみに、加納氏の迷言をそのまましか理解できない人は科学にかぶれ過ぎだが、「他人の隠れている興味を刺激して、見たくなるようにさせる写真」という意味である。
実は技術や会社の仕事も芸術に似ており、どうしてもうまく文字化できず個人の経験や力量に依存する部分が体系以外に残る。そこをどのように伝承するのかは、各企業の風土にも依存するのだろうけれど、どうも日本企業は終身雇用が崩れてきてうまくいっていないところが多いようだ。QMSだけでうまく運営できない、と困っている方は弊社にご相談ください。
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中国恒大集団に端を発した中国不動産業の問題は、リーマンショックの再来となると心配されている。リーマンショックならばすでにその実績が示すように長くても3年の問題だったが、実はもっと深刻な問題を西側自由主義経済に影響を及ぼす、と当方は見ている。
実際に恒大集団の破産が起きる前にその対応を急がなければいけない。世界経済が直面しているリスクは大変大きいのだ。それが今起きようとしている。しかもそれを習近平はじめ中国のリーダーたちが止めようとしなかったら、おそらく日本のバブル後30年どころではない騒動となる。
弊社はコロナ禍のため中国で仕事ができなくなり、中国依存度を0とできるように業務の立て直しをしてきた。弊社のような小さなところでも2年近くかかった。大手ならば、チャイナリスク回避に3年以上はかかると予想している。
最も日本では、15年ほど前からチャイナリスクは叫ばれ、12年ほど前からチャイナ+1戦略を進めた企業も多いと思われる。この10年上海で見かける日本人は半減した。起業した当時は当方の常宿で朝食時に数名の日本人の顔を見かけたが、5年ほど前から3名以下もしくは0の時もあった。
ゆえに今回中国で様々な問題が爆発的に起きても日本企業が直接被る痛手はチャイナ+1戦略を進めてこなかった企業を除くと小さいと予想されるが、間接的な影響は甚大である。
中国の人件費が日本に近くなってきたので、製造業の部品はASEANに移動し始めているが、それでもまだ中国国内で生産されている部品があり、これを使用している組み立てメーカーはサプライチェーンを見直す必要がある。
中国は広大な市場があり、中国から逃げ出す企業はその市場を失う、と数年前まで恐れられたが、ここはサプライチェーンを早く再構築して中国依存度を大きく下げるか0にした方が賢明である。詳細は弊社へご相談ください。
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今回ノーベル賞を受賞された真鍋博士が日本に戻らない理由を「周囲に同調して生きる能力がないから」と答えた言葉に対して、ヒルオビでは、アメリカンジョークとして説明していた。また昨日までこの言葉を扱ったニュースでは同様にジョークとして扱っているケースと深刻に扱っているケースがあった。
小生はジョークではなく、真鍋博士の本心だろうと感じた。当方は、新入社員の研修時に社長から「火中の栗を拾えるような人材が求められている」と話された言葉に従い、ゴム会社の研究所で高純度SiCの事業を住友金属工業とのJVとして立ち上げている。
そこまでのいばらの道や、その後FDを壊されるようないじめを研究所内で受けてそれを研究所が隠蔽化するというのでセラミックスのキャリアをすててまで転職した経験がある。
まさに当時の研究所は周囲に同調してアカデミアよりもアカデミックな研究をしなければ生きてゆけない世界だった。新規事業をを起こそうとするまでもなく、製品に近い研究を行ってもそれを排除するような空気があり、本部長がその改革を行おうとしても、結局アカデミックな研究が好きで、FD事件を隠蔽化するような本部長でなければマネジメントできない風土だった。
この経験から、真鍋博士の真意はイノベーションを歓迎する研究風土が日本に存在しないと言われているような気がする。企業の研究所でありながら、日本ではイノベーションに対してアレルギーを示すような風土が存在した実績があるほど日本の研究所はイノベーションに対して後ろ向きというよりも同調しないメンバーに対して厳しい。
学会の技術賞に推薦されて落選している。当方の技術内容がそれにふさわしくなかった、と言ってしまえばそれまでだが、中国では十分に実績を出すことができた。もちろん日本でサラリーマン時代にその技術で6年間実用化できなかったテーマを実用化しており、それが技術賞に値すると推薦されている。
