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2024.09/25 高分子の寿命

高分子材料を常に荷重のかかった状態にしておくとやがて破壊に至る。この寿命は、荷重の値や荷重のかかり方で大変大きな影響を受ける。すなわち高分子の寿命試験は、条件を限定しない場合に大きくばらつくということを知っておかなければいけない。


この経験知の有無で実用化の際に地獄と天国の分かれ道となる。例えば成形体密度の変動条件を見誤ると実験室で得られた耐久寿命よりも10倍も100倍も長寿命化したり、その逆も起こる。


また、破壊に至らなくても残留歪や応力の方向に変形する現象が起きる。身近の現象として、下着のゴム物性のばらつきを体感しているかもしれない。


変色し破れるまで使用可能なものもあれば、生地はしっかりしているのにゴムが伸びきったために使用不能となる場合を体験している人もいると思う。


中年になってゴムの劣化が激しくなるのは、ゴムにかかる応力が増加した可能性が高いが、最近の下着はゴムの交換ができないのでもったいない。子供のころはゴムを交換して生地がダメになるまで下着を使用できた。


身近なゴムの寿命のばらつきの大きさを知れば、高分子成形体の寿命試験を慎重に行う必要に気づくかもしれない。さらにその試験方法の問題に考察を深めたいと願望が出てくるかもしれない。

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2024.09/24 今という時代

立憲民主党の新しい代表に野田前首相が選ばれた。立憲民主党の中には、下野する引き金を引いた野田氏に反対している人もいるというが、そのような人は兵庫県知事を見て何か学んでいただきたい。


昔はイデオロギーなり主義主張に固まった姿勢が政治家に求められたかもしれないが、知識労働者が溢れている時代、知識や情報の進化が激しい時代の政治家は出処進退を迅速にかつ柔軟に判断できる思考力こそ重要である。


これは技術開発でも同様であり、科学という哲学に固まっていては、新しい技術を生み出すことはできないと思っている。生成系AIをいろいろ活用していて思うのは、非科学的な問題解決法の重要性である。


生成系AIで統計や乱数が使われていることはすでに知られており、かつてのエキスパートシステムしか使えなかったAIと異なり、その思考方法は柔軟である。


真理の探究に科学は不可欠であるが、訳が分からなくてもロバストが高く正常に機能するシステムは、それが人類に価値を提供してくれるならば重要である。


すなわち、非科学の成果でも有用なシステムであれば、それを受け入れる柔軟性を持ちたい。それが科学で証明されるまで待っているのはもったいないことである。

カテゴリー : 一般

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2024.09/23 虎に翼

NHKの朝ドラ「虎に翼」は、意外にもハードボイルドの朝ドラだった。朝ドラの最終週といえばたいていは、ドラマのまとめを明るく終わる。主人公が亡くなるか明るい未来を予感させるような筋書きである。


恐らく、今回もそのようなパターンになるのだろうけれど、尊属殺人をどのように明るく終わらせるのだろうか。しかもその事件の内容はここのところ話題となった性加害も含んでいる。


すでにネットではドラマの題材となった実際の事件についての解説が出ており、それを読むと、尊属殺人を定めた刑法が違憲で、被告が執行猶予となっている。


ゆえに、今週の展開はめでたしめでたし、となることが読み取れるのだが、めでたしとしても、日本の家制度の名残の条文を違憲とした画期的判例である。


たまたま大学の教養部2年の時に受講した法学の授業でも紹介されたので記憶している。法学に関心があったというよりも事件そのものが芸能界で起きた事件以上に衝撃的だった。


ゆえに、当方と同じ年齢の人も記憶に残っているかもしれないが、そのような事件を最終週に持ってきて、終わるのである。日本の家制度は戦後否定されたが、法律の中で最後まで生き残ったのが尊属殺人の条文という解説が先週あった。


調査官と最高裁長官とのコメディーとして描かれたのだが、最終週は大法廷の場面になるはずである。コメディータッチではドラマ全体が軽くなってしまう。


しかし、真正面から表現したならば朝ドラとして重すぎるのである。どのように描かれるのか楽しみであるが、このドラマで関心の薄かった法曹界の仕事、とりわけ山田轟事務所の異様な描き方から弁護士という仕事の特異性と社会的位置づけを学ぶことができた。


