研究開発途中の設備導入などで行われるデザインレビューの報告書では、残課題があっても順調に実験が推移してきたようにまとめられていた。そのようにまとめられていたので、5年間テーマを続けることができたのだろう。
また、デザインレビューのデータは、探せばそれに対応した実験生データが見つかったので、報告書のデータが捏造ではないこともわかった。ただ報告書には、歩留まりなどの細かいメタデータの記載は無かった。
驚いたのは高級複合プリンターへ展開する前に、低コストカラーレーザープリンター用にこの技術は一度量産段階で活用されていた。その時には、押出成形後に面内抵抗を均一化にするための工程を設けて、押出成形の歩留まりが落ちる問題を解決し、量産していた。
その後、この面内抵抗を均一化する工程を省くため、配合を見直し、補正工程が無くても面内抵抗の変動を制御できる技術のデザインレビューがなされていた。
ただし、このデザインレビューでは、抵抗変動を配合でどのように問題解決したかが議論されていたが、その結果どれだけの歩留まりが実現されたのかといった議論が欠落していた。
欠落していた、というのは正しくないのかもしれない。そもそも成形歩留まりが悪いのは、コンパウンドに問題があり新たな配合のコンパウンド技術を開発しなければいけない、と注記されていた。
この注記には、コンパウンドメーカーが世界的な一流企業だったので、それを簡単に解決できるようなコメントも付けられていた。
ところが、単身赴任して最初のこの企業との打ち合わせで、コンパウンドは1年以上前に開発が完了したことを確認しているのでこれ以上コンパウンドメーカーでは配合検討しない、と言われている。
それだけではなく、素人の当方が勝手に工場でも建てて、量産までに同じ配合でコンパウンドを供給してみたらどうか、と親切に言ってくれた。そこで、この提案を活かし3カ月でカオス混合の量産ラインを立ち上げた。
このラインは、20年以上安定にコンパウンドを供給し続け現在も稼働している。ラインは稼働しているが、20年も経つと技術の伝承が途切れ、おかしなことをやっていると風の便りが最近届いた。
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5年以上の半導体無単ベルト押出成形技術開発で生み出されたExcelファイルは、10000以上ファイルサーバーに眠っていた。これらのコピーを専用のディレクトリーに集め、専用に作成したC#プログラムにより実験で得られた生データ(以下実験生データ)と会議用にまとめられたデータとに分けた。
驚くべきことに、半分以上が実験生データを基にして加工されたデータだった。実験生データをコンパウンドのロットごとに分類整理したところ、奇妙なことに気が付いた。
3割のロットについて、重複して成形実験が行われていたのだ。この3割の実験生データを集めてさらに解析したところ、大別して3通りの実験が行われていたことが分かった。
実際の実験では3通り以上だったかもしれないが、C#でプログラムを作成し、解析した結果が3通りだった。そこで3通りに分類し、ファイル数を数えたところ、そこに規則性が見られなかった。
どのような実験が行われたのか、一つのロットについて、実際のExcelファイルの中身を比較したところ、「仕様から大きく外れた成形体が得られたので、成形を中断」とコメントが書かれていた。
ただし、1000本成形を行って、得られた半導体ベルトを再度粉砕して混練しなおし、実験を行っているケースもあった。
このように、実験生データのファイル数において精査したところ、1.成形されたベルトを回収して粉砕、ペレタイズして再度押出成形したケース、2.押出成形を中断し、後日押出成形をやり直したケース、3.複数のロットを混ぜて押出成形したケースなど、外部から購入されたコンパウンドをそのまま実験していないケースが見つかった。
担当者に尋ねたところ、コンパウンドが高価なので、成形条件検討用に再利用した実験を行っていたことなどを説明してくれたが、これらは参考データとして処理され、その後の会議用データには使われていなかった。
1万件以上のExcelファイルをC#でプログラムしたファイル分類ツールで、とにかく全部を読み切ったところ、デザインレビューの報告書に記載されたデータはチャンピオンデータである可能性が高く、歩留まりは開発当初には問題となっていたことが分かった。
