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2014.09/02 省エネタイヤ(3)

10年程前からシリカの分散を促進するSBRの特許が多くなっている。原因はこれであった。すなわち、40年前はカップリング剤を用いるのがシリカ分散技術のキーテクノロジーであったのが、現在の省エネ技術ではポリマーの改良でシリカの分散状態を制御するのがトレンドである。

 

すなわちシリカの分散制御という目的は40年前と変わらないが、その手段が新しくなり、ポリマーメーカーがこぞってその技術開発を行っているのだ。ポリマーメーカーによるシリカフィラーの補強構造に関する技術発表も多い。

 

この10年日本化学会年会には出席していたが高分子学会の年会には出ていなかった。高分子自由討論会にでていれば十分な情報が入っていると思っていた。

 

今年の高分子自由討論会でもシリカフィラーの分散を促す変性SBRの技術発表があったが、たかが40年前の技術、と軽く見ていた。しかし、特許を整理してみたところ、目的は40年以上前と変わらないがその達成手段が、カップリング剤から変性ポリマーへ変化していたのだ。

 

技術というものはピンポイントで見ると新しさを感じないことがあるので注意が必要だ。高分子自由討論会における変性ポリマーの発表ではシリカの分散を促進する効果のみ強調していたので、40年前の技術を知っていた当方には新鮮みが感じられなかった。

 

しかし、技術のトレンドとしてその新しさを説明してくれていたらもう少し質問したいことがあったのに、と後悔した。下手に生半可な知識があると情報に対する感度が落ちるので注意が必要である。

 

 

カテゴリー : 一般 高分子

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2014.09/01 省エネタイヤ(2)

新入社員研修で「二律背反」という言葉をよく聞いた。「技術開発は、二律背反を克服することである」とまで言っていた役員もいた。ちょうど二度のオイルショックでタイヤの省エネ技術がテーマになっていた頃だ。

 

タイヤのゴムのフィラーにはカーボンブラックが使われている。このカーボンブラックだけでは転がり抵抗とWET SKID のバランスをとることができないのだ。WET SKIDを犠牲にせず転がり抵抗を低減できる技術としてシリカフィラーが注目されていた。

 

しかし、シリカの表面は水酸基が存在するのでカーボンブラックのようにポリマーとの親和性が悪くゴムと混練すると凝集して分散する。この問題を解決するために使われたのがシランカップリング剤である。

 

シランカップリング剤でシリカ表面を化学修飾し、ゴムとの親和性を増すとともに、その結果分散性があがる。シランカップリング剤は当初分散性を上げるために使われたが、すぐにゴム分子との反応を考慮した試薬が開発された。

 

ゴム分子との反応を考慮されたシランカップリング剤では、その分子構造に加硫可能な構造があり、その構造でゴム分子と反応し、シリカ表面で反応することでフィラーとしての機能を発揮する。カーボンブラックではこのような面倒な手続きを踏まなくても、表面がゴム分子との反応性に富んでいるのでそのまま使用できる。

 

このようにシランカップリング剤は省エネ技術のために開発されたのでは無く、その前からシリカの分散性を上げる技術としてタイヤには使用されていた。1970年代ホワイトレターというタイヤの飾りが流行したことがあった。タイヤのブランド名を白いゴムで書いたタイヤだ。この時の白いゴムにはシリカフィラーが使われ、そのゴムへの分散を促進するためにシランカップリング剤が使用された。

 

ホワイトレターにシリカフィラーが使用されたが、タイヤのトレッドゴムにそれが使われたのは省エネ技術としてである。現在販売されている省エネタイヤも40年前の技術を使っていると思っていたが、店頭にはシリカフィラーの技術を新たに開発したかのような説明が踊っている。これはおもしろい、温故知新があるかもしれない、と思い少し特許を調べてみた。

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2014.08/31 省エネタイヤ(1)

