コロナ禍で新しい生活様式が叫ばれている。一つはマスクである。最近マスクをめぐっては飛行機の搭乗でひと悶着があった。
時代とともに価値観が変われば生活様式も変わる。今は、誰が感染しているのかわからないからマスクをしましょう、というのが常識になった。
最初マスク不足で社会が騒ぎ始めたとき、当方は妻が手作りのマスクをして乗り切った。今も様々な模様のマスクを毎日楽しんでいる。
価値観にもよるが、世の中で一つの流れができて、それが慣習となるのなら、早めに取り込んで楽しんだほうが精神衛生上好ましい。
誰だってマスクをつけて歩くのは不快だろう。だったら快適にマスクをつける生活を工夫した方が良い。
TVで断捨離が報じられた時に、ギターはじめ一部の趣味の用品を廃棄し始めた。老後の生活様式の準備と思ったがコロナ禍である。
高校の同級生の友人が70万円でクラシックギターを発注した、と聞いて気がついた。老後に備えた断捨離が果たして楽しいか、ということを。
亡父は死ぬ間際まで読書をしていた。そしてその感想を書いている途中で、入浴して亡くなっている。残された兄弟は4人だが後片付けは当方に託された。
その時大量の本の始末が大変だった思い出があるが、父親の生き方を知ることができた。一度は断捨離に走ったのだが、コロナ禍でいつ不遇の死を遂げるかもしれないなかで、その準備をする考え方がよいのか、と疑問に思った。
残されたものに迷惑をかけない生き方はそれなりに共感を得るかもしれない。一方で残されたものに対する思いやりも大切である。
宗教も消えてゆく時代に死者との離別をどのように清算するのか。残されたものに結論を出すのが難しい問いである。
生きている間は力いっぱい生きる、やはりこれが大切である。残されたものも故人が力いっぱい生きることができたことを知れば救われるところもある。少なくとも当方と亡父との関係において、力いっぱい生きた証は一つの救いだった。
今後土日を利用して無料セミナーを行いますので希望者は問い合わせていただきたい。他のセミナー会社に影響しないように、当方の知識の伝承を毎回2時間程度で行います。
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高分子の誘電率を分子設計で制御するときに、科学的で有名なClausius–Mossottiの式がある。光学では屈折率に置き換えた、ローレンツ・ローレンツ式として知られている。
この制約から、誘電率を高分子の誘電率を上げるときにも下げるときにも制約を受けることになるのだが、上げる方についてはペロブスカイトでも混ぜてやれば高分子単体で実現できない領域まで上げることが可能となる。
しかし、2.5より下げる場合には結構むつかしい。これは、セラミックスでも難しく、low k 物質が2000年前後に話題となった。
この時にはシリコーン系の発泡体で実用化されているのだが、高分子でも空隙を入れて低誘電率化する以外に科学的には方法がない。
しかし、周波数領域を限定してやれば方法がありそうにも思われる。どのようなアイデアがあるかは、火曜日のセミナーでお話しするので弊社にお問い合わせください。
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材料の誘電率制御について、これまでHighkからLowk材料への流れが20世紀末から21世紀にかけて起きている。
当時は特に高分子材料に限定されていなくて、シリカの空隙材料が注目された。そして層間絶縁膜として実用化された。
今、高分子の低誘電率化が技術ニーズとして注目されている。そして低誘電率ポリイミドが開発されたりしている。
高分子の高誘電率化では、フッ化ビニリデンの類で実用的な材料が商品化されたが、低誘電率化については、誘電率が3前後の材料が限度で、誘電率2以下となると空隙材料以外では実現が難しい。
ところが、負の誘電率が21世紀になって真剣に議論されるようになり、数年前から特許も出始めている。
負の誘電率については、当方も帯電防止剤の開発や中間転写ベルトの開発で実際に測定してびっくりしている。アカデミアの先生にご相談したら「キワモノ」的だ、とのアドバイスがあったので、インピーダンスに絶対値をつけて発表した。
負の誘電率の「偶然」開発体験から、高分子の低誘電率化の可能性を高める技術になるのではないかとの予感をしている。詳しくは来週火曜日に開催される技術情報会のセミナーで説明するのでご興味のあるかたは問い合わせていただきたい。
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シリコーンオイルに傾斜機能粉体を分散した電気粘性流体の比誘電率は100Hz前後で10程度であり、強誘電体である。
