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2019.09/23 働き方改革(2)

今、働き方改革は間違っているのか、というと「今だけの」働き方改革は間違っているが、働き方改革が仕事の一部である時代という見方は正しい。

 

 

そもそも「仕事」があるから「働ける」のである。バブルの時代には、それこそバブルのように仕事があふれていた。

 

 

ところが、それがはじけたのである。しかし、従来同様に働いてきた結果が現代である。「仕事」が無くなったことに、どれだけの経営者が気がついているのか。

 

 

今の時代は、「価値ある仕事を創り出す仕事」が重要で、それは経営者の働きで実現される。

 

 

すなわち、働き方改革は、経営者の働き方改革が実現されて、その結果として労働者の働き方改革につながったとき、うまくゆくものである。

 

 

経営者が従来通りの自分の仕事に満足していて、労働者に働き方改革を求めてもうまくゆかない。

 

 

そもそも働く意味をないがしろにして、働き方改革を進めてもうまくゆくはずがない。また、働く意味が従業員に共有化されている会社では、幸福学など導入しなくても従業員は幸福なはずである。

 

 

ドラッカーは過去の遺物という人がいるが、そもそも労働なり社会なり、さらには人生について体系的に整理することに成功した人物は、未だ彼しかいない。

 

カテゴリー : 一般

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2019.09/22 働き方改革

電車の吊り広告を見ていたら、「働き方改革の見直し」と言う週刊誌のタイトルが目に飛び込んできた。

 

そして、その内容説明として大手企業の名前が並ぶ。どうも、働き方改革を進めた結果、それが業績に悪い結果を与えたので見直す、という内容のようだ。

 

一方で幸福学が昨今の流行である。昔、学生時代に社会学の授業で、幸福論を学んだ。その時の教科書はジンメルの自殺論だった。

 

社会学を学ぶのに幸福と自殺を1セットで扱っていたのだ。すなわち授業の目的は社会学にあり、幸福論と自殺論はその題材だった。

 

自殺論の教科書があって、幸福論の教科書は無かったわけだが、授業の展開は自殺論の論文を用いて社会学の方法を学び、社会の幸福について調べるためにどうするかと言う授業だったように記憶している。

 

自殺者については、産業革命以前から欧米で調査が進んでいたようだが、幸福者についてはその数値が無い。

 

すなわち、自殺という社会現象を調べる客観的数値はあるが、幸福を議論するための科学的な数値は、幸福感と言うアンケートに頼らざるを得ない。

 

幸福を科学的にとらえるにはどうしたら良いか、という訳の分からない授業だった。ただ、ジンメルの自殺論については、自殺者数に社会が影響しているという強烈な記憶が残っている。

 

幸福の対極の現象として自殺を位置づけた授業だったが、この二十年間に幸福を追求して自殺をしたのではないかと思われるニュースをよく聞く。

 

このように書くと批判を浴びるかもしれないが、自死と言うものは生きているよりも死んだほうが良いと思うから選択しているのだ。

 

これを精神が病んでいたから、と捉えるのか幸福の追求として捉えるのか、という議論も授業で出てきた。ジンメルは自殺と言うものを不幸の結果として捉えていたように思う。

 

そもそも「自殺者数」は、科学的にとらえることは可能だろう。それを社会現象を表す客観的数値と結びつけるのは統計科学を用いて可能である。

 

ところがそこに相関性が認められたからと言って、自殺原因と社会の現象と結びつけるのには、少々無理があるように思っている。

 

大学の授業は、社会学の目標はそこにあるのではなく、さらにその結果をもとに社会を研究することだ、という難しい内容だった。

 

さらに、試験の代わりにレポートの提出が課題として与えられたのだが、そのテーマも訳が分からなかった。しかし、訳が分からなかったことを率直にレポートしたら「優」を頂けた。

 

この時の体験から、働き方改革の目標なり、昨今の幸福学を取り入れるときのゴールと企業経営についてよく考えて具体的な施策を行っているのかと言う疑問が出てくる。

カテゴリー : 一般

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2019.09/21 高分子のプロセシング(45)