タイヤの残溝が少なくなったので、タイヤを交換した。12年勤務したゴム会社のタイヤである。交換前のタイヤは10年使用したにも関わらず外観はひび割れも無くきれいだった。技術の進歩を感じた。

 

新車への交換を考えていたのでタイヤ交換を見送るつもりであったが、万が一を考えて6ケ月後の車検前であるが交換を決意した。恐らく車は廃車にされるので、交換したタイヤはムダになるかもしれないが、タイヤメーカーに勤務した経験からリスク回避のため新しいタイヤへ交換した。

 

驚いたのは、省エネタイヤがブームで店頭には省エネの文字が並ぶ。新入社員時代にも同様のブームがあったがこれほどでは無かった。40年ほど前二回のオイルショック騒動で石油資源に対する関心が高まり、省エネタイヤが開発された。

 

自動車全体に対するタイヤの省エネ効果はわずかであっても、省エネタイヤとそうでないタイヤとの省エネルギーの差は大きく、宣伝に活用された。この省エネタイヤの技術に使われたのがシリカである。

 

タイヤの補強材料にはカーボンが用いられているが、この一部をシリカに置き換えることで、エネルギーロスが減少しタイヤの転がり抵抗が小さくなる。ただ、エネルギーロスが小さくなるとグリップ力が悪くなる(WET SKIDが低下)ので、転がり抵抗とWET SKIDのバランスをとる必要が出てくる。

 

当時タイヤ用ゴムへのシリカの配合技術は先端技術だった。カーボンフィラーでは対応出来ない転がり抵抗とWET SKIDのバランスをうまくとることのできる、コストの安い唯一のフィラーとしてシリカは注目された。

 

 

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2014.08/30 餅つき

子供の頃、夏休みでも餅米が手に入ると餅をついていたような記憶がある。夏の餅つきはともかく年末の餅つきは年中行事の一つであった。家を新築してから、餅つきに使用していた広い土間が無くなり、使っていた石臼が新しくできた庭のオブジェになったために餅つきの行事は無くなった。親類からの頂き物は、お祝いでなくとも赤飯を炊くのに使われた。

 

餅つきは子供の頃の楽しい思い出の一つだった。餅はネバネバ物質であるが、なぜか触れることも食べることも抵抗がなかった。生まれたときから接していたためだろう。餅つきをやってみたいと思っていたが、残念ながらいつも見ているだけで、餅をつくのは父と兄の役目だった。

 

餅を返すのは姉の役目で、母は蒸す係だった。当方はつき上がった餅をつまみ食いしながら成形する仕事をたまに担当していた。つまみ食いが多いので、毎年途中からお役御免になっていた。

 

餅つきで面白かったのは食紅を添加するときれいな桜色のお餅ができあがることだ。杵でただついているだけである。返しの操作で混ぜるプロセスもあるのだが、食紅の分散に大きく寄与しているのは、杵でついたときである。

 

杵でついたときに食紅は全体に広がる。その様子は見ていて不思議だった。今ならば剪断流動と伸張流動が同時に働くカオス混合のような混練プロセスだから効率が良い、と理解できるが昔は不思議だった。

 

この時の思い出は、退職前5年間担当した電子写真のキーパーツ開発で大いに役だった。中間転写ベルト用コンパウンドの生産ライン短期立ち上げや難燃剤を用いないUL94-V2通過の内装材開発という成果に結びついた。後者は回収PETボトルを80%利用した環境樹脂である。この回収PETボトルを用いた樹脂開発の仕事は退職後社長賞を受賞したとの知らせが元同僚から届いた。

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2014.08/29 当たりのある宝くじ

野依理事長は中間報告の会見で面白い表現をした。検証実験を「当たりのある宝くじではない」と言ったのだ。古くから当たりくじの無い宝くじを「狸の宝くじ」と言っている。この言葉を言わなかっただけでもSTAP細胞の存在にかける意気込みを感じる。

