時事通信電子版4月3日記事によると、「トヨタ自動車が、ハイブリッド車(HV)の関連技術の特許を使用する権利を、他社へ無償で提供することが3日、分かった。世界で燃費規制が強まる中、無償で特許技術を競合他社に開放することで、強みを持つHVの市場拡大を狙う。」という。
かつて、IBMがアップルに対抗するために16ビットPCのアーキテクチャーを公開し、AXパソコンが主流となりアップルが痛手を被るという結果になっている。
今回トヨタがHV技術を無償公開する理由は、EVの急激な台頭にある。トヨタのシナリオは、おそらくEVが普及する前の時代にHVが普及し、やがて、HVとEVが共存する時代が来る、というものである。
旧来の自動車メーカーの強みは複雑な内燃機関の組み立てノウハウであり、自動車の市場をEVに席巻されたならその強みが無くなってしまう。もし、将来の自動車の主流がHVならば、強みは永遠に残る可能性がある。
トヨタにとって内燃機関を使用した自動車が将来存続し続けるかどうかは、トヨタの強みを維持できるかどうかという問題である。
IBMが16ビットPCの仕様を公開したことで、一気にPCの部品をはじめとしてマザーボードまでも値下がりし、当時40万円前後したPCが今や10万円以下である。しかし、だれでも製造できるようになった結果、IBMはPCの市場から撤退することになった。
今回トヨタがHVの特許を公開した結果は、IBMのようにはならないだろう。なぜなら複雑な内燃機関を製造できるメーカーは限られるからである。それよりもHVに用いられる電装品のコストダウン効果が大きくでて、トヨタ自動車はHVの特許を保有するよりも無償提供により大きな利益を上げることができる。
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連続体モデルの理論解析からプラス電荷とマイナス電荷のズレ(分極)が単一方向にそろっている状態であれば負の誘電率が出現するといわれているが、この場合に分極ドメイン構造のほうが安定なので負の誘電率発現が抑制されるという。
ところがこの解析結果で分極ドメイン構造が生じなければ、あるいは何らかの理由で分極ドメインが不安定になったなら、負の誘電率が現れることになる。
例えば、導電体や半導体のドメインが生じた場合には電子の拡散速度というものは早いので負の誘電率が現れる可能性がある。
実用化されているPPS製中間転写ベルトの誘電率を測定すると正であったが、実用化過程で得られたベルトの中には負の誘電率を示すものが存在した。
用いている導電性カーボンはすべて同じロットの製品であり、異なるのはマトリックスの配合だけである。すなわちPPSへ添加されたポリマーの種類や混練条件で負の誘電率を示すベルトが得られたことを示している。
誘電率が正のパラメーターであることは電磁気学の教科書に書かれているが、計測でこのような負の誘電率が現れる現象については、現代のホットな話題の一つだ。
負の誘電率が存在すれば、負の屈折率も可能性があり、世間では光学分野の関心が高いようだ。永らく屈折率を正として扱い、光学の体系が作られてきたが、その再構築を迫る現象のためだからだ。
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昨日この話題を書こうとカレンダーを見たらエイプリルフールなのでやめた。新元号の発表はエイプリルフールと関係なく行われているが、誰もエイプリルフールだと騒がない。
すでにスーパーコンピュータにより強誘電体薄膜が負の誘電率を示すことが、最近シミュレートされている。
誘電率は正のパラメーターとなるのが普通であるが、30年ほど前に電気粘性流体の開発を担当した時に負の誘電率が測定されてびっくりした経験がある。
導電性微粒子にシリカの超微粒子を傾斜組成で分布させて表面から内部にかけて10の11乗Ωから10の4乗Ωまで体積固有抵抗の値を変位させた粒子や、
超微粒子の粘土鉱物の層間にグラファイトを挿入し、それを分散した微粒子、すなわちあたかもナノオーダーのコンデンサーが分散したような微粒子を合成して測定した時である。
誘電率は正だから測定法がおかしいのだろう、と周囲の研究者に笑われたのでそのままにしていた。しかし、転職した会社で中間転写ベルトの開発を行っていた時に、また負の誘電率と遭遇することになった。