学会までイノベーションを拒む、とまで自分の体験を基に言うのはやや気がひけるが、審査会場で浴びせられた質問は、従来の理論に反する現象に対して疑問視する見解である。当方は明確に従来の理論に反する現象であり、当方もうまく説明できないがこう考えている、と述べている。
現象に潜む新たな機能を実用化できても学会の技術賞を受賞できないというのはおかしいと思っている。実用化された新たな機能が新たな科学を生み出すかもしれないからだ。学会賞に推薦してくれたアカデミアの先生は旧7帝大の副学長で当方の技術を高く評価してくださったが、当方のその場で同調する力不足で申し訳ないことをした。
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高分子のコンパウンド設計で難しいのは、どのような混練プロセスを用いるのか、という点である。量産を考慮した場合には、バンバリー+ロール、ニーダー、連続式多軸混練機の3種から装置を選択することになる。
配合により結果は異なるが、この順番で最適条件で運転されたときに得られるコンパウンド性能が低くなるという認識は大切である。すなわち高い性能のコンパウンドを得たいならば、ロール混練は必須となる。
PPS中間転写ベルト用コンパウンドの開発を担当した時に、二軸混練機ではなく最初にニーダーを使った理由は高性能のコンパウンドを開発したかったからだ。
本当はロール混練をしたかったのだが、PPSを混練できるオープンロールが無かったので、仕方なくニーダーを特殊な運転条件で使用している。
ニーダーを装置メーカーで借りて使用したので、自分で運転できなかったが、そのおかげでニーダーに対する標準的な考え方が常識として定着しており、ニーダーの運転条件を様々に変えるのは混練技術を知らない、と見なされることも知った。
ただ、ニーダーメーカーにとって当方は客にあたるので、装置メーカーの技術者は、ニーダー購入時に混練技術の指導をサービスとして行いますと言ってくれた。ところがこの時良い結果の得られたコンパウンドは、この技術者が推薦してくれた運転条件ではなく、当方の非常識な運転条件で混練したコンパウンドだった。
ニーダーの運転条件を変えると、まったく異なるコンパウンドができるという認識を持っていない技術者が多いのではないか。運転条件で変わるのは分散状態だけではない。高分子の高次構造まで影響が現れる。
連続式多軸混練機しか使用経験の無い人は、このあたりの知識が乏しい。混練機の軸を増やせば混練効率は上がるが、高分子の構造変性まで効果が表れるレベルに到達できるかどうかは疑問を持っている。
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高分子に他の高分子や添加剤を混ぜるときに、ニーダーが使われるときがある。技術者により、この表現は、ニーダーを使う、という人もいるかもしれないが、あくまでもニーダーは高分子を混練するための一つのプロセスであり、これだけではない。
ニーダーだけで混練技術を研究していると、ロール混練で到達できる混練レベルのコンパウンド性能を実現できないので、大切な現象を見落とすことになる。
そもそも、ニーダーがロール混練並みのレベルまで混練することができない、という事実を知らない人が多い。簡単な配合であれば、そのようなことを知らなくても不便はないが、高機能なコンパウンドを開発したいときにニーダーだけで開発していては、失敗することもあるので注意が必要である。
また、技術者の混練キャリアにより、ニーダーは充填率70%以上で用いるべきだ、という考え方の人もいる。充填率が低いと剪断力を大きくかけられないので混練効率が著しく低下するためだが、実は低い充填率であっても剪断力をかけることができるし、充填率も制御因子として使うと混練による高分子の変性技術の幅を広げることができる。
ロール混練のキャリアがあれば、このあたりの理解は容易であり、さらにニーダーの使い方もうまい。PPS/6ナイロン/カーボンの配合で、周方向の抵抗が安定したベルトを押し出すことに成功した時の最初に使用したのはニーダーだったが、特殊な運転条件で使用した。詳細は弊社に問い合わせていただきたい。
道具は使いようで光る、と言われているが、混練分野に関しては、混練機の制約から到達できるコンパウンド性能に限界があることを知るべきである。混練装置は単純な構造なのでそれを誤解している技術者は多い。