牧野富太郎のドラマが軽く描かれていたので、このドラマもそのようなドラマかと思っていたら、夜10時から放送しても良いような展開である。

カテゴリー : 一般

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2024.09/22 学歴

小泉進次郎氏の「無理して大学に行くな」発言が炎上している。おそらく小泉氏は大学進学熱が昔の状態と同じ、と勘違いしている。


日本では、20年ほど前から無理して有名大学を目指す風潮は無くなっており、大学浪人数は減少の一途で、予備校が慌てている状態だ。子供の減少スピードよりも速く確実に予備校利用者数は減っている。


無理して大学に行く人はすでに減少しているのだ。問題は、経済的な状況を考えず学歴を捉えていることである。高校無償化が叫ばれた時にも違和感を感じたのだが、義務教育制度を今のままとするならば、高校以上を無償化する施策よりも学びなおし、リスキリングをサポートする施策を検討するべきである。


中卒で社会に出た後、定時制高校で学ぶ、とか定時制大学で学ぶとか、そのような機会を自由に選べる社会とするべきだろう。


今でも遊んでいる大学生は多い。当方も大学3年まで遊んでいたので偉そうなことを書けないが、当方は、アルバイトの収入がゴム会社の初任給よりも1万円ほど多く、自宅通学だったので遊べたのである。


就職して月収が下がり、さらに、上司に言われ、80万円のローンを組んでいたので、経済的に遊ぶことができず、その結果、パソコンでデータサイエンスを研究する以外に楽しむことができなかった。


一番の問題は、個人の経済状態は、その考え方と努力で様々に変化することを誰もが真剣に考えているかどうかである。もし、18歳になって十分な収入を確保できないならば、一度就職し、定時制や通信制の大学で学ぶという手段がある。


「無理して大学に行くな」は、暴言である。大学に行きたいならば経済状態の工夫をできるよう政府も後押しする、と言えば炎上しなかった。

カテゴリー : 一般

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2024.09/21 再生樹脂の力学物性

2022年に施行された法律の効果で、再生樹脂の価格が上がっている。来週広州で再生樹脂に関する国際会議が開催され、その招待講演者に選ばれたので、最新情報を整理していて、その価格にびっくりしている。


バージン材と変わらない価格である。もっとも再生樹脂の生産では、バージン材と異なり生産量の調節を自由自在にできるわけではない。


ケミカルリサイクルも見直され、新たな発想による提案が出てきているが、廃材の収集が律速段階のようだ。中国では20年ほど前から廃材樹脂の再利用が始まっており、再生材ビジネスという視点で見ると日本よりも先行している。


ケミカルリサイクルの検討は行われていないので、廃材をそのまま再利用する方法となるが、汎用樹脂で問題となるのが、成形体の力学物性と外観である。


リサイクル材100%で射出成形を行うと、ほとんどの場合に力学物性が悪い成形体となるのでバージン材を混ぜたりして力学物性を調節したりする。


この原因についてよく言われるのは、再生材の分子量低下であるが、それよりも再生材がバージン材よりも混練しにくいことが知られていない。


換言すれば、二軸混練機にカオス混合装置を取り付けると同一配合でも力学物性が改善される。これが知られていないだけでなく、怪しげなカオス混合装置類似のダイを取り付けて独自技術と主張しているアカデミアの先生がいるから困る。少し特許を勉強してほしい。

カテゴリー : 一般 高分子

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2024.09/20 カオス混合の効果

樹脂のコンパウンディングを二軸混練機で行っている人は理解できないと思うが、ロール混練では非相溶系の組み合わせでも相溶が起きているような現象に遭遇する。


すなわち、ポリマー2成分の混練物のDSCを測定した時にTgが一つになる現象を観察できたりする。もちろんすべての組み合わせで起きるわけではないが、χが明らかに正となるような組み合わせで稀にロール混練では、そのような現象が起きる。


