安倍晋三・首相と小池百合子・希望の党代表は総選挙前、口を揃えてこう語った。「政権選択選挙になる」(注)。ところが、一旦は燃え上がった小池劇場は、小池氏の「排除」という一言で一気に萎んだ、と多くのマスコミが報じている。
一部には、「小池氏の出馬は次の次」という若狭氏の発言が原因、という論調もあるが、その若狭氏が政治グループを立ち上げながらも、小池氏が「私がリーダー」と言わんばかりに希望の党を立ち上げたところから、当方には先が見えていた。
サラリーマン時代に同様の体験を当方はしたからだ。そしてうまく行かなくなると、当方にまたリーダーの席が戻ってくるような展開である。少なくとも今回の選挙における一連の流れを、二大政党制の仕組みを作る仕事として捉えたときに、まずい仕事の流れになった、とその時感じた。
以前にも指摘しているが、小池氏の仕事の進め方は、戦術こそ長けているが、全体戦略、政治ならば日本にどのように貢献するのかという志が見えていない。何か「コト」を成すためには、志が必要であり、その志に向かってわき目もふらず一直線に進むのか、志実現戦略を立てその戦略を確認しながら負け戦でも臥薪嘗胆し進むのかしなければ、大成しない。
高純度SiCの事業立ち上げでは、スタート時に一人目の上司が亡くなり、管理職が短期にくるくる変わる悲劇が続いた。そして1年半ほど長期にわたり管理職になられたエリートの方は小生を組織の隅に追いやり、小生はまだ若いのに特命担当となった。悲しかったが、事業がうまく行くならば、と隅で様々なセラミックス事業の企画提案をしていた。
しかし、そのリーダーは無責任にも仕事をただかきまぜ整理しただけで、最後は小生をたった一人高純度SiCの担当者にしてタイヤ関係の部署へ移っていった。
その後小生は一人で事業の出口を探すために営業活動も行い、住友金属工業とのJV立ち上げに至るのだが、その事業が現在も続いているという自己満足程度以外に得られたものは無く、一人悩み苦しみ長期戦を覚悟して独身生活に終止符を打った記憶を今でも忘れられない。
今回の希望の党は、明らかに惨敗であり、その原因解析が様々に言われているが、戦略の無い戦術だけに頼った進め方がいかにダメなのかを示した事例で、立憲民主党では国体委員長に辻本清美氏を抜擢するなどの動きもあり、あたかも「55年体制」に戻ったかのような状況を作り出した。
かつては春日一幸の民社党が希望の党に近い改革保守的位置づけで自民党との連立政権が誕生したりしたが、その民社党の地盤では、証拠の揃った不倫報道を全否定した不誠実な女性議員が当選した。
そして民社党とはベクトルが異なる旧社会党のような立憲民主党に入党するという。愛知7区の有権者には女性議員の不誠実さが見えなかったのだろうか。一方でこの選挙区では1万票以上の無効票があったというが、それをことさら指摘しているのは「おっさん」連中と書いた差別報道があった。
おっさんは、選んだ議員が社会党に行くとは思っていなかったのだ。おっさんの一票の重みを不誠実な議員はよく考えなければいけない。もし所属政党を選ぶならば有権者の気持ちを忖度し希望の党にすべきだろう。この女性議員はどこまで不誠実なのか。
このような喧騒のなかで行われたクライマックスシリーズは、レギュラーシーズン3位のDeNAが同1位広島に4連勝し、日本一になった98年以来19年ぶりの日本シリーズ進出を決めた。過去の体制に戻った政治の世界で、下剋上は起きるのか。
(注)もし戦略があったなら今回の選挙で多数の候補を擁立するような戦術をとるべきでなかった。無理に形を整えた結果、希望の党は分裂するかのような状態になっている。有権者は当選した候補者の言動を十分に観察し、ダメな議員を見極める機会でもある。
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高分子の成形体で生じる不良は、成形プロセスが原因となる場合もあればコンパウンド起因でうまく成形できない場合もあるので、部品の品質問題を議論するときにややこしく難解になる。
これは一般に言われることだが、押出成形における品質問題では形状付与で生じる問題も含め大半はコンパウンドにその原因がある。もし射出成型で、成形条件が十分に管理されておりエラーの原因が見当たらないならば、コンパウンドにそれが潜んでいる。