高周波数領域では誘電緩和速度が遅いためにシリコーンオイルの誘電率に近い3前後まで低下する。
これは低周波数領域では、粒子の分極速度が十分に早く双極子対が形成されクラスター形成に至るが、高周波数領域ではシリコーンオイルの粘度もあり、見かけ上誘電緩和が遅くなるため、と推定される。
電気粘性流体についてはバブルがはじける直前に研究のブームがあり、そのレオロジー特性は十分研究されたが、電気的性質に関しては、多くない上にデバイス設計上のノウハウとして公開されていない。
電気粘性流体では、半導体を高分子オイルに分散し、電場がかかった時に生成する半導体粒子の双極子対で強誘電性となったが、それは低周波数領域だけの現象だった。
ペロブスカイトのような強誘電体を分散すると高周波数領域まで誘電率が高い電気粘性流体となるが、電気粘性効果は小さかったり応答性が悪かったりと、性能が悪い流体となる。
面白いのは、強誘電体の添加率を増やしてゆくとパーコレーションが観察される現象である。これはポリウレタン樹脂で実験した結果であるが、ペロブスカイト粒子を体積分率で10%程度まで添加すると、高周波数領域の誘電率は上がってゆくが、15%では下がる現象が観察された。
高分子の誘電率を制御しようとしたときに、周波数依存性や温度依存性、不純物の影響などややこしくて難しい問題が存在する。詳細は来週技術協会主催で開催されるセミナーでお話しします。開催日等についてはお問い合わせください。日にちが迫っていますので弊社へ申し込んでいただいても結構です。
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ヒューリスティックな手法は、難しい手法ではないが、知らない人には、マジックのように不思議に見えるようだ。
頭の良い人ほどその手法を受け入れられないかもしれない。実績では偏差値40前後の高校生から社会人になった人を指導して大発明ができている。
要は現象をどうとらえ、そこに存在する機能をモデル化して頭の中でそれ動かすことができればよく、将棋や囲碁の打ち手を考えるより易しい。
しかし、頭の良い人は現象を科学的に捉えようとして、その手法の有効性をなかなか理解できない。科学で何でも解決できると思っているその頭がおかしいことに気がつかない。
自然科学で解決できていない現象は、まだたくさん存在する。素粒子物理学でも今ようやくその果てが見えてきたところではないか。
完成したと言っている物理学者もいるが、素粒子物理学の完成は、それを自然物理学や化学などの世界とシームレスに体系化できた時である。化学では、未だ怪しい錬金術師が活躍できる分野である。
当方が今月無料セミナーを開催するのでそれを聴講していただければご理解いただけるが、当方が指導するヒューリスティックな手法は科学的である。
科学的な手法で科学で解明されていない問題を解くことが可能である。ただし、そこで得られた解は、科学的かどうか検証する必要があるが。
話が脱線したが、電気粘性流体で設計した傾斜組成の粒子に対しても他の人からそれでできたと言われても使えない、と一流企業ではよくある評論家的意見が出てきたので少し科学で味付けした。
意外にも誘電体超微粒子分散微粒子やコンデンサー分散微粒子は、すんなり理解された。創作した当方にしてみれば、この二つの粒子の方が怪しい。怪しいだけでなく、傾斜組成粒子よりも少し性能が劣る。
非科学的な傾斜組成粒子のほうが性能が良く、製造方法も管理可能で量産性があった。コンデンサー分散型粒子は、インタカレーショーンなど時間のかかる現象を駆使して材料を製造しなければいけないのでコストアップすることは見えていた。
非科学的な傾斜組成粒子については、5μm程度のモデル粒子を実際に製造し、それを輪切りにして電子顕微鏡写真を撮影したり、表面と中心部、およびその中間の導電性を測定し、傾斜組成になっていることを確認している。
しかし残念ながらFD問題隠蔽化に納得できず転職してしまった。そのため公開されたデータ特許に掲載された傾斜組成の写真だけである。
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絶縁体セラミクスの中でペロブスカイトと呼ばれる一群の結晶は、強誘電体として知られ、周波数依存性があってもコンデンサー用材料として欠かせない部材である。
高分子ではフッ化ビニリデンはじめ一部のフッ素系或いはシアネート基を有する材料が強誘電ポリマーとして知られている。これらは、側鎖基も含めて電荷の偏りで発生する大きな双極子モーメントにより強誘電体としての性質を示す。
また、ペロブスカイト同様に圧電性も示す。今は昔となってしまったが、オーディオ業界の雄、パイオニアがフッ化ビニリデンを振動板として用いたヘッドフォーンやツイーターを発売した実績がある。