配合設計以外に混練条件も影響するが、これは複雑である。

例えば面白い実験結果として、PPSと4,6ナイロンの相溶が高剪断領域で起きた、という報告がある。

その報告ではPPSと4,6ナイロンが混練されたコンパウンドを二枚の透明なガラス製円盤で挟み、片方を回転させながら、顕微鏡でその場観察している。

試料の温度を310℃まで加熱したところ、剪断速度の高い周辺部で透明になったという。

これは高分子の相溶に混練時の剪断速度の効果があることを示している。

ポリマーブレンドの配合設計に関してはノウハウの部分も多いが、特許等公開されている資料を整理することにより目的とする高分子物性の設計が可能である。

しかし、配合設計された組成物でも混練で期待した組成物にならない場合がある。混練の制御因子についてはタグチメソッドを用いて設計してゆくと効率が良い。

カテゴリー : 連載 高分子

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2019.09/20 ドラッカーの幸福学

ドラッカーは現代を知識労働者の時代と定義づけ、知識労働者が幸福に生きるためのいくつかの提言をしている。

 

 

まず、彼が提言の前に問題視したのは、組織(会社や役所に勤務した時の組織)の寿命よりも人間の寿命がはるかに長くなった点である。

 

 

すなわち、65歳で定年を迎えた後、知識労働者が平均寿命を生きたとしても20年以上組織から離れて生きることになる。

 

 

組織を離れることにより、社会とのつながりが無くなる人も出てくる。これが大問題だとドラッカーは指摘している。

 

 

そのため、ボランティア活動を彼は推奨している。例えば日本ではスーパーボランティア小畠さんが有名になったが、彼の様なメソッドは一つ参考になる。

 

 

無償で社会的な活動を行うにしても技能や知識は必要になるので、二つ目の重要なメソッドとして常に新たな技能や知識を身に着けることが求められている。

 

 

三つ目のメソッドとして自分の強みにさらに磨きをかけることもよいだろう。強みが理解できたなら、4つ目のメソッドとして二つ以上の世界を持つ。

 

 

この4つのメソッドの実践として、人に自分の獲得したスキルやナレッジを教えることでさらに学ぶことになる。これは5つ目の重要なメソッドである。

 

 

ドラッカーは人生を充実させるこれら5つのメソッドの実践が知識労働者の幸福のために重要だと述べている。この5つのメソッドは自己実現の方法でもある。

 

 

ドラッカーは多くの著書を世に出しており、それらに断片的にこのことを書いている。詳細は弊社へ問い合わせてほしい。

カテゴリー : 一般

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2019.09/19 帯電防止技術

簡単な帯電防止問題ならば、表面比抵抗の値をそれなりに下げてやれば解決できる。10乗のオーダーあればこの手の問題はそれほどの難問にならない。

 

ところが、表面比抵抗を十分に下げたのに、静電気の問題が起きると、途端に問題の解決が難しくなる。

 

有名な話がアメリカで40年ほど前に起きたという手術中の出来事である。帯電防止のために床はステンレス製だった。

 

金属性の床なので導電性があり、履物にもカーボンが用いられて導電性を良好にして静電気対策として完璧と思われた。

 

しかし、手術中に患者とメスの間で放電が起き、患者はショック死したという。この話は、静電気を御存じの方ならば伝説として聞かれていると思う。

 

すなわち、患者は誘電体でありベッドの上に孤立した状態だった。患者とベッドそして床への接続が不十分だったためである。

 

事故が起きてから、あるいは故障が起きてからその難しさを理解できるのが帯電防止技術である。あまりにも複雑な場合もあるので「帯電防止科学」ではないのだ。

 

ただし、幾つか鉄則がある。すなわちノウハウというもので、それをどのように伝えてゆくのか、日々苦労して考えている。悩んでいる人にはご相談に乗ります。

 

 

 

カテゴリー : 一般 電気/電子材料 高分子

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2019.09/18 福島汚染水の処理方法

どんどんたまってゆく福島原発汚染水の処理方法を巡って、大阪市が手を挙げた。大阪湾で放水する案である。

 

自治体の首長がたまりかねて提案したアイデアだが、果たして実現するかどうかである。

 

そもそも現在は放水しても問題のない水を貯蔵しているような状態と、なぜ皆言わないのか。

 

前環境大臣はコストを考えて福島で放水すると発言し、炎上した。大阪で放水するにしても他の自治体から賛同が得られない場合にどうするのか?