50年近く前に、樹脂とゴムのブレンドを研究していた時に、樹脂がゴムに溶け込んで行く現象に遭遇し、もしかと思いDSCを測定したところ、樹脂のDSCが喪失していた。


それから30年近く経ち、PPSと6ナイロンの混合物を混練するコンパウンド工場を3ケ月で建設しなければならない状況となり、この二成分を相溶できるラインを設計した。


世界初の連続式カオス混合ラインだが、ラインが完成し、PPSと6ナイロンを流したところ、透明な樹液が吐出された。ナイロン種をMXD6や12ナイロンに変更しても透明な樹液となった。


それぞれの試料についてDSCを測定してもTgは一つであり、相溶していることを確認できたのだが、ロール混練と同様の効果があるカオス混合ラインでPC/ABSを混練したところ、透明にはならず、微細組織の分散構造が観察された。


明らかに二軸混練機だけでは実現できないサイズの組織であり、カオス混合が高分子材料の混練レベルを高めることが確認された。


二軸混練機を用いてカオス混合を行うには、混練機の先にカオス混合装置を取り付けるだけでよい。最近この技術を真似て、空間だけのダイを取り付けている例が発表されているが、それを用いるくらいならばカオス混合装置を取り付けた方が良い。


特許が出ているが、弊社に依頼していただければ、特許に抵触しない改良装置を設計いたします。お問い合わせください。

カテゴリー : 一般

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2024.09/19 弊社のセミナー

弊社ではデータサイエンスをはじめ、問題解決するためのノウハウを中心としたセミナーをお客様のご希望に沿って提供しています。その内容は30年以上の実務経験に基づくものです。



データサイエンスの手法は非科学的な側面がありますが、コーチングスキルとして使うと、専門領域の高度な知識が無くても現象を部下にうまく理解できるよう説明できます。ゆえにデータサイエンスのスキルは管理職こそ身に着けるべきと考えています。


今月末に開催される再生材に関する国際会議の招待講演者に選ばれたため、セミナー予約は来月以降となりますが、お問い合わせあるいはお申し込みください。

カテゴリー : 一般

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2024.09/18 読書の秋

毎月1冊も本を読まない人が6割を越えたという。読書離れが深刻だと言われて20年経った。書店の数も1980年代の半分になった。


インターネットの普及の結果だそうだが、ちょっと待て、である。読書とインターネットの情報調査とは目的が異なる。


読書は思索を深めるためであり、インターネットサーフィンでは得られない効果がある。インターネットで電子ブックを読むのも同様の効果があるが、どうも電子ブックも含めて本を読まなくなったらしい。


学生は試験があるので、本を読まなければいけない状況になるのだが、社会人は本を読まなくても生きて行ける。しかし、思索をしない知識労働者は、知識労働者ではない。


意識して思索するかどうかは問わないが、一人の著者が思索をまとめたものに触れ、そこから気づきを得る活動は成長のために必要な食事のようなものだ。


趣味欄に読書と書く人がいるが、読書は趣味ではない。習慣とすべき行為である。音楽家ならば楽譜に触れる、画家ならばオリジナルの絵を鑑賞するように、知識労働者は本を読むのである。


知識労働者ならば、ぜひ読んでおきたいのは、ドラッカーである。彼の著書を最低10冊は読んでいただきたい。何でもよいから10冊読めば、たいていマネジメントを含む可能性が高い。


このマネジメントは、人生の指南書でもある。断絶の時代も是非読んでいただきたい。当方が高校時代に読んだ本である。技術者ならば、イムレラカトシュの方法の擁護を読んで欲しい。


気楽を望むならば、シャーロックホームズのシリーズを何冊か読んでいただきたい。マッハ力学史は英語版をお勧めする。これらの本から科学とは何か、を考えていただきたい。


つまらないかもしれないが、田口玄一著の統計関係の本は、ある種の偏見を持ちながら読むと面白いはずである。技術者ならば、最低限これらの本に目を通すべきである。


シャーロックホームズを何冊か読んだ後、刑事コロンボを見ていただきたい。何か気づきが得られるはずである。そして、読書の楽しさに目覚めるかもしれない。

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2024.09/17 大学で学んだ知識

当方は学部で有機合成の研究を学び、シクラメンの香の合成その他についてアメリカ化学会誌に投稿している。大学院では、学部の講座が廃止されたためにSiCウィスカーを中心に研究している講座で学んだ。