フッ化ビニリデンを振動板として用いたヘッドフォーンは能率が悪かったが、SN比の高い自然な響きをしていた。ヘッドフォーンで音楽を聴くのは苦手であったがこの美しい音に惚れて購入した。
ところで電気粘性粒体という材料が20年以上前に盛んに研究され、あの日産自動車ではサスペンションまで試作された。
電気粘性流体とは、絶縁油に半導体粒子を分散した液体であり、電場のONとOFFでそのレオロジー特性を流体から固体にまで制御可能な物質である。
この流体に電場をかけると、各粒子に双極子が生じ、その相互作用のため、粒子が電場と同じ方向に並んだクラスターを作る。
ONセットとOFFセットの応答性の良い電気粘性流体を設計するためには、半導体微粒子の設計が重要で、電場を受けると帯電しやすく、電場が無くなると帯電した電荷を速やかに無くす仕組みが重要である。
このような材料は科学的に考えていては、山中先生ではないが生きているうちに創り出すことはできない。ヒューリスティックな手法で、傾斜組成粒子や超微粒子分散粒子、コンデンサー分散粒子など瞬間芸的に生み出した。
この創造力は訓練すればだれでもできるのだが、当時のプロジェクトリーダーからどうしてそのような情報を仕入れたのか教えろ、と会議室で詰め寄られた。
頭を指さしたら、切れたので怖くなって会議室を飛び出したが、そのくらいインパクトのある発明だったようだ。
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日産自動車とホンダとの経営統合という話が経産省から出たようだ。日産自動車が断って終わったようだが、これは両社の文化や風土を考慮しないナンセンスな考え方である。
さらに、経産省の話は、ルノーとの調整前、ということで仕事の進め方も役人は理解していないひどい話だ。しかし、巨額の赤字を抱える日産自動車を一度国策会社として建て直す必要はある。
おそらくフランス・ルノーも今は日産自動車を手放したくて仕方がないはずだ。問題は、43.4%もの株式をルノーが保有している状態である。
ルノーも赤字で、おそらく株式の一部あるいは全部を売却する可能性がある。すなわち、身売り先を自分で決められない日産自動車は、シャープよりも厳しい状況に置かれているのだ。
日産自動車がルノーの子会社になってから、国内の日産工場のいくつかは閉鎖され、系列会社もリストラされた。グローバル化の流れで仕方が無いといえば、それまでだが、その結果として日本人の雇用機会が減少した。
新規事業が育っていない国内の状況では、自動車産業は重要である。昨年のモーターショーでは自動車産業を軸にして近未来の新しい事業が生まれる可能性が示された。
日産自動車の問題は、元社長ゴーン体制の名残である。経営陣が、貢献を重視した働き方をしていない点にある。現在の赤字解消は難しい問題ではなく、今日の自動車会社の経営というものが分かっていない経営者で運営されている問題を解決しなければいけない。
今自動車は単なる移動手段ではなく、社会インフラの一部に位置づけられるべき商品である。特に災害の多い日本では、緊急電源が重要で、自動車はその役割を果たすことが可能である。
また、自動運転の未来は、無人運転を可能として、老人社会の貴重な足の役割を果たすだけではなく、ドローンと組み合わせた物流の一翼を担う。自動車メーカーは、未来社会を提案し創り出すことが可能な企業となった。
本来自動車産業とは、市場創造型で常に市場にイノベーションを引き起こす商品を供給しなければ事業の継続は難しい。
日産自動車もそのような活動を行っているように見えるが、ゴーン体制になってからちぐはぐな活動ばかりで、利益優先が目立ってきた。
もし、経営陣に現在の日産自動車を建て直すだけの気概があるならば、給与を全額返上(生活のため従業員の最低給与だけ支給する)して仕事にあたるべきである。
また、そのような経営者で経営陣が構成されなければ日産自動車の再生はない。もしルノーが日産の株式を売却したならば、可能性として低いかもしれないが、ブリヂストンは名乗りを上げて株式を買い取っていただきたい。
その昔、プリンス自動車を日産に売却した歴史がある。また、電気粘性流体の自動車分野への応用に関し共同開発も行っている。スカイラインは、プリンス自動車の遺産であり、ブリヂストンが今回日産の株式を購入してもおかしいことではない。
そしてブリヂストンの経営陣により日産を再生し、新事業を生み出す姿は、現実性がある。畑違いの高純度SiCの事業を30年継続できた会社である。日産を再生させるくらいの実力のある経営陣だ。
