解く力を磨くために問題設定のコツをもう少し考えてみます。
問題は、あるべき姿と現実との乖離で生じますが、「何が問題か」を考えるためには、あるべき姿と現実に関する具体的に整理された知識や情報が必要です。もし、これらの知識や情報が、問題を考えようとしている時に手元に無いならば、それが一番の問題となります。さらに問題の答であり問題解決のゴールに相当するあるべき姿については、数値化できるぐらい具体的に整理されていることが好ましい状態です。あるべき姿が抽象的であると、問題は抽象化され問題認識の違いを生み出すだけでなく、あるべき姿があっても問題解決できない場合も出てきます。
情報技術の進歩や遠藤功氏の「見える化」ブームで現実の整理は、日常業務として行われるようになりましたが、社是やビジョンなどの抽象的なあるべき姿を担当している職務に合わせて細部まで具体化しているケースは少ないようです。もしあるべき姿の情報整理と十分な具体化ができていないと思われるならば、最初にできる限り具体的な表現であるべき姿を作成してください。
ところで、あるべき姿を求める方法として、現状を分析し問題点を見つけ出し云々、あるいは問題を分析し云々などと説明している問題解決法もありますが、あるべき姿とは、問題から導き出すものではなく、問題解決をしようとする当事者が、何が問題かを見出すために具体化するものです。
例えば、事業における「あるべき姿」であれば、会社の事業と顧客の関係から決めることができます。個人の問題であれば、個人の人生観や価値観などから「あるべき姿」を決められます。その他国の問題であれ、地域の問題であれ、大切なことは、その問題が解決されたときに効果や影響力が及ぶ社会の「あるべき姿」について、問題解決しようとする人が具体的に整理し明確に決めることが大切です。
「あるべき姿」の情報整理と具体化には、日科技連の新QC七つ道具を使うことができます。親和図法や連関図法、系統図法で情報を整理するとわかりやすくなります。マトリックス図法も有効かもしれません。
製品開発の現場で発生する技術的問題では、製品の仕様書が「あるべき姿」の代用になります。製品を組み立てる各部品について、担当部署へ製品仕様書を提示し、各部品の「あるべき姿」をそれぞれ確認する作業が必要かもしれません。また、初めてのプロジェクトであり諸々の環境が整っていない時などは、ドラッカーの指摘を参考にして、各人の認識が同じと思われる「われわれの事業は何か」あるいは「われわれの事業は何になるか」、「われわれの事業は何であるべきか」などを改めて問いなおすところから始める必要があるかもしれません。
「あるべき姿」と「現実」の乖離が「問題」になりますが、「あるべき姿」が具体化されますと「現実」が整理されていなくてもこれまでの経験から問題が具体的に見えてきます。問題解決の必要があるときには、「あるべき姿」と「現実」の乖離が大きい時ですから、「現実」の整理が必要無いと感じるくらいに、「問題」が具体化されます。しかしそのような時でも「現実」の具体化と整理は必要です。
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先日の新聞記事に、ミドリムシからプラスチックスを作る話が掲載されていました。ミドリムシの作り出す糖を利用するのだそうです。現在の石油リファイナリーからバイオリファイナリーの流れの中で普通の記事として思っていましたが、アイデアがわきました。
単なる思いつきのアイデアで申し訳ないですが、ミドリムシ以外のプランクトンでも同じことができるのではないか、あるいはプランクトンをスプレードライで乾燥させて、その後脱色洗浄したらそのまま樹脂として使用できないか、と考えました。少なくとも樹脂の増量剤あるいは可塑剤程度に使用できるのではないか、と思っています。
さらに運が良ければ、難燃剤としての機能を有するプランクトンもいるのではないかという予想です。プランクトンの中にはミネラルを豊富に含むものも存在し、さらにそのミネラルは生物由来ですから、原子レベルで分散している、と期待できます。30年以上前に難燃剤が活発に研究されていたころ、元素別の難燃効果という論文を読んだことがありますが、金属酸化物には粒径が小さくなると難燃効果が出てくるものがある、と結論されていました。当時ナノオーダーの粒子技術が存在しなかったので論文には期待のあるような書き方がされた、と話半分のつもりで頭の隅に記憶として残しておきました。
昔の記憶がどの程度のものか確認するために、数年前酸化スズゾルの難燃効果を調べましたところ10部程度の添加でLOIを1程度上げる効果がありました。また、燃焼面にはチャー生成量の増加していることも目視で確認できました。1ミクロン程度の酸化スズには効果は無かったので、明らかに金属酸化物の粒径の効果です。ミネラルの多いプランクトンを難燃剤として活用できる可能性が出てきました。
