鉄の生産では大量の二酸化炭素が発生するということで水素による製鉄業が研究されている。これは科学的に考えれば、当たり前の王道研究である。
科学的にはナンセンスかもしれないが、発生する二酸化炭素を全量回収して有機物に変換するプロセスができれば、水素による製鉄の研究は不要である。
二酸化炭素を有機物に変換するプロセスは、光合成として植物が行っており、かつて人工光合成の研究が国プロで進められた経緯がある。
変換効率が悪く実用化には至ってないが、変換効率については工夫のしようで改善できる可能性が高い。なぜそれでもこれを研究しないのかというと、経済性を用いて否定証明している。
しかし、鉄生産では二酸化炭素が豊富に出るのだ。これを有効活用する方法が人工光合成しかないのであれば、若い人の中にライフワークとして取り組む人が現れてほしい。
水素を用いた製鉄業は科学的に実現可能性が最も高い技術だが、従来の製鉄プロセスに二酸化炭素回収技術を取り付ける方法も人工光合成を実用化できればその有効性は高いと思っている。
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昨日SiCを事例に当方の体験を書いたが、機能を追求した材料の配合設計技術について開発の余地がある。
今この技術について当方の体験を公開しようと企画準備を進めているが、マテリアルインフォマティクスの提案がアカデミアからある。
ただしこれはAIを活用したデータマイニングであり、どうしても大規模化する。当方の体験談は、科学的ではないが科学のツールを活用してヒューリスティックな解を得る方法である。
同様の手法は、山中博士も用いられノーベル賞を受賞されている。当方の仕事では、せいぜい日本化学会賞どまりであるが、それでも手法の成果は事業に有益な情報をもたらした。
例えば電気粘性流体の耐久性問題では一晩でその解決法を提示している。また、3種の粒子は、電気粘性流体の性能を飛躍的に向上し、実用化への道を開いた。
昨日のSiC切削チップは残念ながら実用化できなかったが、同様の手法で写真会社退職前に行ったリサイクルPETを電子写真機の内装部品応用した技術では、再度その有効性を確認できた。
その他、中間転写ベルトや帯電防止技術、高分子の難燃化技術など人間の脳を活用したデータマイニングで得られたヒューリスティックな解が事業に貢献している。
人間の脳は品質ばらつきが大きいが、科学的ツールを用いるので、多少品質の悪い脳でも同じ結果が得られる。
そもそもQC7つ道具という手法は中卒レベルが獲得している形式知を基準にしているので、当方の手法も同レベルの形式知があれば十分な成果を出すことが可能である。
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バブル崩壊後素材から部材への掛け声のもと素材産業が川下を目指した。有機ELをはじめ熱伝導樹脂や半導体樹脂、高機能フィルムなどが部材の代表格である。
特許を見てみるとほぼアイデアは出尽くしたようだが、メタマテリアルについては今ようやく産業界も注目し始めた段階で、2件ほど弊社へ問い合わせがあった。
このメタマテリアルについては製造してみなければその電気特性等よくわからない部分がある。
かつて半導体材料を設計している段階でメタマテリアルに遭遇したことがあるが、商品スペックを満たさない材料だったので詳しく研究していない。
当時測定した結果では、インピーダンスの周波数依存性等が反転したような物性だったが、完全な反転ではない。
たとえば通常の高分子材料では、多かれ少なかれ低周波数領域でインピーダンスの異常分散が生じる。
周波数0に向かってインピーダンスが上昇する現象であるが、メタマテリアルでは周波数無限大に向かって上昇する傾向や、ある周波数でピークとなり減少に転じる現象などわけのわからない変化だった。
電気粘性流体では、インピーダンスがある周波数でピークを持っている場合に応答性がよく性能が高い材料となった。この体験から材料の構造など思考実験を進めているが、実際に製造したくてもコロナ禍で実験場所を失い困っている。
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高純度SiCの事業化を進めているときに、SiCの分野で世界初の材料はできないか、という極めて難解な問題を上司から出された。
このようなわけのわからない指示を受けたときに、新入社員時代にはいろいろ質問をしたりしていたのだが、上司がよく理解していないのでこのような指示になる、と悟ってからは、部下を鍛えるありがたい仕事と思うようになった。
さて、どこがありがたいのかというと、問題そのものが抽象的なので回答の自由度が高い点である。すなわち、これは、SiCが入っておれば世界初である限り何でもよい、という問題だ。
そこで、切削時に発生する高温度で鉄と反応するのでSiCでは鋳鉄を削ることができない、と言われていたことを思い出し、鋳鉄を削ることができるSiCならば世界初になると考えた。