カテゴリー : 高分子
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科学でうまく説明できない現象について、技術者はどのように問題を議論し、アイデアを生み出していったらよいのか、これは重要な問題でありながら、また、問題解決法として技術者が知りたい問題でありながら具体的に誰も説明できていない。
やれ右脳左脳理論だの思いつきを論理にする方法だのこのような分野を目指して書かれた書物が最近流行で、およそ能天気に運よく出世できた人たちは、このような本を部下に進めたりする。
自分ではできないから他人の著書で自分もそうやってきた、と暗に言いたいのかもしれないが、他人の成果に平気で胡坐をかいて座っていた人も稀にいるから横で見ていてやりきれない。
当方は若い時に上司から本を勧められると「今の仕事に役立ちますか」と、質問してきた。そして自分の知らなかったことや、本当に実務で役立ったときには心からお礼をしてきたが、お礼を言わない方が多かった。
せっかくのアドバイスなのでお礼を言うべき、と考える人は、無駄な本を読む時間を強制労働と感じないのではないか。職務上の責任など無い仕事で始末書を書かされたり、本来は上司の書くべき書類を書かされたり、さらに二番煎じの本を読まされたり、と大変な時代だった。
今はパワハラセクハラモラハラなどが言われているので、上司受難の時代と言っても良いかもしれないが、それでも部下に本を勧めることが、相当な覚悟が必要ということが分かっていない人が多い。部下が上司よりも読書家だった場合には、恥となることを知っておくべきである。
当時はドラッカーの焼き直し本が多く、ドラッカーを読んでいなかった上司が多かったように記憶している。当方は高校生の時からドラッカーを読み続けてきたので、当時出版されていたドラッカー本はすべて読んでいた。ドラッカーもコンセプトの重要性を指摘していた人物の一人である。
ところで技術分野でコンセプトが力を発揮できるのは、このような科学でうまく説明できない分野で議論を円滑にし、アイデアを生み出すときである。すなわち、コンセプトを提示し、それを基に議論を進めプロジェクトに最も適したコンセプトに練り上げる作業により技術アイデアをまとめてゆくことができる。詳細は弊社へお問い合わせください。
(注)コンセプトがどのようなものか、を正しく理解していない人が多い。コンセプトの重要性を説く人がいるが、まずコンセプトがどうして必要なのか、コンセプトがあるとどのようなメリットが等々まずコンセプトを理解するための手続きが求められる。技術開発におけるコンセプトは、ただセクシーな言葉をちりばめたようなものではないのだ。また、ダイゴ語のようなコンセプトならば無い方がましである。
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表題は高分子発泡体を難燃化する技術開発を行っていた時の技術コンセプトである。始末書を書く原因となった世界初のホスファゼン変性軟質ポリウレタン発泡体の工場試作に成功した時に思いついたコンセプトである。
当初は、世界初の難燃化技術を開発するのが当方の使命だと言われ、オールコックによるホスファゼンを用いた高分子の難燃化研究が発表された時代に、ホスファゼンのジアミノ体を合成しイソシアネートと反応させれば、分子内にホスファゼンを導入することができ、オールコックの研究結果より優れた成果を出せるのではないかと期待して実験している。
期待通りの研究シーズを1週間ほどで出すことができたので、係長が課長と相談して半年後の工場試作を決めている。簡単な技術と誤解したのである。徹夜を繰り返して実験をしていたことを知っていても入社した若僧が1週間ほどで出せる成果など大したことはない、と考えたようだ。
モノの評価能力というものは、その人の知的能力に大きく依存する。世の中にはその能力が低くても自信にあふれている不思議な人がいる。そのような人は、とかく他人の成果を低く評価する傾向がある。
ただし、低く評価されたおかげで一人で仕事を進めることができ、自由に研究ができた。その結果、高分子を難燃化するときに、燃焼している高分子をどのように炭化促進したらよいのか、当時問題となっていたテーマのコンセプトをゆっくりと考えることができた。
ホスファゼン変性ポリウレタン発泡体の開発は、コンセプトに基づくものではなかったが、その研究開発過程でこの研究のコンセプトをじっくりと考えることができた。そして考えたのが表題である。