プランクトンを材料として実用化しようとする時に問題となるのはコストです。おそらく広大なプールが必要になりますので過疎地で作物の作れない土地で培養する事業になるのではないでしょうか。もしスプレードライして得られた乾燥物が50円前後であれば、樹脂の増量剤として活用でき、難燃効果があるのであれば100円前後までコストの上限は広がります。簡単な還元漂白程度の加工でプランクトンを利用可能であれば面白い素材です。
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ところで、ドラッカーは、著書「マネジメント」の中で「まちがった問題に対する正しい答えほど、実りがないだけでなく害を与えるものはない」と述べ、問題を正しく把握することの重要性を指摘しております。
先ほどの「山田さんが犬に咬まれた」というような簡単な例でも、情報を受け取った後のアクションを間違えないためには、問題を正確にとらえる必要があります。もし間違った問題を設定したときには、間違ったアクションをすることになり、ドラッカーが指摘する害を生みだしたりします。
例えば、面識のない山田さんが犬にかまれたのに、親友の山田さんが犬にかまれた問題としてとらえ、慌てて親友の山田さんの奥様に電話をするというアクションをとったとします。親友の山田さんの奥様が、たまたま電話に出られない状況であれば、この電話は迷惑電話となります。問題を正しく把握することは問題解決で一番重要なことです。
問題を正しく把握できるように、問題とはどういうものか定義します。問題とは、感覚的な意味では困った状態や好ましくない状態という意味です。しかし、先ほど答に相当する「あるべき姿」と問題の関係を見てきましたので、「あるべき姿」と「現実」との乖離として「問題」を定義しても納得していただけると思います。この定義は20年ほど前からよく聞くようになりましたが、わかりやすい定義です。
この定義を用いれば、何が問題かを明確にするためには、現実とあるべき姿を明確にすればよいことが分かります。そしてこの問題の答とは、あるべき姿であり、問題を解くあるいは問題を解決するとは、あるべき姿を実現するアクションの筋道を求め、強い意志の力で行動を起こしあるべき姿を実現することになります。また、第一章で述べましたが、あるべき姿が無い問題は、解けない問題になります。しかし、本書で扱う問題は、必ずあるべき姿がありますので解ける問題になります。
問題の定義から、「解く力」には「あるべき姿」を明確に決める力が必要です。これは、意志の力です。さらに未来の夢を描くことができる感性や責任感が加われば具体的なあるべき姿を創り上げることができます。そして行動を起こし「あるべき姿」を実現すれば問題を解決できます。意思決定し行動を起こし「あるべき姿」を実現することが問題解決であり、それを可能にする力が解く力です。
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高分子の難燃化技術について、この30年間の進歩は様々な樹脂の難燃剤が開発されそれぞれの樹脂について最適化が行われてきたのが成果だと思います。1980年頃に高分子の難燃化手法に関し、その方向が決まり、様々な縮合リン酸エステルが開発されました。その後登場したのが臭素系難燃剤で1990年代に一気に普及しましたが、環境問題の影響で、一部の臭素系難燃剤が、縮合リン酸エステル系に置き換える検討が進みました。
1970年代の難燃化技術の進歩に比較しますと、基礎科学としてはほとんど進歩していない領域と言ってもよいかもしれません。難燃化技術の1970年前後の進歩には著しいものがあり、1980年代の方向性を決めることのできる成果が基礎科学として出ております。
これは、高分子の熱分解や耐熱性高分子の研究が1970年代に盛んに行われ、それと並行して難燃化技術研究が行われた影響が大きいと思います。欧米の動向も同様であり、1970年代の成果を踏まえ、ULなどの規格が1980年代にほぼ決まりました。日本の建築基準の大幅な見直しも1980年初めに行われております。
高分子の難燃化技術はもう開発の必要のない分野のように見えますが、世間で発生している品質問題を見ますと、これまでの研究開発と異なるコンセプトでテーマ設定を行う必要を感じています。何かご質問がございましたらお気軽にご相談ください。
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例えば、山田さんが親しい友人である、と仮に決めますと、友人の無事を祈るのは自然な心の動きですので、あるべき姿は「無事である」となります。仮に決めた関係と、答のあるべき姿を加えると、曖昧であった情報は「親しい友人の山田さんが犬に咬まれた。しかし、無事である。」、と具体的になりますが、これはすべて仮に決めていますから真実かどうか不明です。この真実かどうか不明であることが、この場合の問題となります。