 

iPS細胞の発見では、山中博士は消去法という宝くじを引くような手法を使い、見事に当たりくじを引いた。昨日にも書いたが、STAP細胞のように科学的に存在が確認されていないどころか否定されている現象を科学的に攻めても解決の糸口を見つけることは難しい。山中博士同様にヒューマンプロセス、すなわち技術による解決を行う必要がある。

 

新聞を読むと、理研も最後は非科学的手法に頼るようで、小保方さんの投入を検討している。このあたりは、データの捏造と断罪しながらも、ゆれる理研の思惑が見て取れる。分子生物学会はぶれること無く検証実験などやめてしまえの大合唱で、奇妙な構図が見えてくる。

 

この科学の混乱は未来技術をどのように開発すべきか象徴的に示しているように思われる。20世紀まで信じられてきた、科学の発展こそ技術の進歩を約束する、という哲学が、今揺らいでいるのだ。21世紀の技術は、科学の進歩を待っていては進まない。技術をヒューマンプロセスで開発しなければいけない時代である。

 

20世紀にロジカルシンキングはじめ科学的な問題解決法がもてはやされた。科学の時代であったので、ビジネスの問題解決法と言えばすべて科学的な手法であった。しかし今後ビジネスの現場で重要視されなければいけないのは、目標仮説とヒューマンプロセスである。

 

詳細は弊社で販売している研究開発必勝法で解説しているが、一部は「www.miragiken.com」に探偵物語を事例に紹介している。未来技術の開発は、当たりがあるかどうか分からない宝くじを引かなければならない。しかし、未来は決してタヌキノタカラクジ、カラクジではなく夢のある技術が人類に発掘されるのを待っている。若人よ、がんばろう。

 

 

 

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2014.08/28 STAP細胞検証できず

理研から未だSTAP細胞の検証ができていないとの中間報告があった。恐らく現在の理研のやり方では、今後も検証できないだろう。STAP細胞が小保方氏による捏造かどうか不明だが、故笹井氏の支持もあったのだから全くのインチキではないだろう(と信じたい)。

 

このような問題について解決の方法は科学的な戦術ではダメで非科学的な技術による解決を目指すべきである。もしインチキで無ければ、技術的アプローチで必ずSTAP細胞ができるはずである。

 

科学は真理を確かめようとアクションを進めるが、技術では機能を実現しようと活動する。科学と技術では戦術が全く異なり、科学的に証明されていない新現象については、技術以外に実現の方法は無い。例えばiPS細胞の成功は、技術で製造ルートを作り、それを科学的に研究したからノーベル賞につながったのである。NHKでその全貌を解説していた。

 

科学的に否定される現象や、科学的に不明な現象を人類の幸福のために機能を取り出す必要があるときにヒューマンプロセスによる技術的解決法が最も有効である。当方は、このような哲学で非科学的な成果を幾つか実用化してきた。

 

例えばPPSと6ナイロンを相溶させて電子写真用中間転写ベルトを実用化したが、これは科学的なフローリー・ハギンズ理論に反する成果である。科学的なアプローチでは実現できないか、仮に実現できたとしても時間がかかる。

 

機能の確認から生産立ち上げまで非科学的に進めたが、タグチメソッドによる最適化でロバストの高い生産プロセスとして完成できた。プロセスが稼働して6年以上経過するがトラブル無しである。

 

「 www.miragiken.com 」の活動日誌の最初の部分に、未来技術を開発するためのヒューマンプロセスについて少し解説している。ご興味のある方は一度ご覧ください。

 

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2014.08/27 混練

混練とは「混ぜる」ことと「練る」ことをおこなうプロセスである。「混ぜる」ことは日常の行動で、例えばカードゲームやマージャン、料理などで経験し、直感的に理解できる。「練る」ことについては、意外と日常意識しなければ行っていない。

 

汚い話で恐縮だが、昔子供は青い鼻水を垂らしていた。なぜ今の子は透明な鼻水で昔の子供が青かったのか知らないが、その汚い鼻水で遊んでいる子もいた。戦後10年と少ししか経過していない名古屋のはずれには、まだ大空襲の傷跡が残っており、今のように遊びが豊富では無かった。

