学生時代に研究調査と言えば、自分の研究分野について毎月ケミカルアブストラクトを調べるのがお決まりの方法だった。
これがゴム会社の研究所に配属された時に新入社員の業務ではなく、基幹職の仕事と教えられた。ただし、入社3年目あたりから意識の高い人は自分で調査をしてる、とか噂されていた。
学生時代は、学生も含め研究調査を行うことが常識と教えられたのに、ゴム会社に入ったとたん、その作業は偉い人の仕事と教えられたので戸惑った。
ただし、これには裏があり、偉い人が調査をした結果は新入社員まで情報が回覧されず、いわゆる係長クラスあたりで情報がストックされていた。
新入社員が情報を知りたい時には係長職のところへ相談に行き、新しい情報を見せてもらう仕組みになっていた。すなわち、情報統制することにより縦社会の組織を維持していた。
これは当方が転職するころまで続いていた。電気粘性流体の耐久性問題について当方のところへ依頼にきた基幹職は、テーマを依頼しながらも情報を開示できないという。すなわち自分で0から調べよというわけである。
ところが、調査時間など与えられず1週間後に仕事を命じるからその通りやれという。当方は課長補佐格まで昇進していたのにひどい扱いである。そこでデータサイエンスを用いて一晩で問題解決したところFDを壊されたり、嫌がらせが始まった。
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アメリカから伝わったと言われている表題の言葉がはやっているそうだが、当方が社会に出て12年勤務したゴム会社の研究所は、無駄な仕事を生産するリーダーが多かった。担当者のFDを会議前になると壊すリーダーまで現れて、これは隠蔽化されたため3人が転職する事件にまで発展している。
当方の経験から申せば、静かな退職者は、無駄な仕事を生み出すリーダーよりもはるかに組織のために害は少ない、と申し上げたい。
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また、ワークライフバランスが叫ばれる今日の風潮では、静かな退職者が増える社会となっているが、静かな退職者を問題とするよりも、無駄な仕事を生み出すリーダーについて対処したほうがよい。
なぜなら、静かな退職者は無駄な仕事をしている可能性もある(注)からで、静かな退職者に対して、リーダーは他のメンバーに対するよりも仕事のマネジメントに気を配らなくてはいけない。
当方が転職した時に、組織に静かな退職者が1名いた。当方がリーダーとなり、彼と対峙することになるのだが、暖簾に腕押しである。人事に相談してもらちが明かない。人事との面接ではうまく人事担当者を丸めこむのである。
人事担当者に対して散々当方を褒めちぎり、仕事をやってます感を伝えている。忙しいグループの仕事を手伝わせてもスキルが無いので、グループメンバーからは、足手まといとなって仕事が増えると断られる。
会社内で有名な人物であり、異動先を探すことができなかった当方は最後に諦めたが、その結果、組織の効率が上がっている。当時は成果主義ではなかったので年功給で本人は仕事など無くても十分満足していたのである。
毎日出勤しては自分の読みたい本を図書室で一日読んで帰宅する「真正さぼりタイプの人物」だった。このような人物に企業としてなすすべがない。
このような人物は静かに本を読んでいるだけなので、組織メンバーの理解が得られたならば、そのままにしておくとよい。草むしりをさせたりしたら労働問題になりかねない。
(注)2005年に単身赴任した時にも退職をまじかに控えた静かな退職者が現場に一人いた。コンパウンド工場建設を決意し、彼に声がけしたところ「面白いからやりましょう」となった。そして1名中途採用で優秀な技術者を獲得し、たった3か月でコンパウンド工場を立ち上げることができた。静かな退職者にはいろいろなタイプがいる。面白い仕事ならば能力を発揮して素晴らしい成果を出してくれる場合もあり、リーダーは静かな退職者の本音を聞く必要がある。本音を聞いてみると、静かな退職者には身勝手に働く意味を捉えている人物とそうでない人物とに分かれる。後者は仕事について十分話し合って決めれば、うまく能力発揮してくれる。まず、本音をよく聞くことである。この話し合いがうまくできないリーダーが多い。当方が早期退職を申し出たときに、ある役員が2011年の新製品に搭載できる環境対応樹脂を好きなように仕事を進め開発してほしいと相談してきた。そこで当初予定を伸ばし、中途半端であるが2011年3月11日(金)を最終出社日にしたいと申し出たところ、その日に最終講演と盛大な送別会を約束してくれた。そして、PC/PETとPET基ポリマーアロイの2品種を開発するのだが、マネジメントの意味を良く理解していた役員である。毎月2週間中国へ出張し実験をして帰国する楽しい日々を最後まで過ごすことができた。当方が退職後この成果は社長賞を受賞し、元部下は記念品のPETボトルを20本送ってくれた。
