傾斜機能粒子や超微粒子分散型微粒子のアイデアは、論理集合の補集合を利用して生み出している。粒子には、均一構造の粒子と不均一構造の粒子があり、ウィンズローの成功から電気粘性流体で検討されてきたのは、均一構造の粒子だった。
この理由は簡単で、科学的に議論しやすいからである。不均一構造ではそれを一義的に定義することさえ科学的に難しい。
どのような実用的意味があるのか知らないが、ガラスについて未だに「その規則的構造」が、科学の世界で議論されている。しかし、技術者がまず関心を示さなければいけないのは、例えば「構造が引き起こす機能」である。
科学の世界では、議論のしやすさから、たびたび高機能を含む現象を排除し、機能が低い現象を取り上げたりする。この事実に気がついていない人は多い。
技術者は実用性のある高機能を含む現象を率先して選ばなければいけない。たとえそれが科学的に議論が難しい現象でも、高機能により引き起こされている現象ならば、それを研究対象にしなければいけない。
故田口先生と議論していた時にうまくこの点がかみ合い、先生の意図された基本機能というものを納得できた。タグチメソッドでは基本機能という概念を理解することが最初の一歩であるが、ここでつまずく科学者は多い。
電気粘性流体用に設計した各種粒子のアイデアは補集合に着目した結果ですが、このほかにアイデアの出し方は多数あります。今月当方の開発した事例を用いたアイデアの出し方について無料セミナーを行います。
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科学の誕生は17世紀、と言われており、論理学の完成により科学が生み出された。しかし科学と非科学の間に明快な境界があるわけではない。イムレラカトシュによれは、科学の方法で完璧に証明できるのは否定証明だけだそうである。
技術者は、科学の誕生以前から活動しており、時には非科学的方法で人類に役立つ機能を自然界から取り出してきた。科学という道具により、その営みのスピードが加速された。そして、教育に科学が採用されていつの間にか技術者は科学に支配されるようになった。
非科学的な方法でも科学的な発明が可能であるにもかかわらず、なぜか非科学的な方法による発明は、排除される場合も出てきた。
電気粘性流体用の傾斜機能粒子や微粒子分散型粒子は、それまで均一構造の微粒子が研究されてきたので、不均一構造の微粒子を用いたらどうなるのか、という素朴な疑問から生まれている。
実は、科学がこれだけ進歩した21世紀においても、不均一状態や非平衡状態を科学で取り扱おうとすると大変である。30年以上前ならば、さらに大変で、均一構造の粒子で解明できていないのに不均一な構造の粒子を持ち出してもわけがわからなくなる、と言われたりしている。
また、不均一構造の粒子をどのように制御して作るのか、というあげ足取りとも思われるような質問が出てきたりする。不均一構造を制御できなくても、電気粘性流体として品質管理できれば良い、という発想は、いいかげんな考え方ともいわれたりした。
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11月に2日間問題解決法の無料セミナーを行いましたが、今月は18日13時30分から2時間の予定でアイデア創出法の無料セミナーを行います。
今回は問題解決法の全体像は省略しまして、当方の開発実績においてどのようにアイデアを生み出していたのか、実体験を解説します。
当方のアイデアは、例えばPPSと6ナイロンを相溶させるとか、非科学的アイデアが大半でありながらそれらが実現されています。
PPSと6ナイロンであれば、相溶したことをDSCのTgとTEM写真から科学的に検証を加えております。すなわちアイデアを非科学的発想で生みだし、その実現された姿について科学的に検証を加える手法を採用しています。
この手法は、アジャイル開発に通じる手法であり、市場変化スピードの速い現代に不可欠な方法で、その考え方は業務改革にも応用できます。
また、当方のアイデアは科学的に考えていては出てこないアイデアであり、科学者から見ればふざけたアイデア創出法とみなされ、転職の原因にもなっています。
30年前は、それを認めたくない人が多い極めて斬新な研究開発手法ではありましたが、現代はその手法でノーベル賞受賞者まで現れましたので、次第に認知されてゆくものと期待しています。
ただし、特許出願されたそれらのアイデアは科学的に新規性と進歩性が説明されており、完成した姿は科学技術となっています。