「SiC基切削チップの開発」というのが当時提案した企画であるが、この企画の内容を科学の常識に反するので世界初、などと説明したらつぶれることが分かっていたので、「世界初のマルチコンポーネントセラミックス」というコンセプトをでっち上げた。
2-3種類のカーバイドからなるセラミックスについては相図から予想がつくが、4成分以上になると研究事例がない大変難しい配合設計作業となる。
今ならば、ビッグデータをコンピューターに放り込み、AIに考えさせてデータマイニングする手抜きができるが、当時は、まだMS-DOSの時代である。
詳細にご興味のあるかたは問い合わせていただきたいが、計画的な試行錯誤法、いわゆるデータ駆動による配合設計で鋳鉄を削ることができるSiC基多成分セラミックスを開発し成功した。そして、この材料を切削チップの形状に加工した。
これを当時の東京工業試験所に持ち込みご評価いただいたところ、既存のサーメット切削チップよりも鋳鉄を長時間切削加工できたのでびっくりした。
抽象的な問題から実用的な切削チップとの評価を頂くまで、4カ月程度だった。タグチメソッドも効率よく実験を進めることができるが、当方の編み出したデータ駆動配合設計手法は、さらに効率が良い。
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1980年と1990年に書かれた10年後の技術に関する本には、必ず材料技術に関する記述がメインテーマとして存在した。
1980年代にはセラミックスフィーバーが起き、1990年にはアメリカからナノテクノロジーが押し寄せた。
2000年には高分子精密制御プロジェクトが国研として進められたが、意外にもこのプロジェクトは酷評された。
しかし、このプロジェクトでは地味ではあるが、アカデミアは数多くの種を生み出していた。このプロジェクトの少し前には土井教授のOCTAプロジェクトが成功をおさめ、高分子シミュレーターOCTAが誕生している。
このOCTAの優れている点は、当時のペンティアムⅢ程度の非力なPCでも動作したことである。土井先生はOCTAの最終完成形は30年後ではないかと当時予測されたが、間もなくその30年後が来る。
金属材料やセラミックスのように結晶が機能を支配している材料について20世紀にほぼ形式知が完成した。しかし、アモルファスが機能を左右する高分子材料技術については、それが未完成である。
このことが一般に知られていないことに驚くが、高分子材料メーカーが未来シナリオを描いていないことには落胆する。当方の有料セミナーにぜひ参加していただきたい。
必ず未来材料のヒントを述べている。シナリオを知りたい方は、弊社へご相談ください。高分子材料技術については、まだ未知の領域が多数あるが、それは科学の視点では見えない世界である。
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緊急事態宣言が解除されたので久しぶりに車で書店に出かけた。実は徒歩の距離で行ける書店には月刊ステレオはじめオーディオ関係の雑誌が置いてないからである。
以前、書店が減少し続けている話を書いたが、とうとう近所には、駅にある1店舗だけとなってしまった。その1店舗も書籍だけではやっていけないので、扱う書籍の種類を減らして文具コーナーを作った。
この一店舗の経営努力による売れ筋以外の書籍は、車を走らせなければ手に入らなくなった。書店を窮地に追いやったアマゾンで書籍を購入する、という気持ちにはなかなかなれない。ところがせっかく遠方の書店まで出かけてきたのに雑誌が売り切れだった。
この店員の話によると売れない雑誌は1-2冊しか置かないので発刊日にほとんどが売り切れるという。仕方がないので久しぶりに書店で油を売ることにした。
決算などもあり、油売りの時間など無いのだが、せっかく来たので1時間制限という条件を設定し無差別に本を見て歩いたが、2030年の社会、すなわち10年後を扱った本が目についた。
これは切りのいい年の一つの特徴なのだろう。若いころはこの手の本に飛びついたが、3回ほど購入してみると、自分の予測の方がよく当たると悟った。
当方が考えている未来予測は後日少し書くとして、販売されている本には何がかかれているかネタばらしをすると、情報と生命科学の開花で大した話ではない。
このような内容でお茶を濁すことと比べると、オリンピック実施直後の日本を予測することの方が難しいと思う。どのような人がこの本を買うのだろうというのが正直な感想である。
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「ポリマー混練り活用ハンドブック」をゴムタイムズ社の依頼をうけ執筆してから1年経ちました。おかげさまで弊社の在庫は5冊ほどになりました。3月末まで送料消費税込み4500円で販売いたしますので弊社へお申し込みください。