世間でもメタマテリアルで誘電率が負になる、ということで2000年以降指数関数的にそのような論文が増加しているのでおどろかず、じっくりと頭の中で温めてきた。
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高校に合格してすぐに合格祝いだと言って、父親は約束通り築15年程度の南側半分を建て直してくれた。そして10帖ほどの2階を当方の希望通りに設計してくれるという。
北側半分を建ててくれた工務店の社長と日曜日に建築の打ち合わせをするときには当方も同席させてくれた。
当時オーディオがブームになり始めてきたので、勉強部屋をオーディオルームにしたい希望を話したら父親から猛反対にあった。あくまで勉強部屋だという。
その時工務店社長が気を使ってくれて、二階部分の影響で北側二階が陰になるから北側と廊下の幅ほど空けて屋根を斜めにするとよい、という提案をしてくれた。
工務店社長の提案を取り入れ、押入れを大きくとると間取りは6帖ほど残るので悪くない案だった。
出来上がった図面を見て驚いた。当方の希望を取り入れて、天井が斜めになっており、部屋の形状は理想的なオーディオルームそのものだった。
窓にはカーテンレールが二本設置され、お小遣いで吸音用のカーテンを内側につければよい、と耳打ちしてくれた。部屋の扉も重く設計してくれるという。
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小学5年生の時、自宅が半分改築された。もともと自宅は、名古屋大空襲の後すぐに建てられた北側半分とその10年後建てられた南側半分の構造になっていた。
子供のころから、1件の家でありながら住み心地の違いに違和感を持っていた。しかし、終戦直後建てられた北側部分を壊している光景を見て驚いた。隣の家と一体建築だったのだ。
それだけではない。家の基礎などなく、柱は漬物石程度の大きさの石の上に立っていた。まるで木造船の様な構造の家だった。
建て替えられた家には立派な基礎部分があり、屋根瓦は大工が言うには耐震対策を考えた軽量瓦だという。
確かにスレート瓦よりも軽くて色合いが豪華だった。立派な基礎部分も大工が考えた耐震構造だという。大工の棟梁は工業高校卒で父親の後を継いで新たな工法で家を設計していると自慢していた。
そして、自分のことを大工ではない、工務店の社長だと言っていた。有限会社の工務店には若い職人が5名ほどそこで寝食を共にしていた。
工務店の社長が自慢していただけあって、新築の家は冬でも暖かく快適だった。今度は南側部分との住み心地の違いが気になった。
父親は当方が高校に合格したら南側部分を二階建てにして、勉強部屋を作ると約束してくれた。東京オリンピックも開催され、バブル経済へ向かって日本が走り始めた景気が上向きの時代だった。
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高分子の混練は、混練機で発生するエネルギーを高分子が受け取り発生する剪断流動と伸長流動により進行する。
ここでよく知られた伸長粘度は剪断粘度の3倍と言う法則(Trouton則)があるが、実際の高分子の混練ではこの法則が成立しない。
その原因は伸長流動に弾性項も含まれるためだが、これはゴムひもを引っ張ってみれば簡単に体感できる。
ゴムひもは加硫されている高分子だから、それは違うだろう、などという細かいことは考えず、少し引っ張るだけでも伸長流動が単純に粘度だけでは説明がつかないことに気がつく。
この段階で、さらに細かい突っ込みを言いたくなる人は、この先を読んでいただく必要はない。
なぜなら科学の難しい話をするつもりはなく、現象をうまく捉えるコツをお話しするのが目的だから。
世の中にはいろいろな人がいる。教科書に書かれていることは絶対に正しくて、それに反したことをいう人を無知と決めつけるような人から、最初から教科書など信用せず、経験こそ命、といった職人肌の人までさまざまである。
これは、知識に対する認識の違いから来ていると当方は考えているが、ある現象に対峙したときにこの認識の違いが大きく影響するから技術開発において問題となる。
剪断流動と伸長流動について、前者の理解についてはそれほど認識の違いでばらつかないが、後者については弾性項の存在を意識するかどうかで混練で引き起こされる現象から機能を拾い上げる能力に差ができる。