しかし、押出条件の調整で半導体無端ベルトの周方向における抵抗ばらつきが大きく変動させることができたので、抵抗がばらつき始めたら押出条件を変更して対応できるだろうという見通しで開発が進められた。
すなわち、半導体ベルトの面内抵抗均一化という問題は5年間放置されてきて、一度も押出成形で歩留まりを70%以上達成したことがなかった。量産移行のデザインレビューでは、歩留まり向上策が重要課題とされたが、量産試作段階で簡単に解決できる問題ではないことに誰も気がついていなかったようだ。
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20年ほど前に単身赴任して担当した複合プリンター用中間転写ベルトの量産試作立上テーマは、半年後に歩留まりを70%にするだけの仕事というのが周囲の認識だった。
世界でも著名な一流材料メーカーとの5年に及ぶ共同開発でコンパウンドは問題ないという認識だった。当方は過去5年間の実験データを整理して、コンパウンド技術が未完成であることをセンター長に示したが、周囲の納得が得られる科学的なデータでは示すことができなかった。
これは、今でもコンパウンドの品質問題を科学の方法で満足に解決できないので、20年前ならば当然のことだった。科学的な否定証明は可能だが、それでコンパウンドの品質問題を解決できるわけではない。
電気粘性流体の否定証明を京大出身の博士をリーダーに大阪大学博士や東大修士など高学歴の研究者を揃えて1年間否定証明を行ったような無駄な時間は無かった。
これは、高分子材料で成形技術を担当している人ならば公知のことである。それでは、コンパウンドの品質問題をどのように解決しているのか。これは、あたかもユークリッド幾何学のごとく行う。
すなわち、問題解決できたコンパウンドを提示することで解決しており、成形プロセスにおける品質問題と問題解決できたコンパウンドとの関係は、風が吹けば桶屋が儲かるような論理展開で納得する慣習である。
この時、品質問題検討のために行われたすべての実験データが使われるわけではない。うまく品質問題を説明できる実験データだけが、報告書に記載されて残ってゆく。
換言すれば、うまく説明できなかった実験データは、その場で廃棄されるのが現状である。この問題に気がつかれている方は、どれだけいるのであろうか。
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研究開発における実験の効率化において、設備や装置のLA化が進んでも十分にDXされたとは言い難い。それらは、ただ省人化されたにすぎず、研究開発期間の短縮化に結び付いていない。
科学的に実験を進める限り、実験にかかる時間は、コンピューターの導入によっても思ったほど短くならない。
以前この欄でコンパウンド工場を3カ月で建設した話を書いているが、社内のQMSに従い、デザインレビューも所定の回数だけでなく、工場建設や量産移行に至る手続きもフル実装しての成果である。
コンパウンド技術があっても、工場を新しく建てるならば、短くても1年半はかかる。当然社内に疑惑の目を向ける人物も出てくる。たまたまゴム会社から転職してきた若手がいて、当方の進め方の問題をセンター長に報告したので、当方はセンター長への説明のための余分な仕事が増えた。
センター長とは阿吽の呼吸で進めようと合意していたのだが、やはり疑惑の提言があれば、会議を開いて進捗チェックを行わなければいけない。
疑惑はカオス混合機に対してだった。研究データが無いのに作り始めている、というのが、その中身だが、それに対して、PPS/6ナイロンが相溶したデータなど示して、科学的にありえない現象が起きているので、経験知で行うより仕方がないことを説明している。
そして、清水の舞台から飛び降りる覚悟で一発勝負で作成した(実際には1発勝負ではなく試行錯誤のデータがあった)設備で相溶が起きていることを示す実験データを示して、若手にも無理やり納得していただいた。
もっとも説得力があったデータは、できたばかりのカオス混合装置を用いたコンパウンドで押出成形を行うと歩留まりが100%となった現場の生産管理結果である。
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企画から量産移行まで、どのように研究開発を運営するかは、20世紀に散々議論されてきて、StageーGate法(以下SG法)が多くの会社で定着したようだ。
SG法を採用していない企業でも、量産移行の段階や、企画から研究開発に移行する段階で何らかのチェックを行うことは、SG法が無い時代でも行われていた。