本書は従来の形式知による分配混合と分散混合による説明と異なり、マトリックスを形成するポリマーのレオロジーに着眼して解説しております。
これは、ゴム会社に入社しました時に樹脂補強ゴムを担当した3か月間に指導社員からご指導を受けた内容を基にまとめたものです。
40年以上前の経験知に最近の当方の経験知や、起業後8年間の活動で得た成果も内容として含んでおります。形式知として多くの教科書に書かれている内容と少し趣が異なりますが、実用的です。
データ駆動による難燃性樹脂の開発事例は、マテリアルインフォマティクスが話題になる前に実施されました。
パーコレーションの解説も数学による難解な解説ではなく、当方の作成したコンピュータシミュレーションプログラムによる計算結果を基に説明しています。
15年ほど前に混練の形式知で書かれた書籍を数冊買い込み、歩留まり10%以下のPPS半導体ベルトのコンパウンド改良に役立てようと思いましたが、使い物になりませんでした。
むしろ、ゴム会社の新入社員時代のメモのほうが数倍有益な知恵を引き出してくれました。混練は形式知ではなかなか手に負えない分野です。
経験知のメモで、たった3か月および8000万円でコンパウンド工場が立ち上がったのにはびっくりしました。それが今でも場所を変えて稼働しているそうです。
半導体用高純度SiCの時には無機材質研究所の実験室で実験開始からたった4日で黄色い粉ができてびっくりしたのですが、経験知のメモでカオス混合という技術が瞬間的に生まれたのは、もっと驚きました。これは弊社の研究開発必勝法の成果です。
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美術や音楽を形式知の観点で眺めてみると、科学同様の進化を見ることができる。かつてパロディーについての芸術論争があったが、今は二次創作という分野が一つの市場を形成している。
オリンピックのエンブレムでは盗作騒動があったが、あの事件では審査員の問題も噴出して、盗作に至った背景まで露出した。その結果、盗作者の名前を忘れたが、ネットでは彼の過去の作品の解析まで行われた。
すると、多くの盗作事例が出てきたが、その事例の数々を見て彼の形式知の豊富さを知ることができた。盗作を自分の作品のように見せる技術というものは、それなりの形式知が無ければできない。
おそらく彼の知識を教師データとして用い、AIをある考え方で鍛えたならば、安価なデザイン創造ロボットを作り出せるのではないか。オリンピックの盗作者が残念だったのは、この「ある考え方」(注)ができなかったのだ。
弊社は、写真のスキルを用いてオリジナルデザインを生み出す方法の特許権を有しているが、芸術でも形式知の組み合わせにより、美を生み出すことが可能になった。
ただ、弊社が生み出すデザインは、オリンピックで問題となった盗作常習者のような下衆作品ではない。つねにオリジナルな美を生み出す点で盗作常習者を超えている二次創作である。これを一つの技術として特許を取得した。
技術では、特許により独創性の範囲が形式知で論理的に定義され独創性の権利が守られる仕組みが存在する。芸術分野では、著作権は存在するが、似ているか似ていないかの境界は曖昧となる。
実は、技術には「特許に抵触しないがそっくり技術というもの」が存在する。この存在により、技術は発展してきた。
それでは、芸術では許されない「そっくり」という創造物が、技術の世界で何故許されるのか。これを理解できると技術者としてのスキルを伸ばすことが可能である。また、「その理解」は、科学の理解も深める。
ところで、特許に抵触しないがそっくりな技術とは何か、といえば、機能は同じだが、その達成手段が異なる技術である。
全く新しい機能でその実現手段が唯一であれば、特許で保護され、その特許は基本特許となり特許として大変価値が高い。このような基本特許は、今の時代大変少ないのでそっくり技術が溢れることになる。
(注)芸術ではこの考え方に相当する形式知がまだ知られていない。これは、技術と芸術とのインターフェースの一つである。技術と科学にもインターフェースが存在するように、芸術と技術にもインターフェースは存在する。詳しくは弊社にご相談ください。弊社は科学から芸術まで幅広い視点で技術開発を支援しています。
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コロナ禍でこの1年在宅勤務が浸透し、子供のアンケートで将来なりたい職業として会社員がトップになったという。
この結果は父親がWEB会議システムで家庭にいながら業務をしている姿を子供たちが見ていただけでなく、会社員という職業がコロナ禍という未曽有の災難で経済的に安定していたことの影響も大きいだろう。
会社員であれば、一定額の収入が約束されており、個人営業の飲食業のように激減した売り上げに苦しまなくてもすむ。
将来なりたい職業が会社員、というアンケート結果はこのような経済的側面に着目する必要がある。