 

環境問題の難しさは、100%安全と科学的に証明することができないケースが多い点である。問題解決に「合意形成という非科学的方法」に頼らざるを得ない。

 

もし大阪で放水することになってもコストの問題が出てくる。安いタンカーで運搬するにしても片道分の運送費ではなく往復かかり、陸路と比較し経済的かどうか。

 

学会では電気分解のアイデアが出されている。電気分解では、汚染物質は放出されないという。問題は電気代だ。電気分解に必要な電気代が、大阪までの運送費と比較して安ければこの方法が良い。

 

仮に運送費よりも高かったとしても電気分解処理を行う意義がある。燃料となる水素を取り出すことが可能だ。未来の水素社会を睨んで新しい産業のインキュベートする機会として汚染水処理を活用してはどうか?

 

せっかく松井さんが良いアイデアを出してくれたのだ。これをたたき台として、福島汚染水処理コンペを行ってみたら面白いのではないか?

 

汚染水が意外にも宝だった、と言うことになったら、というよりもそのような視点を持つ必要がある。実は環境問題の良い解決法というのは、ゴミを宝に変える技術開発だ。

 

当方は廃PETボトルにフェノール樹脂基盤など5種類のゴミを混ぜて、射出成形可能な難燃剤を使用しない難燃性環境対応樹脂を開発した実績を持っている。

 

工場から出るごみを有価物に変えてゼロエミッションを目標にしたのだ。環境問題の良い解決法は、問題として捉えるのではなくチャンスととらえることが重要だ。

 

蛇足だが、廃PETボトルで複写機用環境対応樹脂を開発するために、2010年に早期退職する予定を2011年3月11日に退職日を設定し、睡眠時間を削りながら老体に鞭うち必死の努力をした。開発に成功し、2011年3月11日午後3時から開かれる当方の最終講演の準備をしていたら、ぐらッときて退職記念パーティーも無くなり、会社に泊まることになった。最終講演では廃ペットボトルで開発された環境対応樹脂の自慢話もする予定だったが、自慢話さえもできなかった。もちろんこの開発成果の報酬を写真会社からももらっていない報われない仕事となった。会社に貢献しても報われない状態、と嘆いていたら元部下が皆に配られた社長賞の記念品を送ってきた。これには感動した。

 

カテゴリー : 一般

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2019.09/17 出前セミナー

先日安価なセミナーについてご紹介したが、本日は企業に出向く出前セミナーについて紹介させていただきます。

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起業してから、海外も含め高分子技術から問題解決法まで、各種のセミナー講師を経験した。

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そのパワーポイントもデータベースとしてかなりの量になった。特に高分子材料については、一般の教科書に書かれた内容をすべて含んだ技術の集大成になっている。

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下記に一例を紹介するが、ご希望の技術について出前セミナーを行いますので弊社へお問い合わせください。

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1.パーコレーション転移の制御について

帯電防止薄膜と中間転写ベルトの開発経験から、技術説明をいたします。セ
ミナーでは、当方のシミュレーション結果が好評です。Wパーコレーション
技術についても紹介します。

2.高分子材料の難燃化技術
ポリウレタン発泡体や複写機外装材の開発経験から、炭化促進型難燃化技法
と溶融型難燃化技法について開発技術を講演します。

3.高分子の劣化・破壊・寿命予測

ワイブル統計を中心に、アーレニウスプロットや時間温度換算則による予測
法など紹介します。

4.高分子誘電体設計

情報通信で5Gが注目され、高分子材料の誘電率制御が話題になっていま
す。電気粘性流体を完成させた傾斜粉体の開発経験を基に、誘電体論の基礎
から講演します。

5.その他

高分子材料のタグチメソッドや、熱伝導性高分子開発、防振ゴム材料の開発
有機無機ハイブリッドの開発、ラテックス技術の開発などこれまでに当方が
セラミックスから高分子まで材料開発した経験を公開します。