すなわち、現代でも科学で十分に説明しきれていない分野について、過去の形式知の延長線上で現象をとらえようとする姿勢と、過去の形式知を批判的にとらえ、目の前の現象との比較に努力する姿勢では、発明や発見の機会に大きな差が出る。
手元のゴムを引っ張るという作業においてもそこに現れる現象に過去の形式知と異なる知を見出せるかどうかは、その作業に対する姿勢で決まる。
その姿勢に対して、過去の形式知を振り回して批判ばかりするような人には、遭遇した現象から新たな機能を拾い出せない。これについてはドラッカーも「頭の良い人ほど成果を出せない」とばっさり切り捨てている。
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日産「リーフ」は電気自動車としてよくできている。「走る」「止まる」「曲がる」の基本機能において、「止まる」にイノベーションを起こした。1ペダルで踏み込めば発進と加速、緩めれば減速と停止まで行える。早く減速したければ、そのためのブレーキもついている。
これまで、ハイブリッド車でペダルを踏み間違えたときにそれに気がつきにくいこと、それゆえ踏み間違いは暴走につながるので危険だが、その原因について、二つのペダルで機能の振り分けがうまくされていないことを指摘している。
リーフの様な形式であれば、踏み間違えることはない。すなわち、加速と停止動作が異なるからだ。ガソリンエンジンのオートマチック車の場合には、エンジンブレーキを使用して減速する習慣にしておれば、踏み間違いに気がつく。
そもそも動力が変わる時に、なぜ各種操作方法を安全側に見直さなかったのだろう。ハイブリッド車が現在の様な操作方法を今後も続けるならば、押しやすいところに「非常停止ボタン」をつける必要があると思っている。
あるいは「止まる」機能について、安全側に考えられた新しいシステムに変更すべきである。昔、ハイブリッド車には興味があったが、今は、とりあえず試乗をしてみるが、「止まる」機能の改善がされない限り購入しない方針である。
自動車は、昔ペダルが3つもついていた。しかし、踏み間違いの暴走が起きにくい仕組みだった。これは設計者が意図したのではなく、レシプロエンジンの特性から自然と生まれたものだ。すなわち、ペダル操作を誤ればエンストを起こし、車は止まる。止まることが優先されていた。ハイブリッド車は燃費優先のペダル機能である。
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本日は、高分子の難燃化セミナーを品川区大井町きゅりあんで行います。ところがセミナーの前にショッキングなニュースが飛び込んできまして、あせりました。このショッキングなニュースとは、大塚化学がホスファゼンの国内販売を中止する予定というメールである。
大塚化学は、ホスファゼンが無機高分子として注目されていた1980年代初めから事業を行ってきた企業である。おそらく会社のホームページでも詳細発表があると思われるので、この件はここまで。
高分子の難燃化技術においてホスファゼンは臭素系難燃剤よりも環境負荷が小さく重要な素材である。しかし、価格が高いので、1980年代に多くの会社が参入したにもかかわらず、現在国内で事業を展開しているのは3社だけである。
当方はホスファゼンについては、大塚化学が研究開発をスタートする以前から大学で研究をしていたその道の専門家の一人であるが、ゴム会社でこの化合物で変性した難燃性軟質ポリウレタンを開発して始末書を書いた実績がある。
始末書の原因は、試作がうまくいったために上司が川下部隊へ喜んで報告したためだ。当時ホスファゼンが市販されていなかったために、それが大問題となった。
市販されていなかったホスファゼンを当方は自分で合成し、上司もそれを見ていたはずであるが、企画提案から試作成功までが4ケ月という短期間だったために、当方が合成していたことなど忘れてしまったようだ。
もっとも当方はホスファゼン変性軟質ポリウレタンフォームという魅力的な発明のために昼夜実験を行い、ほとんど徹夜状態で工場試作まで持ち込んだのだが、工場試作を決定したのは上司である。