すなわち、研究開発プロセスの全体管理についてその方法は、これまで検討され、アジャイル開発という方法までソフトウェア以外の分野でも行われるようになり、フロントローディングが一般的になってきた。
企画段階で、まず企画通りの商品ができるのかどうか、あるいは研究開発段階で障害となる事項は、など、研究開発を成功させる工夫は一般的となった。(まだこの段階に至ってない企業はご相談ください。)
今DXの進展で実用的なAIが登場し、企画段階で従来の検索作業に代わり活用されるようになったが、研究開発の現場で行われる実験についてDXは未だ不十分である。
ベイズ最適化の手法も試されるようになったが、実験データの扱いについて未だにExcelが主役である企業は多い。
Excel活用の問題は、実験を行っているその時に便利であるが、実験データの整理が行われ、SG法のGate段階までExcelで何とか管理できても、その後の再活用では苦労することを理解されている管理職は少ないのではないか。
管理職になれば、部下が全てデータ整理を行ってくれるので、整理された結果を見ているだけで良い。ただし、この姿勢に潜む問題点に多くの管理者は気がついていない。
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イノベーションを引き起こす研究開発プロセスでは、まずそのシーズが存在することを確認し、確認されたシーズをもとに、非科学的でもよいから、結果をまず出すことが重要である。
このようなプロセスは、ノーベル賞を受賞した研究でも採用されている。iPS細胞の研究では、24個の遺伝子を経験知から選び、そのすべての遺伝子を細胞に取り込ませて初期化が起きることを確認している。
その後、24個の遺伝子から1本取り除いた23個の組で初期化が起きるかどうか検討し、4個の遺伝子の組で細胞の初期化ができることを示した。
この話は、山中博士がTVで語っていたが、科学の禁じ手であるあみだくじプロセスを研究開発で採用し、博士はノーベル賞を受賞されたのである。
このiPS発見の研究開発プロセスはもっと注目されるべきだろう。残念ながら、あみだくじプロセスをその後山中博士から直接聞くことは無くなった。
研究開発プロセスを科学的に厳密に行うべき、という思想は20世紀の遺物となったようだ。最近はマテリアルズインフォマティクスも常識となり、ベイズ統計も実験に採用され始めた。
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研究成果発表会で、あらゆるHLBの界面活性剤の効果を確認しても電気粘性流体の耐久性を改善できないことを示す科学的データにより完璧な科学の方法である否定証明と力説していた。そして、本部長はそれを世界的な研究だと称賛した。
このような否定証明は、それを否定できるデータを一つ示せば、容易にひっくり返すことが可能である。その一つをどのように見つけたらよいのか、という問題となるが、その前に、「その一つが存在する可能性を示す実験データ」が必要である。
この否定証明では、HLB一因子だけについて劣化現象との相関を界面活性剤の分子構造との関係や機器分析による現象解析など科学的に完璧な方法で実験データが積み上げられていた。
報告書を読めば読むほど科学的に完璧であることに納得できる否定証明だったが、仮説ではHLB一因子だけと劣化現象との関係だけが設定されていた。
確かに教科書に書かれた界面活性剤の形式知による説明では、HLB一因子だけで現象を説明できそうに思われるが、教科書の事例にある洗濯用の洗剤の説明を読むと明らかなように、1種類の界面活性剤だけで溶液の現象を説明できない。
すなわち、当時多相系のコロイド科学について形式知は存在しないが、生活の中に経験知としてHLB以外の因子の重要性を示す商品は存在した。教科書は、科学に配慮しそこを明確に述べていなかっただけである。
ゆえに、界面活性剤の物性値を主成分分析し、HLB以外の因子に寄与する界面活性剤が存在するかどうかを最初に知りたい。
そこで、MZ80Kで稼働していた多変量解析システムのデータベースにゴミのように扱われたカタログデータを入力し、主成分分析を行った。
当時、上司から指導されて趣味としてデータ解析を自宅で行っていたので、今でもセミナーでは当時の解析プロセスとFD事件の話をするのが定番となっている。