 

子供が遊びを創り出さなければいけない時代でもあった。鼻水も遊びの道具であったが、その遊びが始まると当方は気持ち悪いから家に逃げ帰った。ネバネバを練るプロセスを見ると子供の頃のトラウマであまり気持ちの良い感じがしない。納豆も食べられるようになったのは結婚してからである。

 

トラウマとなっていたプロセスが当方の仕事として重要なスキルの一つになっているのだから人生はわからない。気持ち悪くても目を背けず真正面から取り組まなくてはならない苦痛。ゴム練りを最初に体験したときには地獄であった。やや緑色をしていたアロマ油は、特に気持ち悪かった。

 

そんな経験から「混ぜる」と「練る」には大きな違いがあり、混練技術に接する前から興味があった。「混ぜて」いるだけなら性状の変化は少ないが、「練っていると」物質の状態が大きく変化する場合があるのだ。青い鼻水は粘度が増し付着したときに拭き取るとコーティングされたような跡が残った。子供心に単なる水と異なる現象について不思議に思った。

 

混練の教科書を読むと分配混合と分散混合の話が出てくる。混練プロセスをモデルで説明するための概念だが、これは混練の理解を誤った方に導くような気がする。混合により分散が進む場合の説明ならば良いかもしれないが、「練り」の部分をこのモデルでは説明していない。

 

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2014.08/26 二軸混練機

二軸混練機は押出機を基にして発展している連続式混練機である。未だに完成版の混練機は存在しない。かつて10数年前に国研でL/Dの大変大きな混練機が開発されたが、それすらも高い評価を受けていない。

 

連続式混練機に対して、古くからゴムなどの混練では、バンバリーとロールによるバッチ式混練が用いられてきた。例えば動的加硫技術を用いたTPVは、バッチ式混練プロセスで製造された樹脂補強ゴムの性能に及ばない。

 

TPVの性能には幾つか問題があっても射出成形可能な安価なゴムという性質があり、歯ブラシの柄の部分に使われているゴムやマウスの一部などに使用されている。最近では、自動車部品に使われているバッチプロセスによる加硫ゴムの分野にも使われ始めた。少しずつ改良されているのである。

 

TPVも混練プロセスを工夫してやるとその性能が上がる。例えば先ほど述べたようにバッチ式プロセスで混練を行い、プレス加硫を行うと連続式混練機で製造したゴムよりも圧縮永久歪みなどが大きく改良される。

 

この事実は連続式混練機の性能が未だバッチ式プロセスに追いついていないことを示している。20世紀末にウトラッキーによるEFMが発表されたが、普及しなかった。それなりに連続式混練機の性能向上に寄与する装置であったが生産性が低かった。

 

当方が開発したカオス混合装置は、EFM同様に二軸混練機の先に取り付けて使用するが、生産性が高いのが特徴である。この装置を二軸混練機の先に取り付けて、PPSと6ナイロンを混練するとそれぞれが相溶した均一なブレンド物、ポリマーアロイが生成する。また、この10年用途が広がっているPC/ABSを混練すると高次構造の細かくなったポリマーアロイが得られる。本件に関してご興味のある方はお問い合わせください。

 

 

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2014.08/25 ニコンの新レンズ

ニコンから焦点距離58mmという中途半端な新レンズが発売されている。写真雑誌にその作例が載っていたが、ニコンらしくない画像だった。ちょうどニコンとペンタックスの中間の画像という印象を受けた。

 

画像に対する印象は主観的なので、他の人がご覧になったら異なる表現になるかもしれないが、当方にはペンタックスに近い写りのようで柔らかく好感が持てた。しかし、単焦点レンズ1本の価格が19万円とは少し高い。

 