しかし、なぜか試作を行った責任が新入社員にある、ということで、当方は最初で最後の始末書を書くことになった。ただ、この始末書では普通に書いては面白くないので、ホウ酸エステル変性軟質ポリウレタンフォームの提案を始末書で行っている。
面白いのは、ホウ酸エステルも市販されていない化合物だったのだが、ただホウ酸とジエタノールアミンをかき混ぜているだけでできる、ということで企画が採用された。
矛盾を感じつつもこの仕事も一生懸命過重労働で半年もかけずに試作を成功させて、そして実用化された。ちょうどそのころ大塚化学よりホスファゼン開発のニュース発表があった。
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熊本地震に関する論文において、京都大学で捏造や盗用があった。中には東大の研究者の写真をひっくり返して盗用していた悪質な捏造もあったという。
それを指摘された研究者は、事実を認めたけれど、「結論は間違っていない」と寝ぼけたことを言っている。このような場合には、謝罪だけが社会に受け入れられる研究者として真摯な姿勢である。
京都大学の調査結果は、「林教授は東京大教授らが作成した地下の断層の状況を推定した図を引用したが、左右を反転させて掲載していた。地震を引き起こした地下の震源の位置が大きくずれるなど、結論を導き出す前提に問題が見つかった。防災科学技術研究所が公表している図を書き写している箇所も複数あった。」(3/27日経電子版より)
科学では結論を導き出すための論理について厳格でなければ結論の信頼性がゆらぐ。調査結果は単なる不注意ではないと認定した結果と思われるが、研究者に対する厳しい処分が必要である。
この場合に研究者が指導者であった場合には、その後の発言内容も含め降格もしくは退職勧告をアカデミアはすべきだろう。企業同様の厳しい対応をしなければアカデミアを守ることができない。
約30年前になるが、学位を出すから生データを見せてほしい、と言われ、生データを渡したところ、当方を第二著者として論文を書いた失礼なアカデミアの研究者がいた。
大変良くできた研究だから論文として早く発表すべきなので書いてあげた、第二著者でも学位論文に影響は無いから、と訳の分からないことを言っていた。
アカデミアには昔から常識はずれなおかしな研究者がいる。それだからアカデミアだ、という方もおられるが、今は、アカデミアにも社会常識が要求される時代である。だから論文捏造に対しても厳しくなってきた。
STAP細胞事件では学位取り消しになっている。ちなみに、論文を勝手に出された当方は、奨学寄附金も要求されたのでその大学に学位審査をお断りし、スタッフがそろっていて高純度SiC合成法はじめ新概念のプロセシングを正しく審査できる中部大学で、審査料8万円だけで学位を取得している。
かつては学位審査にかこつけた悪質バーのような国立大学もあった。今は国際的な大学の格付けが発表されたりする時代である。不祥事の対応は重要である。
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ドラッカーは、20世紀に人間の寿命が組織よりも長くなった問題を指摘している。
すなわち、昔は平均寿命が短かったから、企業を退職して10年から20年で人生を終えることができたが、今や人生100年時代である。
65歳で定年退職してから、まだ35年も生きてゆかなければならない。70歳定年制が議論され始めたのは、単なる労働人口の問題だけでなく、人生が長くなった問題も含んでいる。
イチロー選手が引退したからと言って野球をやめるわけではない、といった発言はサラリーマンに参考になる。彼はさらに、明日も忙しく運動をしているでしょうね、とも発言している。
亡父は100歳で死ぬまで読書を続けていた。また、郵便局のポスター書きを80歳前後までしていた、と話していた。
たいしたお金にはならない仕事でボランティアだったが、それでも体が動く間は社会に貢献したい、という思いだったのだろう。
ドラッカーは知識労働者の寿命が長くなる問題を社会問題として提起していたが、自分の強みを組織の中で見いだせることが重要とその一方で語っている。
すなわち、組織で働いている間に自己の強みに早く開眼し、それを人生の中心にすえることが人生100年時代に重要になってくる。
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