ブロー成型その他の成型方法でも同様でコンパウンド起因で引き起こされる成形プロセスの問題は多い。それにもかかわらず、成形プロセスで問題が生じたときにコンパウンドの問題を調査しようとしないコンパウンドメーカーは多いのではないか。
少なくとも2005年から5年間の単身赴任で出会ったコンパウンドメーカーはそうだった。そのうちR社とD社は特にひどかった。コンパウンド起因であることをデータで示してもD社は射出成型の問題という屁理屈の証拠を返答してきた。
さすがにコンパウンドに潜んでいたスについては動かぬ証拠なのでスの入ってないコンパウンドを納入すると回答してきた。そしてその改善がなされたときに、それまで頻発した射出成型のエラーは無くなった。
今週金曜日には混練のセミナーを行うのでご興味のある方は問い合わせていただきたい。弊社で申し込んでいただければ3万円で受講できます。
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昨日中国の超監視社会という話題が放送されていた。2015年から習氏の開発指示で設置された監視カメラはAIに接続され、道路を走る車から人間まですべて認識し追跡する機能があるそうだ。その結果刑事事件が33%減少したという。
まさに、天網恢恢疎にして漏らさず、の様相である。中国共産党大会は24日に終了するが、国の統治の様子よりも、天網と呼ばれるそのシステムの性能に驚嘆した。
国内で数億台のカメラが稼働しており、おそらくたまに出張で行く上海市内はホテルの中まで単なる映像としてではなく、一人の人間の行動としてデータ化され監視されているのであろう。
日本もようやく監視カメラの設置が進んできたが、その運用は中国ほどではない。中国では、例えば虹橋空港で入国審査を受けてから出国するまで入国者を監視することが可能になっている。
仕事中はもちろん夜カラオケにいってもその行状が監視されていると思ってよい。この事実を知ったなら中国出張者の多くはローカル企業の接待など受けなくなるのではないか。
ふと昔見た映画「盗聴」を思い出した。その映画のラストシーンは、盗聴を仕事としていた探偵が、部屋中の壁を外し、部屋に盗聴マイクが仕掛けられていないか確認した後、おもむろにサックスを取り出して演奏をはじめ、そのままフェードアウトしている。ホテルの部屋の中で、カラオケ一番のマイクを片手に一人唸っていても絵にならない。
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神戸製鋼は今回の問題についてデータ記録の自動化が一部の工場で進んでいなかった点を指摘し、データ記録の自動化を全工場で進める、と発表した。
神戸製鋼は今回の問題についてその本質に気がついていないようだ。そもそもデータの改竄が行われた背景は、現場の担当者が規格値から少々はずれたデータについて「科学的に」判断しOKを出していたのではないかと想像している。
ゆえに、顧客であるトヨタや日産から神戸製鋼の製品を使用した部品で問題発生していない、すなわち顧客が神戸製鋼の材料を成形して評価したときに規格値に入っていた、とはやばやと声明を出した可能性が高い。
神戸製鋼の一番の問題は、その品質評価体制あるいは仕組みにあるのではないか。理由はデータの「改竄が必要のない」仕組みであれば問題は起きないからである。
中間転写ベルトの開発を前任者から引き継いだときに外部から購入したコンパウンドを内部評価したデータを全部調べた。改竄されたデータが一つも無かったのですぐにコンパウンドに問題があると判断できた。
そこで、カーボンの添加量も間違っていたかもしれないコンパウンドをどうして受け入れたのか前任者に問い合わせて、不良在庫の存在を知ることになった。コンパウンドの納入仕様はザル規格だったので内部で品質評価したときのデータを改竄する必要はなく、測定値がそのまま残されていた。
そのかわり不良在庫をため込むという問題が発生し、少量の間は報告されていたが、棚卸しで計上し忘れたことをきっかけに報告しないようになったという。この不良在庫のおかげで難燃剤無添加で廃材をリサイクルした難燃性樹脂を開発できたので今では良い思い出だ。
神戸製鋼はデータの自動化で新たに発生するかもしれない忖度を警戒しなければならない。仕組みなり体制を見直さない限り、新たな不正が発生する可能性がある。