解析結果のグラフでは、HLB因子の寄与が著しく高い第一主成分の軸の周りに70%の界面活性剤が集まっていた。ところが、HLBの寄与が低い第二主成分と相関する界面活性剤も30%存在した。
そこで、この30%について、耐久劣化試験を行ったところ、1時間以上の耐久性を維持する界面活性剤が一晩の実験で複数見出すことができた。
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課長のマネジメントにより担当者の研究開発プロセスは影響を受けるのだが、そのマネジメントの多くは研究開発部門の常設会議を意識して行われるので、研究開発プロセスは常設会議に左右されるということもできる。
常設会議の中で、外部組織から研究開発部門へ入力となる会議、あるいはその逆の出力となる会議は重要で、研究開発部門の戦略に大きく影響する。
例えば、ゴム会社で当方は3人の研究開発本部長の方針で業務を遂行しているが、3人目のリーダーは、アメリカのタイヤ会社買収を受け、社長から出された買収先とのシナジーを生み出す研究開発方針として、電気粘性流体を研究開発部門の最重要テーマとした。
当時このテーマを担当していた課長は、否定証明の方法で界面活性剤を添加しても電気粘性流体の耐久性問題を解決できないという報告書を提出している。そして、加硫剤やその他の添加剤を含まないゴム開発という新規テーマを企画会議で提案し、研究開発部門のテーマとして登録された。
そして、この実現不可能な企画を当方に依頼してきたのだが、当方は当時の社長が認めていた住友金属工業との高純度SiC半導体治工具事業を一人で担当していた。
研究開発部門のゴム技術者や研究者は、買収した企業へ皆出向していたからである。状況を理解した当方は、データサイエンスを用いて電気粘性流体の耐久性問題を一晩で解決している。
一晩で解決した理由は、電気粘性流体の耐久性問題を界面活性剤で解決できない、という否定証明の報告書に用いられた生データを課長に見せて欲しいとお願いしたところ、社外との共同研究テーマのため見せられないと言ってきたためである。
しかたがないので、当方は耐久劣化した電気粘性流体と界面活性剤のカタログを見せていただきたい、とお願いした。すると、この課長は廃棄処理に困っていた電気粘性流体の耐久劣化サンプルを当方が一人で使用していたファインセラミックス研究棟にすべて運び込んだのだ。
カタログも廃棄処理書類と一緒にファインセラミックス研究棟をゴミ箱と見なしたかのように放置していった。あまりにもひどいやり方だったので、当方は一晩で結果を出す研究開発プロセスを戦術として選んだ。その戦略は「完璧な科学の方法による否定証明をデータサイエンスを用いて一晩でひっくり返す」。
この戦略で推進した戦術、すなわち研究開発プロセスは、データサイエンスにより問題解決手段を選び、運を天に任せて実験する非科学的プロセスだった。
幸いなことに、簡易耐久試験により、ゴムケースの中で1時間以上耐久する電気粘性流体は当時存在しなかった。一晩徹夜して実験を行えば、否定証明をひっくり返す実験結果を出せると確信していた。
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量産試作段階で押出成形歩留まりが10%前後と低迷していたため、中間転写ベルトの量産を行えば大赤字となることは自明だった。それで半年後のMFP(複合プリンター)量産前に役割を交代してくれ、と言ってきたのである。
ただ、この依頼が口先だけだったことは理解できていたが、その口先だけで量産試作前のデザインレビューを乗り切ったとは思えなかった。デザインレビューの報告書を読むとロバストの再現チェックで量産移行可能とある。
一流メーカーのコンパウンド技術は完成しており、押出成形のロバストが課題という易しい問題と記されていた。それでデザインレビューを通過し、量産試作へテーマを昇格できたのである。
このようないい加減なデザインレビューの報告書の山を過去に手繰ってみても、量産試作段階の問題解決のヒントなど得られないことは明らかだった。
問題解決のために過去の資料を検討しなおすことは有効な方法である。しかし、過去の資料には、生データから会議の報告書で使用されたデータまで複数の種類がある。
研究開発段階においてどのような会議が行われるのか、研究所の課単位、すなわちマネージメントの責任者の考え方で変化する。
新入社員時代に初めて担当した樹脂補強ゴムでは、毎日指導社員と打ち合わせ及び勉強会があった。おかげで、3カ月のご指導だったがゴムタイムズ社から混練に関する本を出版できるまでスキルが向上した。