始末書にはもう少し人目を引くように(セクシーに)燃焼時の熱を利用してガラスを生成する難燃化技術というコンセプトを書いている。このコンセプトで天井材の開発まで行い、高純度SiCの発明までコンセプトは有効に機能した。
現象を見てどのようにコンセプトとしてまとめるのか、あるいは、すでに機能のイメージができているならば、それをどのような不偏化した技術として示すのか、科学にとらわれていると言葉が出てこない。
小泉元環境大臣のようにセクシーととっさに言葉を思いつけるように日ごろから訓練しておくとよい。技術開発とは人類の日々の営みの一つであり、コンセプトの準備も技術者の営みのとして捉えられる。
ちなみにセクシーなる単語が公の場であのように使える単語であることをこの年で初めて知った。まだ未知のことは多いのでボケてはおれない。
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混練プロセスに関する考え方は、技術者により異なる。また、分配混合と分散混合の考え方で教科書が混練技術を説明している問題も存在する。その結果、認識さえも異なる。
技術者により認識が異なるので何が正しくて、何が間違っていると決めつけることなどできないはずだが、カオス混合技術が学会の技術賞審査で議論されたときにはひどかった。
10年前の出来事なので、詳しくは書かないが、およそ混練技術に対するこのような状況を無視されているような意見で、技術そのものを否定された。もちろんフローリー・ハギンズ理論に適合していないPPSと6ナイロンの相溶に関しては、低分子化されて相溶しているように見えただけだと決めつけられた。
樹脂技術者とゴム技術者の認識の違いが見解の違いを生み出した、と言ってしまえばそれまでだが、日本では仕事にならないと思い、中国でカオス混合技術に関してさらに磨きをかけた。日本の高分子技術者と中国人との違いは、新しい考え方を受け入れるかどうかである。新しくなくても良い結果が得られるならば、教科書と異なる考え方でも容易に受け入れてくれる。
さて、40年前のゴム会社の状況を書くと、今の日本の状況と似ていた。研究者の数だけ考え方が存在した。運が良かったのは、指導社員がレオロジーの専門家で、混練の神様と呼びたくなるような技術者だったことである。
彼の指導によれば、現場ではバンバリーとロールが混練プロセスで使用されているので、研究段階でもパイロットプラントを使い、同じプロセスで練るように、という考え方だった。研究所では手軽なニーダーでゴム配合を研究されている方が大半だった。
指導社員は、この会社でゴムの配合技術を研究したいならば、簡易的なニーダーを使わない覚悟が必要だ、とまで言われた。混練のプロセシングに関して厳しく指導されたが、未だにあの時の指導内容が正しいと思っている。なぜなら、中国で指導した樹脂開発について配合設計で失敗した経験がないからだ。
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コンセプトの重要性は昔から言われているが、この意味を理解していない人が多い。コンセプトそのものの意味は、生み出すこと(妊娠)から来ているが、これを提示することがアイデアを生み出す機能となることを強く意識していない。
コンセプトを何か概念化したフレーズにしかすぎないと考えて使用していては、新しいアイデアを生み出す力として利用することができない。
確かにコンセプトはあるオブジェクトを概念化して提示したものであるが、それはオブジェクトに盛られた重要なアイデアを伝えるためにわかりやすく概念化した表現となっていなければならない。
そのためコンセプトが時代とともに陳腐化するのは避けられないが、新しさを維持できる時間が長くなるようなコンセプトを提示できるようオブジェクトをよく観察しなければいけない。
コンセプトなど無くても新しいアイデアで新しいオブジェクトを提示できれば、それはそれで一つの成功である。しかし、新しいアイデアによる新しいオブジェクトには常に何らかのイノベーションを引き起こす力が存在するはずである。
すなわち、コンセプトを提示するとは、そのイノベーションを明示していることであり、新たなアイデアを生み出す力をコンセプトで表現していることになる。
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