就職はゴム会社であり、大学で学んだ知識は、高純度SiCの企画で使うことができたが、微々たるもので大半は社会人になってから身に着けた知識で実務を行ってきた印象がある。

それでは大学で学ぶ意味はどこにあるのかと、この年になって振り返ると、知識の獲得の仕方とか、知識の体系がどのように出来上がるのか、あるいはどのようにして新しい知を生み出すのか、を身につけるために極めて重要だった、と気がつく。

その意味では、ややアカハラ気味の講座だったが、大学4年時に在籍した講座は最高の学びの場であった、と思い出される。ここで学んだ知識そのものを使う機会は無かったが、知識を獲得する方法やそれを展開する方法、体系化する方法など、およそ新たな知識を学び身に着ける方法を習得している。

大学院ではそれをフルに生かし、4-6報論文発表している。幅があるのは、就職してからも論文を書いていたからである。大学4年時に在籍した講座がいかにアカデミアとして優れた講座だったのかを示す実績である。

ちなみに、名古屋大学内でもそのポテンシャルの高さは知られており、毎年講座の定員をオーバーする希望者が集まり、くじやじゃんけんで決められていたという。

当方の学年では、閉鎖される噂があり、希望者は当方含め3名で、当方以外は大学院進学を希望していた。当方は教員になる予定でドイツ語も取っていなかったが、教授から大学院進学を勧められ、ドイツ語の猛特訓を直接教授から半年受けた。

その甲斐あって、大学院のドイツ語試験はトップだったらしいが、教授が喜んですごい点だよ、と褒めてくださった。専門や数学はほぼできたので、この語学関係で他の受験者と差がついたのかもしれない。

50点の下駄をもらわなかったが、良い点で進学できている。学問というものは、それなりの根性で身に着ければ身につくものである。頭の良しあしよりも学ぶ意欲の方が、習得率への影響が大きいと思う。

弊社ではリスキリングのための教材も用意しているので、ご相談いただきたい。特にデータサイエンス領域は外部業者開催のセミナー講師として使用した教材を提供できます。

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2024.09/16 Pythonの重要性

1980年代にパソコンは、計算機以外に何に役立つのかよくわからない道具だった。ところがいまや生活のいたるところにコンピューターが入り込んでいる。携帯電話には4台も入っているものもある。

当方のノートパソコンには8台稼働しているが、とんでもない時代になった。1990年代にソフトウェアーが普及した時、それを使う人と使わない人に分かれていった。

大学院まで出て、1990年初めにパソコンを使用したことが無い、という新入社員は一人もいなかった、と書きたいが、一人いた。MS-DOSの時代であり、OSの知識も皆無で6年間本当に勉強してきたのかと疑いたくなるような人だった。

今の時代、ワープロや表計算ソフトは常識であり、使用経験なし、などと答えたら、採用試験に落ちるかもしれない時代になった。

プログラミングについては、1990年代MS-DOSのバッチファイルやLOTUS123のマクロを組めるぐらいの人は大学院卒であれば80%以上だったように記憶している。さすがに面接でCのプログラミングが自由にできますという人はいなかった。

2000年代にはVBでプログラミングできる人が40%ほどいた。今Pythonを自由自在に扱える大学院卒はどのくらいいるのだろうか。

OCTAを使用した人ならば、Pythonをスクリプト言語として最低限使ってきた人である。その他のシミュレーション経験者であれば、あるいはデータサイエンティストであれば、自由自在に使ってきた人だろう。

これまで様々なコンピューター言語が登場したが、恐らくPythonは今後20年間主流になる言語と思われる。当方も最近はほとんどC#を使わずPythonである。

もし、学生諸君で実務におけるPythonを学びたい人は、弊社に問い合わせていただきたい。無料コースから準備していますので気軽に学んでいただけます。

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