知人に山田姓が一人もいない場合には、この情報の曖昧さは親しい友人の場合よりも少なくなります。すなわち山田さんが一般化され、「人が犬に咬まれた」という情報になります。この場合の仮の答、あるべき姿は、平凡な答として「その犬の飼い主のモラル」と決められます。すると、「人が犬に咬まれた。その犬の飼い主のモラルは?」という飼い主のモラルを問う問題になります。
このほかにも問題は設定できる答の数だけ作ることができますが、問題の中には真か偽かを問う問題と、答=あるべき姿の実現を問う問題があることに気がつきます。ところが後者は、あるべき姿を実現できる、という仮の答を設定し、真偽を問う問題に変えることができます。前者は逆に、「無事である」と決めずに、「無事かどうかを明確にする方法」を問う問題に変えることもできます。
すなわち、問題というものは、情報に情報との関係で決めることができる答を付け加えて作りだすことができます。そしてその答となる「あるべき姿」の表現形式を工夫することにより、すべてあるべき姿を実現する問題形式に表現できます。このあるべき姿を使い問題を表現できることが問題の定義につながります。
(明日へ続く)
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二次電池の市場で現在成長しているのは自動車用途である。ハイブリッド車の普及がそれを牽引しています。ホンダは主にLiイオン二次電池を使用していますが、トヨタはニッケル水素二次電池を使用しています。トヨタは公知のようにコスト重視で車を設計します。スペース効率を求められる場合には、リチウム二次電池を使用していますので、そのあたりの設計思想が垣間見えます。
6年前の情報(L.T.Lam,R.Louey,J.Power Sources,158(2006)1140-1148)で恐縮ですが、鉛蓄電池を基にハイブリッド用に開発されたウルトラバッテリーについて。このバッテリーのどこがウルトラかと言いますと、価格の安さとLiイオン電池並みに1kWhの出力ができるという点です。それでいて、500Wh12Vバッテリーと組み合わせても価格が220US$です。ただし重量は55kg。これに対して1kWhLiイオン二次電池は、500Wh12Vバッテリーと組み合わせて価格は1020US$で重量は34kg。およそ20kg軽くなります。
ニッケル水素二次電池でこれらと同様の性能を達成しようとすると500WhSLIバッテリーと12Vスターターバッテリーを組み合わせる必要があり、重量はウルトラバッテリーと同様の55kgで価格は660US$となるそうです。ただしこの比較は、アイドリングストップ程度のハイブリッド機構における比較で、トヨタやホンダのフルハイブリッド機構で必要となる二次電池の容量レベルの比較ではありません。
しかしこの比較から現在のLiイオン二次電池の価格イメージを把握することができます。すなわちモバイル用途よりも安価になっている、ということです。ニッケル水素二次電池との価格差がモバイル用途では2倍以上(エネルギー密度を考慮すると4倍以上)ありますが、自動車用途ではおよそ1.6倍程度です。また、鉛蓄電池は、ニッケル水素二次電池の1/3程度というイメージになります。驚くのは鉛蓄電池の安さで、これは電解質が水であることが寄与している、と思っています。
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「山田さんが、犬に咬まれた。」という情報では、曖昧さがあるために様々な問題の可能性と、その問題解決のためのアクションを書き出すことができます。無意識でこのような曖昧な情報のまま曖昧な問題設定をして問題解決をしている場合があります。すなわち、問題を曖昧にとらえ、課題なのか問題なのかわからない状態でアクションを決めてゆく、そんな光景を見たことがあります。しかしこのような問題解決では、正しい問題を解くことも正しい答を得ることもできません。
うまく問題設定できない時に、探偵ホームズはベーカー街へ戻り、再度問題を考えています。情報を集めてから分析を行いターゲットとの関係を推理する探偵ホームズの問題解決法よりも刑事コロンボのターゲットを常に情報の中に置き問題設定し、ターゲットから逆向きに推論を進めるスタイルのほうが難事件を解決できる、と第一章で考察しました。探偵ホームズも刑事コロンボも問題設定する時には、犯人(答)を情報の中に置きます。情報を分析してから犯人を推定するのが探偵ホームズの方法で、刑事コロンボは、犯人(答)をそのままの情報の中へあてはめて問題設定しています。まず刑事コロンボのスタイルで問題設定します。
刑事コロンボのスタイルでは情報の分析を探偵ホームズのようにしません。情報と犯人との関係を考えています。そこで「山田さんが、犬に咬まれた。」という情報では、問題を解決しようとする人と情報との関係、すなわち山田さんとの関係をまず明確にしなければなりません。この関係が決まっていない段階では、答を決めることができませんので問題設定もできません。もし情報が少なくて関係が決められないならば、仮の関係を決めることになります。仮の関係は、この情報の重要度と緊急度から決めればよいと思います。