カテゴリー : 一般 学会講習会情報 宣伝

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2019.09/16 名古屋スガキヤ

寿がきやが、20%の店舗の閉鎖を進めているという。寿がきやスーちゃんラーメンは名古屋のソウルフードだ。

 

 

ラーメンブームの時代になぜ、という疑問が出てくるが、320円という価格に原因がありそうだ。

 

 

昨今の人手不足で人件費が高騰し、採算が悪くなったようだ。昔からアンパン2-3個分の価格で頑張ってきた。

 

 

魚介と豚骨の今では取り柄が無いようなスープだが旨い。子供の頃はごちそうだった。寿がきやはラーメンと甘味処を構えていて、OLのファンが多かった。

 

 

子供の頃、休日に10歳上の姉がよく連れて行ってくれたのだが、あんみつとラーメンと言う組み合わせは、今もあるのか?

カテゴリー : 一般

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2019.09/15 高分子のプロセシング(44)

すでに説明したように、多成分の高分子のブレンドでは、ただ混ぜただけでは、それがたとえ水に分散したラテックス(粒径50nm前後のサイズ)でも短時間で相溶しない。

ラテックスの薄膜ならば、その粒子形状が観察される。高分子のブレンドでは混練機の設計と同様に配合設計が重要になってくる理由である。

ラテックス薄膜の製造プロセスにおいて、短時間の熱処理により高分子が拡散して均一に混ざり合うという現象を期待できないが、混練では高分子の融体を混合するので、配合設計を工夫すれば分散粒子径を小さくすることができる。

また、χ=0あるいはχ<0ならば相溶し、単相の高次構造になることも期待できるが、相溶する高分子の組み合わせは限られる。

ただし、相容化剤を用いることで2種類の高分子の分散粒子径を小さくでき、仮に二相の高次構造となっても単相の高次構造に近い物性となる場合がある。

例えばA,B二成分の高分子に対してAとBのコポリマーは相容化剤として用いることができる。AあるいはBとのSP値の近い成分のコポリマーも相容化剤となりうる可能性がある。

その他、組み合わせる高分子の粘度比を設計してやることで分散相のサイズを制御できる。粘度比が1すなわち組み合わせる高分子の粘度が等しいときに最も分散相の粒径は小さくなる。

カテゴリー : 連載 高分子

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2019.09/14 高分子のプロセシング(43)

相溶(miscibility)とは、分子レベルの混ざりやすさを意味するときに用いる。

 

 

一方、サンズイ偏が無い相容(compatibility)とは、種類の異なる物質がうまく調和し、機能を発揮している時に用いる言葉である。

 

 

また、二成分のポリマーアロイを製造するときに相容化剤(compatibilizerまたはcompatibility accelerator)が用いられるが、なぜか相溶化剤という表記を時折見かける。

 

 

混和剤のほうが日本語として適しているとの指摘もあるが、あまり用いられていない。

 

 

Flory-Huggins理論で説明したが、二成分の異なる高分子をブレンドした時に相溶する条件は、χ=0またはχ<0となる、非常に特殊な組み合わせの時だけである。

 

 

一般的なχ>0の組み合わせでは、海島構造の相分離となる。

 

 

今、高分子Aと高分子Bとを重量比1:1でブレンドしたコンパウンドの断面写真があったとする。

 

 

この時、高分子Aを海として(マトリックス)高分子Bが島となった大きなドメインが観察されるはずだ。

 

 

この時、高分子Bの添加量を減らしてゆくとこのドメインサイズは小さくなってゆく。

 

 

非相溶系ポリマーブレンドでは、このように相分離してできる構造が大きくなるため、力学的物性が低下した事例が多い。

 

 

ここで、SP値を揃えて合成された2種類のアクリル系ラテックスをブレンドしてからPETフィルムに塗布し、その後熱処理した薄膜について、その断面写真を想像してほしい。

 

 

ラテックスの成膜では、熱処理を行っているにも関わらず、ラテックス粒子の形状と混合状態がそのまま観察される。

カテゴリー : 連載 高分子

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