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これはターゲット材料によりさまざまである。未知の材料であれば、いつできるのか不明の場合もある。それで、当方は、3か月と1か月、3日、1日という体内時計を使っている。
すなわち、目標を定めて1日でできた経験もあれば、3日かかった経験もある。長ければ1カ月である。但し、3カ月以上かかる時は、ペンディングにして頭を冷やして考える期間を設けている。
例えば、高純度SiC前駆体ポリマーは、構想から2年かかっているが、仕切り直しを行って1日で前駆体ができ、3日で高純度SiCができている。
初めてポリエチルシリケートとフェノール樹脂とのポリマーアロイを混ぜ合わせたとき、3日かけても相分離し、満足なものができなかった。いろいろ調査しながら実験を行い、3カ月過ぎた。1980年頃である。
フェノール樹脂天井材の開発を終えた1983年初めに、開発で用いたフェノール樹脂の廃棄作業を一人で請け負い、同じく廃棄対象のポリエチルシリケートと混合しながらゲル化し、廃棄物の姿にしていた。
このとき直交表を用いて触媒の酸やアルカリ、温度条件を大胆に変化させて、廃棄物処理を行ったところ、ある領域で、安定して透明な液体が得られる条件が見つかり、触媒の有機酸の量を注意深く変量したところ均一状態でゲル化した。
すなわち、3カ月かけてもできなかった均一なポリマーアロイが1日でできたのである。これで、新材料というものは、できるときには1日でできるという自信がついた。
電気粘性流体の耐久寿命を改善する技術も1日でできている。この電気粘性流体の傾斜材料も1日でシーズが生まれ、3日で芽がでて、1カ月で果実となった。
昨日のPETのポリマーアロイもデータ駆動の実験をするために3回中国出張をして完成している。中国で行った理由は人海戦術を使えたからである。次から次へと配合をストランドとし、ペレット、そして射出成形、物性測定と毎月10人かけて実験を行い、30種ほど配合を検討している。
この時仮説など用いず、ただひたすら、データ駆動により、良い方向へ配合設計しながら、難燃剤を用いずにUL94-V2試験に合格する処方を見出した。3カ月でできるかどうかは、体感で判断できた。
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樹脂のリサイクル材の中でPETは、PETボトルのリサイクルシステムが出来上がっているので、扱いやすい。ただし、射出成形体として活用しようとすると多少の技術開発が必要となる。
そもそもPETは、良好な射出成形体を得るのが難しいために、フィルムやブロー成型によるボトルとして活用されてきた。ポリマーアロイPC/PETは、PET含有率が30%前後であれば、力学物性も良好な射出成形体が得られるが、PETが60%以上のポリマーアロイになると力学物性が怪しくなる。
それだけではない。射出成形そのものが難しくなってくる。しかし、PETが70%以上含まれるポリマーアロイは再生材比率が高い環境対応樹脂としてニーズが高いので、新たなポリマーアロイを開発する価値がある。
この開発で苦労するのは、樹脂の靭性(脆さ)をどのように改良するのか、あるいはどのように力学物性としてバランスのとれた樹脂を設計するのか、という点である。
最初に書いたようにPETで良好な射出成形体を得ることは難しい。ゆえに射出成形しやすくするために、結晶化速度の制御や粘度の温度依存性の制御を添加剤で行う。これを目的とした特許もいくつか出ている。
実際に開発した経験でこのあたりについて書き始めると長くなるし、意外と文献があてにならないので、ご興味がある方はお問い合わせください。
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今入社3年のうちに3人に一人が転職するという。しかし、理由の多くが賃金にあるという。この状況に、当方は若い人にアドバイスしたい。
まず、30歳ぐらいまでは、賃金を職業選択の条件に入れない方が良い。それよりも自己実現に役立つ仕事なのかどうかをよく見極めていただきたい。
もし、自己実現に役立つ仕事ならば、賃金が多少安くても35歳くらいまでは頑張ったほうが良い。10年自己実現努力を行えば、相当の実力がつく。これは自己の体験から保証する。
初任給10万円の時代に80万円のローンを組まされても我慢して勤務を続けたのは自己実現方向と職場が合っていたからである。
給与も少なく職場環境も良いとは言えなかったが、自己実現の機会が多く、我慢して勤務するだけの価値を感じていた。結局12年勤務し、セラミックスのスキルは学位を取得できるまでになったが、転職しリスキリングしているので、12年の半分は無駄になった。