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若い人のために。
昔、ある大学の入学式で太った豚になるよりも痩せたソクラテスになれ、と総長が語った言葉が新聞に取り上げられていた。
早い話が、大学がレジャーランド化し始めたころである。今や東大までタレント養成学校のような状況となり複雑な心境である。
学生の頃一生懸命勉強しなかったら、いつ勉強するのか、と喝入れする意図はなく、将来の老化に備えて学生時代を過ごした方が良い、とアドバイスしたい。
少なくとも30歳ぐらいまでは、勉強に、スポーツに、趣味に真剣に取り組まないと老人になった時に困ることになる。
酒を飲んだり、異性を追いかけることはいくつになってもそれを始めることは可能だ。暴走老人のニュースを見ればわかるように、年をとってできることは、死ぬまで衰えない本能的な行動である。
肉体的老化に対しては、筋肉体操も含め社会に老化を防ぐ情報が溢れているが、知力に対しては、脳科学者の警鐘も含め多くないように思う。
当方は、30歳までにどれだけ知的なことに取り組んだのかが老化を防ぐポイントになると実感している。理由は、30歳過ぎてから取り組んだことで、今この年になって、再度取り組もうという意欲はわかないのだ。
しかし、30歳前に真剣に取り組んだことには抵抗なく再開できることに気がついた。よく60過ぎの老人が新しくチャレンジして、ということがTVで紹介されたりするが、あれは難しいことなので取り上げているのだ。
若い時に多少なりとも体験していないことを老人になってから始めるには、勇気や意欲以外にそれなりの普遍的な技が身についていなければ難しい。
老化について最も悲惨な現象は、まったく新しいことに対する拒否反応だと思う。現在の年齢になって、それを起こさないように努力していても、残された年数を考えるとどうしてもその努力をあきらめてしまう。
若い時には意識したことのない老化という現象について、若い時に備えることが必要な時代になったのではないかと思う。人生100年時代である。コロナ禍で余った遊ぶ時間を新しい知識獲得のための勉強や趣味に使うのは老化対策になる。
年をとってから老化対策を始めても遅い。今月無料WEBセミナーを企画しているので気軽に参加されてはいかが。高分子材料の初歩と問題解決法をテーマとしている。
高分子材料と無縁の人でも老人になってから高分子材料のことを考えなければいけないことになるかもしれない。若いうちに老化対策と思って参加するのも悪くない。無料である。
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ドラッカーの言葉に、二つ以上の世界を持て、という人生に役立つ名言がある。この名言は、「組織の寿命が人の寿命よりも短くなった」という指摘のところに出てくる。
これはどのような意味かというと、人間の寿命が長くなったにもかかわらず、企業の定年は伸びていないので、定年退職後知識労働者は、その知識を持て余すことになる。
また社会財産として知識労働者を眺めてみても、定年退職した知識労働者を遊ばせておくのはもったいない、というものである。
今定年退職後の労働市場には、知識労働者を生かすための人材派遣会社も存在し、定年退職後収入が下がるのを我慢すれば、働き場所を探すのに困らない。
また、求人側も知識よりも肉体を求めている企業が多く、強みが無い知識労働者でも運よく採用されれば、70歳くらいまでは働ける労働市場になっている。
この運よく、というところは注釈を加えると、退職時の肩書が重要であるということだ。この辺りを理解していない若い人が多くなったが、企業で出世するという意味に、定年退職後の労働市場で有利に仕事を選べる特権がある。
この辺り書きにくいこともあるのでここまでにするが、定年退職後は、労働時間は減少する。社会も優しいので爺を長時間働かせるようなことをしない仕組みになっている。
だから給与も安い。驚くのは、年金が無かったら働かない方がまし、という労働条件もある。ゆえに、二つ以上の職場で働いている人も稀にいるが、それは体力と知力に恵まれている人だ。
若い人は知らないだろうが、50歳になると体力や知力の衰えを意識しなければ、それを維持できなくなる。すなわち、老化を意識しそれが進まないように対策を取らないと確実に衰えるスピードは上がる。
このことに気がつかない同僚を何人も見てきたし、老化をうまく隠すテクニシャンも見てきた。老化をうまく隠すテクニシャンは詐欺の要素を持ち合わせている場合もあるので注意が必要だ。
2年ほど前、写真会社の元役員というのが訪ねてきて騙された。その人の再就職先の面接のための資料作りをタダでさせられたのだ。