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電気粘性流体は、絶縁オイルに微粒子が分散した液体で、電場をかけると、そのレオロジーが固体状態の物性まで変化する。
古くから現象は知られていたが、少量の水と絶縁体粒子とを組み合わせて、高い電気粘性効果をウィンズローが発表してから、注目を浴び1980年代に世界中で開発競争が行われた。
ゴム会社では粒子として生焼けの半導体カーボンを用いて研究が進められていた。生焼けの半導体カーボンを用いると科学的には説明がつかないが水を用いなくても電気粘性効果が得られた、と言われていた。
当方が電気粘性流体の増粘問題を解決して、某自動車会社におけるアクティブサスペンションの実用化研究に提供しうる耐久性レベルを実現しても性能が未達だった。
そこで当方は半導体微粒子の開発を提案している。「帯電しやすく」かつ「放電しやすい」物質は科学的に考えていても材料設計が困難である。
前者は誘電体の性質であり、後者は導体の性質で、均一な物質で設計できないことはヒューリスティックに解が得られる。
しかし、科学で頭が固まっているとこのような解は得られない。当方が設計案を提示したところ、リーダーは「言葉でいうのは簡単だ。実際に作ってみろ」と突然怒り出した。
科学的な説明以外受け付けない人に、非科学的なアイデアを言うと稀にこのような場面となる。非科学的なアイデアの発言者を小ばかにするかしかりつけるような科学者が稀にいる。
このような人は、非科学的アイデアでもそれが実現されてから科学的な説明を加えられる「技術者の仕事」の柔軟性に気がついていない。
もっとも21世紀になっても科学で自然現象をすべて説明できない状態なので、科学的にはブラックボックスとなる部分が生まれる。
例えばノーベル賞を受賞したヤマナカファクターは、科学的に見出されたものではないし、未だにブラックボックスは存在する。ただし、それを用いると細胞がリセットされる現象は科学的に証明されている。
すなわち非科学的に見出されても科学的に証明された現象あるいは機能は存在する。現代の技術者は自然界から機能を取り出す使命と、その機能を科学的に証明(注)することが求められているが、機能を取り出す段階は非科学的でも許される。12月には、このあたりに絞って2時間の無料セミナーを実施するので希望者は問い合わせていただきたい。
(注)繰り返し再現性について証明されている必要があるので、科学的品質管理手法で日常実現されている。
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間違った問題を科学的に解いた正しい答えから「加硫剤などの添加剤が入っていないゴム開発」という、とんでもない夢のテーマが生まれている。
これは実話であり、公開された特許や技術賞などに書かれた内容を見ていただければその証拠を探すこともできます。また、小生の転職理由にも納得していただけるかもしれません。
さて、転職した会社でも類似の光景を見ている。ただ会社風土の違いから奇妙な事件は起きていない。科学は、それ自身善悪の判断も出さなければ善悪の対象にはならない道具である。あくまでもそれを使う人間の側に責任がある。
今業務改革が叫ばれているが、科学という道具の使い方を誤ると業務量が指数関数的に増加することを経験されたことはないか。
技術者は、逆向きの推論から得られるヒューリスティックな解を用い効率的に仕事を進めるが、科学者は時間がかかっても真理を追究し、前向きの推論を展開し、どんどん仕事を増やしてゆく。
技術的には一晩で解決できる問題でも、科学では1年以上かけて、真理を見出すのが関の山である。
写真会社で長年解決できなかった問題について、当方が提唱している戦術図を描いたところ、膨大な戦術図が作成された。しかし、その戦術図のおかげで、攻めどころが俯瞰でき、短時間で問題解決できている。
科学的に考えることは大切である。しかし、科学的に考えても仕事として進めるときには、正しい問題を解き正しい結果を出すことが重要である。正しい問題の正しい結果をヒューリスティックに求めることができれば、仕事の効率は飛躍的に上がる。それを提供しているのが弊社の問題解決法である。
まず、目の前の問題について、それが正しいとわかったならば、正しい解をすぐに出すことが重要であり、それが科学的であるかどうかは、「そんなの関係ない」である。
正しい解が得られたならば、それを科学的に正しい、と証明したほうが、科学的にも正しい解を出すことができ、仕事を早く進めることが可能である。