しかし、80万円のローンを組んで購入したパソコンのおかげでデータサイエンスの黎明期からコンピューターサイエンスとして独自の道を開くことができた。これが今でも役立っていることを考えると、12年間我慢したことは無駄ではなかった。
ゴム会社の研究所がそうであったが、若手を奴隷ぐらいしかとらえていない職場があることは確かである。成果を出してもそれを取り上げ(80万円のローンのように、当方は給与も上司に吸い上げられた(注))、何か問題が起きても隠蔽化する、それでも自己実現意欲でなんとか12年我慢できた。このような経験があるので、若い人が転職したくなる気持ちを理解できる。
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しかし、石の上に3年ではないが、一定期間自己実現努力をして勤務してみる心がけも重要である。そして、勤務を続けてもその価値が無い、と判断してから転職しても遅くはない。たまたま、巡り合った上司がおかしな人だった、という場合もある。職場風土そのものがおかしい場合には早めに判断した方が賢明である。
(注)当方は、ホスファゼン変性ポリウレタンフォームやホウ酸エステル変性ポリウレタンフォームの発明で、高分子の難燃化技術セミナーへ若いころから講師として活躍させていただいたが、上司の指示だった。しかし、セミナーの講師料を一度も頂いたことが無い。セミナーの講師に対して講師料が支払われていたことを知ったのは転職してからである。世界を代表するような企業の管理職でもこの様な人物がいる。それだけではない。これ以上書かないが、企業規模が大きくなると中間管理職が会社を代表しているように新入社員は誤解する。
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50年以上前から30年近く前まで、この職業は結構儲かったらしい。50年近く前にはオーディオ装置の発表会などが各地で行われ、各メーカーごひいきの評論家が蘊蓄を垂れていた。
今から思えば怪しい人たちだが、そのような評論家の存在により、オーディオ装置の開発競争が繰り広げられた。学生時代に、良いオーディオセットが欲しいと思い、オーディオ雑誌を手にショールームへ足を運んだが、これぞと思うオーディオセットに出会わなかった。
ショールームにはかわいい案内嬢がいて、結局そちらに目が奪われてオーディオ装置をうまく選定できない。義理の兄がOTTOの開発をやっていて試作品をよく我が家へ持ち込んでいた。理由は当方の勉強部屋の天井や壁が音響効果を考えた造りになっていたからである。
この壁には石綿が入っており、実家を壊すときにこれが少し費用を高くする原因となり後悔したが、当時は義理の兄が試作品を持ち込んでくれる楽しい場所だった。
この時のテストの様子を見ていたので、当時のオーディオ評論家の意見が胡散臭いものと感じたのだが、とにかく実験室とユーザーの環境で聴こえ方が変わる問題がある以上、オーディオ評論家の意見は参考とならない。
特に6畳前後の部屋で聴く場合や、デスクトップスピーカーとして聴く場合、10畳以上の部屋で聴く場合に最適なスピーカーは異なる。デスクトップや6畳前後までならマルチウェースピーカーよりもフルレンジスピーカーか同軸スピーカーが好ましい。
昔のオーディオ評論家はこのような区別をお構いなしに評論を述べていた。そのようなレベルの評論が掲載されたオーディオ雑誌でも飛ぶように売れた時代があった。
一方で長岡鉄夫という自作スピーカーを専門とする評論家もいた。彼は実際にスピーカーを自作しながら、理想のオーディオを追及していたので、口先だけの評論家とは一線を画す。
多くの評論家が一つの体系で科学的な香りで適当なことを述べているのと異なり、彼は自分の製作したスピーカーの長所と短所を語り、実践に基づく評論で一定のファンを持っていた。
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この答えは難しい。広帯域に渡って周波数特性が平坦なスピーカーを良いスピーカーと定義するならば、科学的に見出すことができるかもしれない。
すなわち、スピーカーに単一周波数のテスト信号を流し、周波数特性を測定して低周波数から20KHz以上まで平坦な信号特性が得られるスピーカーを選ぶだけだが、実際に音楽を聴くと好みの音では無かったりする。
経験的ではあるが、専門家には周波数特性だけで良いスピーカーを設計することが難しいとされている。それゆえ、「なんとなくクリスタル」に書かれていたように、JBLのスピーカーが主人公の特徴を表すアイコンとなったりする。
JBLは、当時も今も高級スピーカー、車でいうならばベンツのような存在だが、B&Wのスピーカーのほうが原音再生に優れているとの評判である。こちらはBMWなのか?