知人に山田さんがいたとした場合に、親しい知人であれば親友として決め、親しくない知人であれば他人の関係としても差し支えないと思います。山田さんとの関係が決まりますと、答を決めることができます。この時の答とは、この情報について本来の「あるべき姿」ということです。
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探偵ホームズと刑事コロンボを例にして、問題解決に使用する「考える技術」について調べてきましたが、推理には科学的方法だけでなく非科学的方法も使えることや、推論の向きが重要であることなどがわかりました。探偵ホームズも刑事コロンボも事件を問題として解いていたわけですが、そもそも問題とはどのようなものでしょうか。少し「問題」というものについて考えてみます。
問題につきましては、P.F.ドラッカー(以下ドラッカー)は、生前のインタビューで、「コンサルティングの最初の問いは、何が問題か、と問うことから始める」、と答えています。彼の多数の著書は、ビジネスマンの羅針盤あるいは人生の参考書として読まれていますが、インタビューの答えが示すように問題解決の指南書としても読むことができ、この「何が問題か」という問いの重要性は形を変えて彼の著作に何度も出てきます。間違った問題を解決することが、無駄な時間を浪費するだけでなく新たな問題を生み出す可能性があるからです。
例えば、「山田さんが、犬に咬まれた。」という事件の情報から何が問題となるのか考えてみます。
「山田さん」という名前の友人がいるならば、この情報の山田さんが友人なのかどうかという問題が最初に頭に浮かびます。山田さんが友人でなければ、他人事の一般情報で済むでしょう。友人の山田さんの身に起きた事件であれば、犬が狂犬病であったのかどうか、あるいは怪我の程度、現在の状況など複数の問題が心配になってきます。すなわちこの情報を個人の立場で考えますと、犬に咬まれた山田さんが親しい友人であるかどうかが重要な問題となってきます。
一方で、社会的な見地から、犬の飼い主の責任を問題としてとらえなければならない立場の人もいます。山田さんが病院にかかった場合には、各種保険の適用を考えることになります。医者ならば狂犬病の予防注射の有無を問題にします。それぞれの立場において問題のとらえかたが異なり、設定される課題も変わり、発生している事件は一つですが、最初にとるべきアクションは、それぞれの立場で様々に異なることが分かります。
このように「山田さんが、犬に咬まれた。」という情報そのものは問題のように見えませんが、この情報を問題のある情報、あるいは問題を生み出す情報と感じた時に様々な問題が出てきます。逆にこの情報で何も感じなかった人は、問題など考えずこの情報を忘れてしまいます。
刑事コロンボは、事件現場の観察から様々な問題を考えます。事件現場にあるのは、単なる情報です。そこから様々な問題を設定し、犯人につながる問題を解き、犯人を逮捕します。「策謀の結末」では、殺された闇の商人を自分で演じながらウィスキーのボトルが落ちる様子を再現するシーンが出てきます。何度もトライするうちに、闇の商人と犯人との特別な関係が無ければ死体の横のウィスキーのボトルの状態を説明できないことに気がつきます。
すなわち、いつも犯人の存在を仮定しながら闇の商人が倒れ、ウィスキーのボトルがテーブルから落ちる様子を演じていたのです。ここが探偵ホームズとの違いです。探偵ホームズは常に目の前の状態をそのまま科学的観察するスタイルです。情報が揃ってから犯人との関係について推理をめぐらします。しかし、刑事コロンボはいつも犯人(答)を情報の中に置き現場観察をしています。言い換えると刑事コロンボは事件現場(情報)に犯人(答)がいた状態にして常に問題設定をしているのです。
(明日に続く)
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是非ご覧ください。
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政府系の投資ファンドである産業革新機構がソニーのLiイオン二次電池事業を核とした業界再編に乗り出したという(読売新聞。2013年1月25日)。内容はソニーの子会社「ソニーエナジーデバイス」とNEC・日産自動車の合弁会社「オートモーティブエナジーサプライ」との経営統合である。
Liイオン二次電池は、1980年代にブリヂストンがポリマー電池として実用化(日本化学会賞受賞)して以来日本が先行してきた分野である。しかし、現在そのシェアーは、サムスンがトップになり、日本のバッテリーメーカーはトップを守りきることができなかった。しかし、Li二次電池の部材に関しては、サムスンは日本企業から購入しており、部材の売り上げ規模でみると日本がいまだトップで、日本の電池メーカーが戦略を間違えなければ、まだ挽回ができる状況である。