さて、コロナ禍は子供たちの夢にも大きな影響を及ぼしたが、日々のマネジメントにもかなりの変革を迫っていることに目を向ける必要がある。
マネジメントとは、ドラッカーによれば「人を成して成果を出すこと」であり、知識労働者の場合、自分の知識を他の人の入力としてパワーを発揮し、成果を出してゆくことになる。
この時、従来のように顔を合わせて、という時代ではなくなった。せいぜいCRT越しに顔を合わせる程度である。何が楽しいか理解できないが、WEB飲み会なども登場し、ますますお互いの距離が離れた状態が日常化する。
コロナ禍以前でも、とかく日本人はビジネスコミュニケーション下手である。緊急事態宣言下における、東京都知事と神奈川県知事とのコミュニケーションを見ていても分かるように、誠実さの欠けたコミュニケーションでも通常の業務処理という言い訳で済ましているのだ。
古い話で恐縮するがFDを壊され業務妨害を受けた事件では、隠蔽化されて被害者である当方は孤立していき、誠実な道として退職以外ないような状態に追い込まれた。
同様の事件が財務省の忖度自殺事件であり、刑事裁判では不起訴となったが、民事裁判で訴えられた財務局長にどのような判断が下されるのか。
当方は自殺された方の気持ちを理解できるが、このような場合に被害者が死んでしまったら真実は闇の中になってしまう。生きておれば真実を伝える機会が残る。
このような問題は、健全な組織活動に求められる営みの知恵を磨くために伝えてゆく必要がある。
当方が退職し事件の早期収拾を図った結果、高純度SiCの事業は30年続いたが、その後も学会賞の審査書類に虚偽の歴史が記載され、事業立ち上げに関わらなかったものの名前が載っていたりするなどおかしなことがおきている。
当方が審査員として本来なら当方の名前が筆頭に乗るべき書類を審査したが、見たくもないものを見た、と言うのが正直な気持ちである。ちなみにこの時の書類は、他の委員から差戻し提案があり、2年後に修正された内容で受賞している。
都知事に限らず誠実ではない人間がリーダーになっている組織がふえたなら社会はどうなるか。ドラッカーはそのためにリーダーが次世代のリーダーを選ぶために注意すべき事柄を論じている。
性善説ではかたずかない人間社会のマネジメントでは、誠実なリーダーによる誠実なマネジメントが必須であるが、リモート状態でどのようにパワーを発揮したらよいのか。
インターネットを介した業務推進では、個々の担当者がすでに孤立化された状態にあるのだ。この状態で、悲劇を起こさず成果を出してゆくためには、新しい視点による知恵が必要である。もし悩まれている管理者は弊社へご相談ください。
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メジャースケール”ドレミファソラシド”という音の並びには、決まった周波数があり、純正律ができている話を以前書いた。
しかし、実際の音程は純正律から少しずれた平均律となっている、という。凡人にはその違いが判らないが、何割かの音楽の才能のある人には、平均律と異なり気持ち悪く感じるようだ。
ヨハン・セバスチャン・バッハ(大バッハ、以下バッハ)もその一人で、ピアノの調律の基準を作った人だそうだ。ちなみにピアノは平均律でチューニングされている。
この平均律のピアノで作曲されたのが平均律クラヴィーア曲集でピアノの旧約聖書とも言われている。また、バッハは五線譜も使用していたので、ほぼこの時代に西洋音楽の形式知が生まれたのかもしれない。
これは驚くべきことで、科学の誕生には諸説あるが、大体が18-19世紀ころである。科学の歴史について言及しているマッハ力学史では、ニュートンの業績は科学的ではない、と科学のカテゴリーにニュートンを入れていない。
このニュートンと同じ時代をバッハは生きており、科学が生まれる直前の時代だったことを思う時に、科学と芸術に人類の歴史の面白さを感じる。
義務教育で習う音楽は、西洋音楽であるが、当方の経験では誤った形式知を学校で習っている。おそらく音楽という科目では科学と異なり形式知の存在を教師が不勉強なためだろう。
もし正しい形式知を学んでいたら、カラオケで歌うのが恥ずかしい、という人はいなくなると思う。カラオケは適当に楽しめばよくて、オリジナルの歌手と同じである必要はないのだ。
科学の時代において、音程が平均律から純正律にずれたところでおかしくないのだ。カラオケで配慮しなければいけないのはコロナの感染である。
最近、昼カラオケでクラスターが頻繁に発生しているという。在宅勤務の普及が原因ではなく、みなリタイアした老人だ。
コロナに感染すると血栓を生じやすく命を縮める可能性が高いことが科学的にわかってきた。また、歌を歌う行為でウィルスをまき散らすことも分かってきた。
科学によるシミュレーション結果もある。昼カラオケでクラスターが発生するのは、科学と音楽の結びつき?
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