両者の周波数特性を比較する限り、あまり差はないが、ブラインドテストを行うと、どちらがJBLであるかは、当方でもわかる。この両者のハイエンドスピーカーは300万円を超えるが、ローエンドは20万円前後から良いスピーカーが存在する。
しかし、300万円のスピーカーの音を知っていると、20万円のJBLやB&Wのスピーカーを購入する気は無くなる。
この両者のスピーカーと技術の方向が全く異なるのは、BOSEだったが、今は車載用やポータブルスピーカーしか販売していない。BOSEのスピーカーはライブハウスやカラオケなどでよく使われいたのでご存知の方が多いと思うが、ライブ感たっぷりの音がどこでも再現される優れものだった。
科学で究極のスピーカーを極めることができそうに見えるが、未だ究極のスピーカーと呼ばれるものは無く、いつの間にかオーディオ市場は無くなった。
デジタル技術により、SN比の高い音声再生技術が低コストで普及したことにより、やれJBLだ、B&Wだ、タンノイだ、などと誰も言わなくなった。すなわち、オーディオ市場はデジタル技術の登場により消失したといえる。
時折音友ムックでスピーカーが付属でついていたりするが、それに合わせるかのように専用の箱がアマゾンで1万円以下で販売され、これを組み合わせると、300万円のJBLスピーカーと遜色のない音を聴けたりする。
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西部劇やチャンバラ、時代劇が過去のものとなったが、これは単純な物語パターンが飽きられたためか。物語パターンと言えば、「ゴルゴ13」が有名であるが、デューク東郷は1935年生まれなので89歳になる。
5つほどのパターンで、原作者が亡くなってもこれまで連載が続いている。最近のTVドラマもパターンがあり、つまらなくなった。NHKの朝ドラは、ギャルから始まった意外なパターンだが、なんとなく話の展開が見えてしまう。
人生長く生きていると、つまらなくなる部分が幾つか出てくるが、科学の時代というパターンももうそろそろやめてはどうか、と思う。もう科学は常識なのだ。
確かに1970年代80年代は、超常現象がもてはやされたり、怪獣が何度も国会議事堂を壊したりと非科学的な出来事が流行したりしたが、今はもうこれらを非科学的と見下し流行も終わった。
このような視点で現象を眺めて理解しようとして、科学で問うことができても、科学的な答えを出すことができないパターンが存在する。
一つは科学的に解明されていない事象が存在するためであるが、他の一つは、現象が複雑なために科学で問い始めてみても玉ねぎの種を探して皮をむくような状態になる。
前者は、非平衡な現象あるいは急速に進行する現象など本来科学で扱ってこなかった、あるいはその扱いを研究中であるが未だ科学の方法が確立していないパターンである。
後者は複雑に絡み合っている状態から一つのを取り出して科学で答えを出せる場合もあるかもしれないが、その答えが見つかっても現象そのものを理解できないパターンとなる。
後者が時折悩ましいことを引き起こし、科学の答えで全体が分かったように吹聴する人がいることだ。転職の引き金となった電気粘性流体の耐久性問題もその一つだが、その時には、「加硫剤も添加剤も何も入っていない世界初のゴム」が答えとされた。
高分子を理解されている人がこれを聞いたならば馬鹿が騒いでいる、となるのだが、世界一のタイヤ会社の研究所では、何故かそうはならなかった。素晴らしいアイデアともてはやされたのである。
原因は、科学こそ問題解決の唯一の方法と凝り固まった頭の集団となっていたからである。信じられないかもしれないが、ゴムの破壊について世界的な研究者と自認していた人物も含め誰もこのアイデアに異を唱えていないのだ。
実は自然現象の問題を解く方法には、少なくとも二つのパターンがある。一つは科学的方法ともう一つは非科学的方法である。後者については、荒唐無稽なアイデアで問題解決はできないが、現象からデータを取り出してデータの動きから答えを出すことができる。