不良在庫の棚卸しが正しく行われなかったのは、組織に対する忖度だった可能性がある。当方は前任者に忖度し、不良在庫の全てを有価物として中国ローカルメーカーへ販売し、そこでそれを用いて新たな環境対応樹脂を開発(注)した。
今晩は忖度の問題が選挙にどのように影響が出るのか楽しみである。忖度は、その行為自体に善悪は無く、その結果が善悪に影響を及ぼす。忖度のコツは結果が必ず善となるときにだけ行うことである。
(注)新品のPPSを使用していたらコンパウンドの価格は高くなっていた。このテーマがさらに退職後も展開され、引き継いだ部下は社長賞を受賞している。不良在庫は開発資源として経理処理され、忖度で皆幸福になった。
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成形体を製造するための材料は大別すると、金属やセラミックスなどの無機材料と樹脂やゴムなどの有機材料に分かれる。
製品組み立てに使用する部品は、これらの材料を何らかの方法で成形して製造する。この成形プロセスは一定のばらつきをもっているので、部品の品質管理が重要になってくる。
この部品の品質を安定化させるためには、材料の品質管理が重要になってくる。そこで材料の品質について成形体の強度をある値以上となるように材料メーカーと成形メーカーが取り決めをしたとする。
このとき、材料メーカーと成形メーカーの技術レベルがまったく同じならば材料メーカーで成形体の強度を評価し、その値でもって品質管理が出来そうに見える。実際にはそれが可能な場合と不可能な場合が存在する。この状況は金属でもセラミックスでも高分子でも同様である。
だから高分子業界では材料の強度についてはカタログに記載するが、それを材料メーカーが品質規格とするケースは稀である。
なぜなら仮にテストピースで60MPa以上の強度値を示す樹脂であっても、それで大物成形を行っても、成形体の場所により40MPa以下となる場所が出てくる(注)。こうなると、コンパウンドについて60MPaを品質規格として採用したとたんにコンパウンドメーカーはクレームの山をかかえることとなる。
樹脂業界の裏側を明かすことになるのでこれ以上書かないが、神戸製鋼の問題は神戸製鋼の技術者がこの材料の品質管理について実態に即して運用する知恵を持っていなかったために不正を働くこととなったのではないか、と推定している。
(注)成形体メーカーでは、製品設計でこのような場合でも問題が起きないように金型や製品の形状に工夫を加えている。そして成形体について抜き取り検査を行い、その工夫がきちんと機能しているのか検査している。神戸製鋼のお客も製品検査を行っているはずなので、*****であり****となる。***については誤解を招きかねないので書かないことにした。
(注)当方が退職直前に担当した中間転写ベルトの押出成形では、コンパウンドを外部業者から購入して開発していた。しかしコンパウンド業者が当方の改善提案を聞き入れてくださらなかったので、コンパウンド工場を急遽自前で建設することになった。この時のラインでは、インライン検査が可能なように各種センサーをいたるところにつけて立ち上げを行っている。さらに、ペレットには、ベルトの強度や電気特性の偏差まで評価できる品質管理を実施した。その結果現在でもコンパウンドラインから成形ラインまでトラブルはない。インライン検査については、当方だけが趣味的に見られるように設計してあり、生産立ち上げ後は検査項目から外している。ベルト物性の品質管理項目は、早期退職する前にすべて品質管理項目からはずした。安定な工程をどのように立ち上げるのかは、総合的な知識が必要で、形式知だけで行うと神戸製鋼の問題が起きる。ご心配な方は御相談ください
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高分子材料で生み出される製品の製造プロセスは、コンパウンディング→成形→製品組立となるが、製品性能は、成形体物性に大きく影響を受ける。ゆえに成形メーカーはコンパウンディングメーカーに成形体物性の品質保証を求める。
しかし、多くの場合にコンパウンディングメーカーは成形体物性の品質保証を断っている。ただ、樹脂の難燃性や熱伝導率などその付加価値を示す機能については品質保証を行う場合もあるが、多くはコンパウンドメーカーにとって無難な項目で品質保証を行っている。