すなわち、企業における科学による技術開発とは、技術開発を行ってから科学による研究を行い、真の形式知を見出し、それを伝承するという方法が正しい。何でもかんでも科学的に、というのは効率が悪い。
これを理解できるとアジャイル開発を行い、製品化と科学的研究をコンカレントに進めることができ、目標となる製品化が完了した時には、伝承すべき形式知も整理されている。
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電気粘性流体が耐久試験で増粘した問題を技術的に解決するために、300種類の界面活性剤を用いて総当たり的実験を行っても、一晩しか時間はかからなかった。
しかし、その科学的研究に1年費やしても、一応の科学的真実は得られたにもかかわらず、増粘問題は解決していなかった。
そして、新たな「加硫剤などの添加剤が入っていないゴム開発」という頓珍漢なテーマが企画されている。これは30年以上前の実話である。
これは、実務の現場で科学の引き起こす珍現象の事例(注)でもある。そもそも「加硫剤などの添加剤が入っていないゴム」などゴム技術の経験者ならば、「不可能」とすぐに解答を出す。
ところが、これが科学者にとって夢のようなテーマに見えるのだ。研究の結果、これしかないアイデアであり挑戦的な夢のテーマ、と熱く語られても、その対応に困る。
電気粘性流体を半年後には某自動車会社にアクティブサスペンションとして納入しなければいけない状況で、このテーマを言い出した科学者のリーダーは大変優秀な方だった。
また、それを素晴らしいアイデアと称賛したX本部長も科学を追求し高度な科学技術で差別化された新事業を生み出す使命を負った研究所の経営者として優れた人物であった。
ところで当時の電気粘性流体には、この耐久性の問題以外に、自動車部品としての機能を満たすための性能が不十分だった問題や、可燃性のシリコーンオイルを用いている問題があった。
自動車部品に仕上げるために、少なくともオイルは難燃性にしなければならない。オイルを難燃性に設計できれば、それを封入するゴムに難燃剤を添加しなくても済むのでゴムの配合設計が経済的になる。
電気粘性流体の当時の状況については本部内報告がなされており進捗を理解していたので、難燃性ホスファゼンオイルや高性能電気粘性流体用粒子を同時に提案している。
この提案に対してリーダーは、頭で考えているだけならば簡単だ、と怒り、実際にできるものならやってみろ、と言われたので、ホスファゼンオイルと電気粘性流体用3種の高性能粒子をすぐに技術開発し提供している。
ただし、アジャイル開発である。最表面が絶縁体でありながら粒子内部に向かって導電性が向上する傾斜組成の新素材粒子は、商品化されたときと変わらない品質の材料が1か月もかからず合成されている。
微粒子分散型微粒子については、たった一日で評価用サンプルを提供している。粒子開発と並行して難燃性オイルの開発を外部機関とコンカレントに進めている。
蛇足だが、高純度SiC半導体治工具のJVを住友金属工業と進めながらこれらの成果を出している。給与はじめ処遇には何ら反映されていない。残業代も未払いである。
これは30年以上前の話であるが、たった「1人」でこの期間に行った仕事について特許が出願されている。それを調べていただければ、当方がどれだけ異常な労働時間だったかご理解いただけるのではないだろうか。
短期間にこのような成果を出せた背景には、当時のX本部長前任者からご指導されたアジャイル開発と当方の考案したアイデア創出法や問題解決法があったからである。
ただし特許には忖度のためと、そのようにするように命じられたため発明者は複数になっている。小生が転職後この時の特許が公開されているが、小生以外の発明者に仕事を引き継いでいただいている。
小生のこの時の成果で学位を取られたり、学会賞を受賞したりされた方がおられることも付記しておく。学会賞では当方も審査員であった、という冗談のような出来事も起きている。神様は天から見ているとはこのことだろう、と思ったりした。
(注)理研で起きたSTAP細胞の騒動について著書が出版されているが、この本に書かれている内容は、外部に公開されたニュースと対応しており、十分に信用できる。それを事実として認めたうえで、それ以上のひどいことが当方の身の上に起きた、と思っている。しかし、当方は自殺の道を選ばず転職している。当方の高純度SiC事業化にかけた努力をご存知の方は、転職を一番馬鹿げた選択と言われて引き留めてくださったが、転職していなかったら組織に殺されていただろう。理研における研究者の自殺は、その場所が理研の建物内だった点に注目する必要がある。研究所の経営にあたる時、経営トップの最も心掛けねばならないことは研究者の精神衛生である。成果はその次である。それができないならば科学を追及する研究所など運営すべきではない。