公知のようにサムスンには多くの日本人技術者が引き抜かれ活躍している。Li二次電池事業のトップはホンダから流出した技術者と聞いている。グローバルに事業が展開されている状況だから、とやかく言うつもりは無いが、日本企業で育てられた優秀な技術者が、国外へ流出している現状は手を打つべきと思っています。
さて電池という商品は組み立て型商品で、部材を外部から購入すればどこでも事業を始められる。今部材メーカーは電池まで特許に権利範囲を記載しているので、Liイオン電池の基本特許が切れた状態では、組み合わせ特許さえ回避できればどこでも生産できる商品である。
一方今でも性能開発競争が続いており、CPUに似た商品でもある。すでに2020年ころまでのロードマップができており、インテル商法さながらである。CPUもハイkやローk材料が話題になったように、部材を外部から購入し組み立てている商品です。すなわち、二次電池とCPUはよく似た商品であり、CPUのこれまでの歴史が二次電池でも起きるということであります。
このままサムスンの独走を許せば、メインストリームはサムスンの一人勝ちになります。CPUのメインストリームをインテルが握り、なかなかその状態をAMDがひっくりかえせないのと同様の状態になります。おそらく2-3年で勝者が決まるでしょう。ただCPUと異なる一面があり、そこの特徴に気づき戦略を展開すれば日本の企業がトップに立てると考えています。詳しくはご相談ください。
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探偵ホームズも刑事コロンボも主に活用している「考える技術」は、演繹的推論です。観察により集めた情報で推論を展開する点は共通しています。さらに非科学的な消去法や思考実験、経験に基づく勘もこの二人は使います。
しかし、演繹的推論を行う時に、探偵ホームズは分析的思考で考察を進め前向きの推論を行い、犯人の特定、事件解決に至りますが、刑事コロンボは、犯人を逮捕するためのアクションを考える逆向きの推論を展開する点が異なります。
探偵ホームズと刑事コロンボが事件解決の対決を行ったら、おそらく刑事コロンボが取りこぼしなく事件解決を行い、勝利すると思います。なぜなら、探偵ホームズの場合には前向きの推論でいくつもの可能性を考えることには長けていますが、その推論の展開は、必ず事件解決にたどり着くという保証が無いからです。一方刑事コロンボの場合には、必ず犯人から逆向きの推論を用いて、犯人逮捕に結びつくアクションを考えています。ですから犯人がいる事件ならば刑事コロンボは必ず犯人逮捕できることになります。
例えば、難事件と思われた「策謀の結末」を探偵ホームズが取り組んだ場合を想像してみます。殺人現場には、密売人の死体とテーブルから落ちたウィスキーのボトルがあるだけです。このボトルはテーブルから落ちた後、犯人が裏切り者に対する贈り物の気持ちを込めて死体の手元へ蹴って転がした状態です。この状態に込められた犯人のメッセージに気がつくかどうかが犯人逮捕の決め手となります。
さっそく、探偵ホームズは、絨毯についたシミからウィスキーのボトルが落ちたテーブルの位置を特定します。つぎにボトルがその場所から落ちた後、死体の手元へボトルが転がる場合を科学的に分析して推理します。ボトルが落ちた時の角度をいろいろ試しながら、死体の手元に転がるための条件を求めてゆきます。犯人がある意図をもって蹴とばした、などとは考えません。現場には、死体とウィスキーのボトルとの位置関係以外に、そのようなことを示す情報が無いからです。
刑事コロンボの場合は、あくまでも死体が中心です。死体とボトルの位置関係があまりにも良すぎることに気がつきます。すなわち、犯人がわざわざその位置にウィスキーのボトルをおいた、という推定をしております。この現場では、ボトルと死体が結論に相当します。刑事コロンボは、最初に探偵ホームズと同じようにテーブルからボトルを落として考えますが、ボトルの置かれた位置の不自然さに着目し、ボトルと死体を一つの結論という見方をして推理を展開します。このシーンについてドラマを見ていただきますと納得のゆく逆向きの推論が展開されています。
おそらく探偵ホームズは密売人が殺された時の面会者を推理することができず、事件を解決できなかった可能性があります。分析的思考を用いて前向きの推論を展開する方法では、途中の情報が得られなかった時に結論にたどり着けない危うさがあります。しかし、結論から逆向きの推論を行った場合には、結論にたどり着けるアクションがある限り、必ず事件を解決できます。
(明日へ続く)
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是非ご覧ください。
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