ちなみに、押出成形で半導体ベルトを製造する時に重要なことはコンパウンド段階でその性能を保証できなければ、成形工程で多大なエネルギーを使い生産することになる。
なぜなら押出成形は「いってこい」の世界であり、コンパウンド段階で機能が作りこまれていなければ歩留まりの高い生産が不可能だからだ。このようなことを知っていたので、前任者の無責任な要求にも迅速に評価技術を開発して答えたのだ。
話は横道にそれるが、先日(3)で書いた不良在庫の問題は、廃プラスチックを用いた難燃性樹脂というテーマを企画し、全部消費した。おかげで退職を一年延ばすことになり、最終出社日が2011年3月11日となった。
ちなみにこの企画は、退職後引き続き担当したメンバーが社長賞を受賞している。そしてメンバーの一人は、当方にその記念品をわざわざ送ってきてくれた。
これは少しいい話であるが、材料メーカーと成形メーカーとの間の品質管理にかかわる悩ましい問題も神戸製鋼の問題の背景には存在する。誤解を恐れずに言えば、コンパウンドメーカーのように改竄をする必要のない仕様書にしておれば問題発生は無かった。
例えば記録として残さなければいけない測定値と現場で参考に測定し、異常を検出するための測定値に分けて管理する方法がある。後者は記録として残さない仕様にしておけば測定値の改竄など起きない。
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「コンパウンディング & フィラー分散のいろは」と題して、今月27日に「東京・大田区平和島 東京流通センター 2F」で講演会を1日(10:30-16:30)行います。
サイエンス&テクノロジー社主催の講演会ですが、弊社へお申込みいただければ、30,000円(消費税別)で受講できますのでお問い合わせください。
内容は、高分子材料に関する基礎から押出成形や射出成型までコンパウンディングが影響する分野について解説いたします。
総花的な解説ではなく、実戦的な内容で、最近中国で開発した技術の実例も紹介いたします。
もし混練技術について、教科書を読んでみてよくわからない、と感じられた方は、ぜひご来場ください。
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希望の党が失速したと思ったら、希望の党へ入党し立候補した旧民進党の元議員の候補が希望の党の批判を始めたという。今回の選挙戦は本当に面白い。
希望の党が設立されたときのマスコミの評価並びに世間の反応はものすごかった。また、希望の党の目指す方向に当方も納得した。その本質は海外の一部の批判で指摘されているようにポピュリズムかもしれないが、非自民の政党の姿として面白いと思った。
旧民進党の議員もこぞって希望の党の旗の下に集まりかけた。そこへ小池氏は改憲に対する考え方を見るための踏み絵を出した。現在の希望の党に所属している旧民進党の人たちは、皆この踏み絵を前提に活動している人たちだ。
そもそも政党は同じ志を持った人たちの集まりで、その代表が国会議員となって国政に関与していくシステムだ。志は同じで考え方は微妙に異なっていても志実現のために所属政党で活動する。
民主主義では、とりあえず大勢を占めた政党が政権を担うシステムだからそのような活動以外では志を実現する手段が無い。ゆえに意見が異なる仲間とも志実現に向けて議論し、すこしでも目標に自分の考え方を入れて行こうとする。政党内に異なる意見のメンバーがいてもおかしくない。揃えるべきは志のベクトルである。
そして大切なのは、ベクトルの先にある政党が描く日本の未来像である。国民はその未来像に期待して政党を選び、その政党で活動する議員を選挙で選ぶのだ。希望の党が残念なのは、希望の具体的イメージを国民に提示していないだけでなく党員にも見えていないようだ。自民党と同じような未来像は見え隠れするが、それでは政権選択と言いにくいのかもしれない。
その結果旧民進党系の候補者のような輩が散見されるようだが、このような輩に清き一票を入れてはいけないことは、志の重要性を考えると明らかだろう。
旧民進党系の候補者は、希望の党と立憲民主党、そして無所属の3通りに別れた。今回の動きを見ていると、選んではいけない国会議員の選別が行われた、ともいえるのかもしれない。