ニコンのカメラの欠点は、レンズも含め高価なことだ。ペンタックスに比較して2-3割以上高いような気がする。しかも最近は日本で製造されている製品が少なくなっているにもかかわらず値段が高い。

 

値段が高くても売れるのはブランド力だろう。ペンタックスブランドは、昔の望遠レンズや広角レンズをフレーズに入れたCMのように親しみやすさがあるが、ニコンブランドは、高価なイメージである。

 

高価でもカメラとしての性能が優れているので売れるのだろう。しかし、画像には個人の好みの問題もある。ポートレートを主体に撮影している当方は、安価なペンタックスを使用する機会が多い。ニコンカメラの出番は、失敗したくない場面である。

 

数ヶ月前、ペンタックスのカメラで大失敗をやらかした。カメラの設定ミスでピンぼけ写真になってしまったのだ。撮影直後確認したときには、それなりに写っていたのでペンタックスの絵柄と勘違いし安心して、拡大し確認することを忘れた。

 

自分のミスなのでカメラのせいではないが、一度取り返しのつかないミスをすると「もしニコンのカメラだったなら」という思いが出てくる。ニコンのカメラでは、これまで撮影のミスは無い。58mmという中途半端な焦点距離のレンズが欲しくなった。人間の嗜好とは不思議で、マーケティング技術が存在する理由を理解できる。

 

新レンズは値段を下げた普及版を出せば、新しいニコンファンを増やせるのではないか。ニコンレンズの共通したカリカリとした写りに不満な顧客は多いように思う。長年のペンタックスファンはその一例だろう。

 

 

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2014.08/24 ボディーアートフォトコンテスト

「JAPAN Face Painting & Body Art Show 2009」という珍しい大会が2009年9月22日に開催された。たまたまインフルエンザの世界的流行でアーティストの欠席が相次ぎ、芸術学部に入学していた娘に飛び入り参加の要請があった。

 

ボディーアートなど未経験の娘であったが、参加したいと相談してきた。20歳になっても父親に相談してもらえる、と喜んでいたら、写真家と組んで参加するという大会規程があるので一緒に参加して欲しい、という内容であった。相談内容には、少しがっかりしたが、父親と一緒に出たい、という言葉に動かされた。

 

大会の様子は今でも「 http://2011.japanbodyart.com/2009/」で見ることができる。この大会では、ボディーペイントのコンテストと同時に会場の様子を撮影した写真コンテストも同時開催された。この写真コンテストでは、ポートレート撮影になるので、ペンタックスD10で参加した。レンズはお気に入りの77mmLimitedレンズである。

 

ペンタックスD10は、二台目のデジタル一眼レフカメラである。一台目は、当時驚異的連射速度を誇ったニコンD2。娘の運動会では活躍したが、日常使うには重すぎた。レンズをつけると1kgを軽く超えるのである。このカメラを使用するために毎日鉄アレイトレーニングを始めたほどである。

 

また、ニコン特有のメリハリのある絵が、家族写真に向いていなかった。しわまでくっきり写るのである。女性をとるには軟調気味のペンタックスがよく、また少しノイズ感のある絵がデジタルカメラでありながら銀塩写真のようでペンタックスを気に入っていた。

 

真実をそのままくっきりと写すカメラが必ずしもよいとは限らないと思う。特に女性ポートレートは、柔らかく写るカメラが最高だと思うし、年齢を重ねた被写体には喜ばれる。ペンタックスの77mmLimitedレンズは不思議なレンズで、おそらく光学性能は良くないのだろうけれど、ポートレートに使用すると、プロ写真家が撮ったような絵が出てくる。

 

フィルム時代から気に入って使用していたが、D10でもほとんどの写真はこの77mmで撮っていた。ただD10の撮像素子はAPS-Cサイズなので、フィルムカメラ場合よりも被写体と距離を置く必要があるのが欠点だった。

 

ボディーアートのコンテストで娘は素人ながら2位になった。写真家として参加した当方の結果は、このコンテストを紹介したホームページをご覧ください。

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