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電気粘性流体の増粘問題の技術的解決に、300種類の界面活性剤を用いて一晩しか時間はいらなかった。しかし、その科学的真実を求めるために1年費やし、科学的真実は得られたが、増粘問題は解決していなかった。そして、新たな「加硫剤などの添加剤が入っていないゴム開発」というテーマを企画している。
このテーマは当方が拒絶したためにお蔵入りとなったが、面白いのは当時のゴム会社の研究所には、ゴムの配合設計ができる修士卒以上の担当者はセラミックスが専門であった当方しかいなかったのだ。
そもそも、ゴムの配合設計ほど非科学的な技術は無い。これを科学的にできると思っている人は、安全なタイヤ開発などできない。そのような人に開発できるのは、単なる黒くて丸いゴムの商品である。
これは40年以上前の新入社員研修で聞いたCTOの言葉であるが、この言葉を聞いた新入社員の一人は、10月1日新入社員配属の日に辞表を提出し、某会社へ転職し社長となっている。
当方は、しばらく悩むことになった。悩んだ結果、科学は人類が手にした素晴らしい道具であることに気がついた。
気づきは学びを生み出す。イムレラカトシュやファーガソンの優れた科学や技術に関する名著と出会うことができた。
さて、冒頭は昨日の文章に一行加えた同じ文章であるが、気づきと学びを書くつもりは無かったので、明日また同じ始まりで書く。
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電気粘性流体の増粘問題の技術的解決に、300種類の界面活性剤を用いて一晩しか時間はいらなかった。しかし、その科学的真実を求めるために1年費やし、科学的真実は得られたが、増粘問題は解決していなかった。
この事例は、ドラッカーが指摘している「正しい問題を解くこと」の重要性と1980年代一部の経営者が科学の問題を指摘し科学史の研究者が科学について語り始めた時代に「科学でモノはできない、技術でモノを作る」という名言の正しさの事例でもある。
一部の経営者が講演で言い始めた科学に対する懐疑的な発言はバブル崩壊とともに忘れ去られたが、哲学者イムレラカトシュが指摘したように科学に問題があるのではなく、科学の方法に対する誤解が問題なのだ。
「科学の方法」というその著のタイトルが示すように、科学は「道具」なのだ。問題を解くのは、いつの時代でもその道具を使っている人間である。
17世紀に科学が誕生して、その道具を活用した技術が著しく早い進歩を遂げた結果、知らない間に人類は科学の奴隷になっていた。教育まで科学を道具として教えるのではなく、教育の根幹にそれを置いてしまった。
その結果、STAP細胞のような騒動が起きているが、あのような騒動が起きても科学に隷属した多くの日本人技術者は、科学から解放されていない。科学で導かれる当たり前のアイデアで日々技術開発を行っている。
10年以上前に豊川へ単身赴任しているが、そこでUSITを普及しようと奮闘している若手社員がいた。
あるグループにおける勉強会で「当たり前の結果ではないか」と質問が出たところ、「それが大事です。科学的に導かれた結果ですから当たり前の結果でなければ困るのです。USITを使えばこのように当たり前の結果(注)を導けるのです」と若手リーダーは答えていた。優秀な若手リーダーの熱い発言を聞き、未来は明るいのか、暗いのか、ふと疑問に思った。
(注)当たり前の結果こそ重要という言葉は、このUSIT勉強会以外でもたびたび聞いていた。この言葉を発する人の心の中には、「思いつきのアイデアをやめて、科学的に考えてほしい」という思いあがりがある。科学的に考えていることがそれほど尊いことなのか、今一度反省する必要がある。当方がゴム会社でフェノール樹脂とポリエチルシリケートをブレンドしてSiCの前駆体に用いるアイデアを始めて話した時にも、同様の言葉が飛び出し、さらに「フローリー・ハギンズ理論を知らんのか」とまで言われている。思わず学生時代の体験を言うところだったが、高純度化のためには、原料が高純度化できなければだめだ、と説明している。ニュートンでさえ、マッハから科学的ではないと評価されているのである。古くはユークリッド幾何学という学問があった。当方は高校で「指導要領ではなくなったが、ユークリッド幾何学を少し授業で扱う」と言われた先生に感謝している。