話がそれたが、小生は運よく50過ぎの時にリストラされたので早期退職を決意することができた。早期退職を決意している小生に、早期退職を勧奨する役員もいたので会社というのは面白い。
早期退職を決意し、昔の趣味だったギターに再度チャレンジし始めた。ところが、カメラ会社との合併、その結果舞い込んできた中間転写ベルトの仕事で頓挫した。
もっとも頓挫した理由は、昔弾けた禁じられた遊びを全然弾けなくなっていて楽しくなかったこともあるが、高価なES335が残った。
今の会社を創業してから会社経営が趣味のようになったが、やはりこれは仕事であって、貢献と自己実現を強いられる。人生を豊かに楽しませるためには、貢献など考えなくても良い趣味が必要である。
コロナ禍となり、友人たちも暇になったのか、オーディオの趣味の友人とメールを交わすようになった。
その一人がクラシックギターを新調するということになり、当方はES335を断捨離で手放した話や、その時に昔の手工ギターがES335よりも安く二束三文だった話をメールに書いた。
このメール後、その手工ギターを修理し始めた話やエレアコに改造した話、オークションにアイバニーズの高いセミアコを高い値段のまま出している楽器店の話など書いていたら、紆余曲折は省略するが、禁じられた遊びを弾けるようになり、その高いセミアコを値切って買ってしまっていた。
今若い時のようにギターを練習する毎日となったが、趣味は楽しいのである。楽しいから趣味なのかもしれない。同じ趣味の人間が集まる楽しみもある。
しかし、コロナ騒動も無ければこのような展開にならなかったのかもしれない、と考えると、今何か新しい趣味を始めるには良いチャンスである。オタク的なものでも構わないと思う。何を趣味としたらよいかわからない人は相談してほしい。
セラミックスから高分子まであらゆる材料を開発してきた経験は、趣味についても役立った。二束三文の値段しかつかなかったアコギを修理と改良で、市販品よりも良い音のするセミアコとすることができた。マーチンやギブソンに劣らないジャパンビンテージギターである。
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1970年代、ボブディランやジョーンバエズ、PPM、サイモンとガーファンクルの影響で日本でフォークギターブームが起きた。
フォークギターは今でいうところのアコースティックギターで、当時はマーチン社のコピーギターが日本で大量に製造された。安いもので1万円以下から高いもので15万円前後である。
当時造られたギターは、今お買い得ビンテージギターとして当時の価格で販売されているケースも見受けられるが、おおむねマーチンやギブソンのビンテージ物に比べると安くて品質が高い。
日本製のビンテージギターで注意しなければいけないのは、塗装だろう。当時メーカー間で塗装技術に差があり、ややべたつくビンテージギターも存在する。
また、そのべたつきを押さえるために軽く上塗りをしているものも存在するので注意が必要である。当方の所有する、当時6万円松岡良治製のアリアギターは塗装は完璧で50年経っても異常は出ていない。
さて、当時ギターを購入しても教則本の少なさに困った。クラシックギター用の教則本(カルカッシ・ギター教則本)はあったが、フォークギター用教則本の種類が少なかった。
当時は耳コピで独習するのが習わしだったそうで、それを知ったのは新譜ジャーナルという雑誌が発行されてからである。最初にひたすら禁じられた遊びを練習していた。
1,2年して学生のためのフォークギターとかタイトルのついた教則本が売出され、その後中川いさと氏や小室等氏といった面々の名前がついた教則本が発売されていった。
社会に出てから独身寮に入ったこともあり、ギターを弾くのをやめてしまい趣味がテニスに代わったが、2000年頃にリストラされ若いころを思い出そうとギターを弾き始めた。
ただ、フォークギターの弦を緩めるの忘れ保管していたので、ギターの下腹部が膨らみ、弦高が3mm以上となり使えない状態だった。そこでES335を購入するとともにジャズギターでも練習しようと入門書を集めた。
その中の一冊ジョー・パスの著書にCAGEDシステムによる運指法が載っていた。これはカルカッシの教則本には載っていなかった画期的運指方法である。
最近ユーチューブに初心者向けギター教室が多数アップロードされているがCAGEDシステム花盛りである。
1970年代はせいぜいコードを押さえギターを打楽器のように扱うのか、クラシックギターの曲を弾くのか、狭い選択肢しかなかったが、今はいろんな奏法の解説がなされている。このような分野でもイノベーションは存在し、進化しているのだ。
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