指導社員は、週に1回主任研究員に新入社員の指導報告するだけでなく、月1回の課内会議用に報告書を作成していた。3カ月後主任研究員の異動でグループが解散する時、指導社員は報告書を書かないと言っていたが、主任研究員は当方に報告書をまとめるように指示してきた。
このあたりは複雑な気持ちだったが、報告書を書いている。そしてその報告書を基に後工程との打ち合わせが行われた。この打ち合わせには、主任研究員と指導社員、そして当方が出席している。
そして、後工程で顧客である自動車会社のスペックに合わせて配合の最適化が行われ実用化されているが、この過程において、主任研究員も指導社員も当方も担当を外れている。
すなわち、担当者と指導社員、指導社員と主任研究員、指導社員と課員全員との進捗共有の3種の会議でそれぞれ報告書が存在し、実験データはその報告書に転記されてゆく。
このプロセスにおいて、メタデータ全てが転記されないことを新入社員時代に悟っている。これは指導社員の指導の賜物である。指導社員は、グループ解散時に報告書を書かないと言われていた。それは、報告書を書いても、誰も読まないからだ、というのが理由だった。
主任研究員は、グループ解散時に成果のないことを嘆かれ、新入社員の当方に1年間のテーマの予定だが3カ月でまとめてくれないか、と言ってきた。
無茶苦茶な相談だったが、大学院時代にも企業からもらっていた奨学金のお礼のためと言われPVAの難燃化について短期間に論文をまとめ上げた経験があったので引き受けた。
研究開発プロセスが、課長レベルのマネジメントで大きく変化することをこの時学んだが、このようなマネジメントに実験データの情報量は影響を受ける。
すなわち、指導社員が言われていたように、研究所内で量産されていた報告書の技術的価値は、実験の生データに比較すると低くなる。研究開発プロセスでは、様々なアウトプットがあるが、メタデータもすべて揃っている実験の生データが最も重要であることを最初に学んだことは、今思い出すと大変幸運なことだった。
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研究開発で事業化に失敗する原因について、市場調査も含めた企画段階にある、と一般に言われるが、本当か。ゴム会社では世界初のLi二次電池の量産化に成功し、日本化学会技術賞を受賞したが、受賞後すぐに事業を撤退している。
他社とのJVで立ち上げたこの事業は、現在の状況を見れば研究開発を継続し勝つこともできたのではないかと思われる。ホスファゼンによる電解質の不燃化など当時として最先端の技術成果を出していた。
それゆえ、ポリアニリンを正極に用いた電池では、コンデンサーに毛が生えた程度の性能しか出せないのでセラミックス正極の二次電池が登場する前に撤退した、と自慢していた研究者がいた。
当時高純度SiCの事業を立ち上げることができず、当方が苦しんでいた時である。ホスファゼン電解質だけでなくセラミックス正極を提案しても、その採用が却下されている。これらのテーマが採用されておれば、当方は一息できてその後電気粘性流体を手伝う必要も無かっただろう。
当時を思い出すと、なぜポリアニリンLi二次電池の事業化がOKになったのか疑問がわく。セラミックスの正極を用いた二次電池よりもはるかに性能が低かったことは、研究開発の途中で明らかにされている。
ゆえに事業化判断を誤ったテーマとなるのだが、不思議である。この体験があったので、高価格レーザープリンター用中間転写ベルトの量産試作では、過去に低価格プリンターで実用化された実績との関係に疑問を持った。
詳細を省くが、部長Aは、技術を甘く考えたのか、あるいはポリアニリンLi二次電池同様に経営を騙したのかどちらかだろう。しかし、騙したのであれば、量産試作段階で過去実績の70%という目標を設定している資料を理解できない。
多くの状況から、技術を甘くとらえた可能性が浮かんでくる。そのように考察すると、デザインレビューにおけるデータを信用できない可能性が出てくる。すなわち、チャンピオンデータだけで報告書をまとめている可能性がある。
量産を前提とした研究開発段階の実験では、生データがどのような分布をしていたか、どのような因子により分布が制御されたのか、すなわちそのロバストとそれを制御できる因子が重要になる。
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