いわゆるデータ駆動の方法だが、これは難解な自然現象の問題を解くための科学と異なるもう一つの方法である。科学と異なるのは、仮説を必要としない点である。
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オーディオ市場が壊滅状態になったと思っていたが、JBLやBOSEは高級自動車用ステレオ分野で生き残っている。すなわち、存在感のあるブランドとして生き残っているだけでなく、エンジニアリングサービスを事業として行っているようだ。
その内容の詳細は知らないが、アメリカの大学の研究室から誕生したBOSEならば高度なサービスだろう。日本では、ONKYOとかパイオニアといったスピーカーで名をはせた総合オーディオメーカーはすでに無く、寂しい限りである。
少し良いスピーカを購入しようとすると今の時代ならば20万円以上の出費となる。50年以上前のテクノロジーの塊が、先端技術の塊である携帯電話より高いのである。
産業革命の総仕上げの時代と言われている。このような製品価格とテクノロジーとの関係が無いように錯覚する時代が次の時代の特徴のような気がしている。
宝飾品がすでにそうなっていた、とか芸術作品などは、という意見が出そうであるが、20万円のスピーカーは宝飾品でもなく、芸術品でもない。20年前ならば4-5万円の「工業」製品である。
この20年間物価はそれほど上がっていないので、工業製品が4倍になったととらえることができる。おそらく、次の時代はこのような工業製品が多数生まれてくるのだろう。
弊社では、このような視点で新たな事業企画を幾つか用意しています。ご興味のあるかたはお問い合わせください。
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女性管理職が次々と辞めた会社が話題になっている。また、女性管理職からの相談で悩んでいる企業もあるそうだ。女性活躍社会が目標となって、各社女性管理職を30%以上にしようと努力された結果のニュースのようだ。
あるコンサルタントは、 (1)過剰な期待と過少なサポート (2)ワークライフバランスの破綻 (3)昇進の天井と成長機会の欠如を女性管理職が退職する原因だという。
女性管理職を増やそうとして、そもそも企業の管理職という職群が抱えていた問題が顕在化したに過ぎないのだが、とにかく女性が生き生きと活躍していないと社会から企業が評価されないということで各企業は、この問題に必死に取り組んでいる。
しかし、ここで冷静に考えていただきたい。これまで管理職の登用とその処遇に問題は無かったのかということを過去にさかのぼり、整理してみる必要がある。
理由は、共通する課題と、企業の人事制度特有の課題と2種類存在するからである。後者は女性管理職に限らず、男性管理職でも問題があったはずであるが、それが顕在化しなかっただけである。
新入社員時代に男性の指導社員に3か月、女性の指導社員に1年半お世話を頂いた。その立場から感想を申せば、上司が男性であろうと女性であろうと指導能力が無ければだめである。
男性の指導社員の方は昇進の遅れた方であったが、それが能力が原因でないことは指導していただいてよく理解でき、ゴム会社の研究所における人事の問題を知ることができた。
すなわち、新入社員研修で能力主義の会社と説明があっても、能力や成果で昇進が決まっていない事実である。一方で女性の指導社員は冷めた方で、そのあたりを理解されていて、私が昇進できるように頑張って、と激励された。
美人に激励されれば男であれば頑張るのである。話がそれたが、明らかに研究所内の人事制度の運用をおかしく感じた。
それは高純度SiCの発明によりさらに顕在化し、入社し12年後には転職するのだが、「女性管理職特有の問題」として捉える前に、そもそもの人事制度が組織として誠実に運用されているのかどうかから見直す必要がある。
人事制度では、人が人を評価する矛盾を抱えている。それゆえ、多面評価が多く用いられるようになるのだが、この多面評価では評価者の選定、すなわち運用方法が問題となる。
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