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30年前と現代では、技術開発のマネジメントは大きく変わった。しかし、未だに30年前と同じ技術開発マネジメントを行っている企業があるとしたならば、時代遅れと捉えたほうが良い。
30年ほど前に情報工学分野で始まったアジャイル開発が各分野に普及したからである。今「アジャイル開発って何?」という技術系の管理職がいたならば、すぐに他の仕事へ変わったほうが良い。
ステージゲート法が話題になり始めた30年前も同様の状況だった。「ステージゲート法って何?」という方が、それをタイトルとしたセミナーに押し寄せた。
当方はゴム会社時代に本部長代理として参加した企業研究会のセミナーでステージゲート法を知った。しかし、ゴム会社の研究開発本部長の当時のマネジメントは「開発をおこなってから研究を行う」アジャイル開発であり、30年進んでいた。
ただ、研究者にそのマネジメントは評判が悪く、本部長は悩まれていた。ステージゲート法がアメリカから日本に上陸した時に本部長はステージゲート法とアジャイル開発を合体した方法を考案したが、それを実施する前に研究畑出身のX本部長と交代された。
高純度SiCの住友金属工業とのJVはじめ事業の芽を幾つか育てた名本部長でも定年の前には去るしかなく、残念なことだった。X本部長は幸運な方だったが、やや問題のある方だった。
さて、研究開発を効率よく投資配分し事業化成功率を高めるとされたステージゲート法では、確かに事業化手前までの投資効率は従来よりも上がったが、事業化の成功率はどのようであったか。
世界ランキング5位のゴム会社が3位のゴム会社を買収し、買収前と財務状況が同じになるには20年かかった、と聞いているが、その方面の雑誌に公開されているのは10年で買収事業は軌道に乗ったとされている。
今仮に10年新事業が続いたならそれを成功とみなす、という尺度を用いたなら、ステージゲート法で研究開発を進めた結果がどれだけの成功確率になるのか自社の事例で調べてみるとよい。80%以上あるだろうか。
事業継続3年という尺度で見て80%以上ではないだろうか。10年という尺度で80%以上の成功確率ならば、技術開発マネジメントが大変上手な会社である。今の時代、10年事業を継続できる新事業を探すのも一苦労必要な時代である。
10年事業継続可能ならば、研究開発を3年かけるのも良いのかもしれないが、研究開発期間を3年かけた技術で10年事業が持つかどうか不明の時代だからこそアジャイル開発が普及してきたのだ。
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科学で二律背反となる問題でも技術者は解決しなければいけない。もし、人間の生活に利便性を与える機能でありながら、科学的に二律背反の現象ゆえに実用化できない問題を前にしたならば、技術者は常にそれに向かってチャレンジしなければいけない。
また、そのような意欲が湧かないならば技術者としての適性は無い。これは訓練でどうにかなる問題というよりも動機付けが重要である。
適性がないのに技術を担当している若者には動機付けで気づきを導き学ばせる。もし、本当に適性が無い、と悟った若者ならば転職する。みかけで適性が無いようならば、気づき、学び、自ら訓練する道を選ぶ。
スポーツに夢中になっていて仕事に身が入っていなかった若者に学位を取得させたところ技術開発に興味を示しはじめた体験は、動機づけの重要性を教えてくれた。
技術開発では、科学的に二律背反の現象にたびたび遭遇する。電気粘性流体に配合されていた粒子は、帯電しやすくて電流も瞬時に流せる物質が理想とされ、科学的に考えるとそのような物質は無い。しかし、技術者はこのような二律背反の物質を創り出さなければいけない。
当時研究で使用されていた生焼けのカーボンは、この二律背反を満たす特異な物質としてその解析が行われていたが、品質が安定していなかっただけでなく、性能も不十分だった。
耐久性問題を解決後、その粒子を開発したいと申し出たら、どうして当方にそれができる自信があるのか、と問われた。自信については答えようがないが来週3種類の粉体を提供するので評価してほしい、と「お願い」している。
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