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呆れた事例として、PPS-6ナイロンのコンパウンド工場を立ち上げたときの体験談を書く.この仕事では前任者は外部の一流コンパウンドメ-カーからこのコンパウンドを購入し、中間転写ベルトの開発を行っていた。
その時のコンパウンドメーカーに提示した仕様書には、コンパウンドペレットのサイズと形状程度しか書かれていない。中間転写ベルトの機能として重要となる強度や抵抗の品質保証値をコンパウンドメーカーに求めていなかった。
それだけではない。使い物にならないコンパウンドまで購入していたのだ。そしてその在庫については公にしていなかったので、当方が業務を引き継いだときに、その大量の在庫の責任を問われることになった。前任者の問題はこれだけではない。
コンパウンド工場の稼働間際に、外部のコンパウンダーには提示していなかった電気抵抗の品質保証値を新工場では品質保証値として採用すべき、と前任者は言い出し、工場の稼働に反対したのだ。
予算が少ないうえに工場立ち上げさえも異常な短期間な状況で、この発言にびっくりしたが、思い起こせば、内製化を提案したときから足を引っ張るような後ろ向きの発言ばかりだったので、ペレットの特性でベルトの機能を品質保証できる技術を黙って1週間で作りあげた。
そして当方が立ち上げた工場から出荷される品質保証書には、ベルトの抵抗とその偏差まで保証する電気特性値と力学的特性値(SN比)が書かれることになった。
世界初のカオス混合技術の安定したコンパウンド生産能力のおかげで、保証値をはずれるコンパウンドは皆無であり、立ち上げ後一年してこの規格を品質保証書から外した。検査を行うことでコストアップになっていたからだ。
(注)コンパウンドメーカーが、半導体ベルト用のコンパウンドについて、製品の電気特性を評価するとしたら、どのような方法を行うのか。当初は一度押出成形プロセスをコンパウンド工場に導入することを考えた。しかし、評価に最低10kg以上必要となり、さらに評価人員も2人貼り付けなければいけないうえに投資が必要なのであきらめた。そのかわり、このような材料の強相関性に着目し、電気特性とレオロジーを評価し、その両者の相関性から品質保証する手法を編み出した。中間パラメータにはタグチメソッドのSN比が採用された。かなり懲りに凝った完璧な評価技術で、そのために使用するコンパウンドはせいぜい10g程度であり、中間の抜き取り検査が可能だった。工場を立ち上げてその工程能力を評価したら大変高い値となり、一発勝負で建てた工場にしては良いモノができた、と感心した。しかも大手ゼネコンではなく、従業員が10人ほどの根津の中小企業に協力していただいた力作である。当初静岡で立ち上げたが現在は神戸に移設されたとの話を風の便りに聞いている。おそらくこの工場のドタバタ劇を知っている人はもう誰もいないだろう。一流コンパウンドメーカーに科学力ではなくもう少し技術力があれば老体に鞭を打つような苦労をする必要はなかった。
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高純度SiC粉体でCIP成形し常圧焼結で製造したテストピースが、800MPaという当時最高強度を記録した。ゴム会社では「うそ800」と揶揄されたので、他のテストピースについて強度評価を外部に依頼したら840MPaという強度データが送られてきた。
それでは、高純度SiC粉体の性能として、この強度800MPaという値を品質保証値として用いることができるのか、というと「No」である。すなわちセラミックス成形体の強度は、成形までのプロセシングの影響を強く受けるからだ。
すなわち粉体のポテンシャルとして十分に高い強度が出る可能性があっても、常圧焼結体製造技術が無ければ、その性能を出せない。これは粉体売りを事業としたときに成形体強度を材料メーカーが品質保証できないことを意味する。
あるいは、そのような品質保証値をユーザーに示したとたんに自分の首を絞めることになる(神戸製鋼は自分の首を絞めた?)。材料メーカーがテストピースで得た強度データはあくまでも参考データとして扱うべきモノである。
これが分かっているので、たいていの材料メーカーは材料の機械特性値について参考値として示すが商品の品質保証値として示さない傾向がある。
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