コロナ禍初期に、俗称8割おじさんによるシミュレーションのおかげで、日本国中行動変容し、感染爆発を防ぐことができた。ワクチンが無かったときの防衛策として、唯一の最善の策はウィルスから逃げることだった。
以前この欄に書いているが、八方ふさがりの時にどこか逃げ道を探し、生き延びる力は重要で、生きておればその後何とかできるのである。最近ある漫画家の自殺が話題になって多くの記事が出ているが、記事を読む限り、何故自殺しなければいけなかったのか不明である。
公開されている情報では悪いのはTV局であり、漫画家はクリエーターとしての尊厳を守るために自殺を選んだことになる。この件に関して書き始めると当方の転職の話になるのでここまでにするが、8割おじさんの話題が最近無いので心配している。
少なくとも2020年の日本人は、この人のシミュレーションのおかげで命が助かったのである。ワクチンができてからは、経済優先となり、8割おじさんはフェードアウトさせられたのであるが、この時不思議に思ったのは、経済に関するシミュレーションが出てこなかったことである。
本来は、8割おじさんのクラスター理論と経済への影響が、シミュレーションで議論されるべきだった。今はなし崩し的に、40%以上の国民がコロナ感染する方向へ動いており、我が家の近所でもコロナ感染者が増えてきた。
多い人ではすでに3回かかった人がいるそうだ。当方はまだ一度も感染していないので、マスク手洗いうがいを丁寧にしており、おかげで手はガサガサである。
ワクチンのおかげでコロナ感染しても重篤になる確率は減ったが、それでもエイズ同様の構造をしたDNAの破片を体内に取り込むことには抵抗がある。
このウィルスのDNAについても変異のシミュレーションが行われており、ワクチン設計が行われているのだが、もう打つ必要が無くなるようなワクチンができないものか。
とにかく、このコロナ禍で日本人は皆シミュレーションの活用を体験しているのだが、その印象はあまりよくない。ニュースには検証ができていないことを責めている論調の記事がある。また、8割おじさんが厚生省から表彰されたという話もない。
「パーコレーション転移で学ぶPython入門」では、クラスター理論を8割おじさんのように数式で扱うのではなく、コンピューターの中で実際に実験を行うシミュレーターをPythonでプログラミングしながら学ぶセミナーだ。
さらに、このシミュレーターを使って製品開発した事例も最初に解説するので、シミュレーションスキルをどのように実務に活かすのか学べる。2月は2回セミナーを行いますのでお問い合わせください。
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データサイエンスを使い、材料開発を行ってきて半世紀近く経つ。第三次AIブームでマテリアルズインフォマティクス(MI)が誕生したが、早い話が、本質はデータサイエンスによる材料研究である。
データマイニングといっても、データ中心に問題解決を進めることなのだ。それを難しくごちゃごちゃ言っている人がいるので、初心者は混乱する。
当方に相談していただければわかりやすく説明するだけでなく、どのように問題解決したらよいのか、その考え方まで説明する。
この3月に開催される日本化学会年会では、50年近く前にデータサイエンスで解いた問題を最近はやりのパーセプトロンのアルゴリズムで解いてみてその比較を発表する。
大切なのは、正しい問題を正しく解くということだ。MIありきではない。問題を解くためにデータサイエンスが必要で、必要だからそれで解く。当方はその結果ゴム会社を転職することになった筋金入りの技術者だ。
例えばゴム会社最後の仕事は、電気粘性流体の耐久性問題だ。これを旧7帝大の博士や修士が3名で1年かけて界面活性剤で耐久性問題を解くことができない、という科学的に完璧な否定証明をやっていた。
これを当方は一晩でデータサイエンスを用いた問題解決法でひっくり返したのだ。MIを新帰納法と言っている研究者がいるが、当方は旧来の科学の方法と異なる、とストレートに説明している。
そして、どのように問題設定し、これを行ったかはセミナーの中で解説している。今月行うPython関係のセミナーでは、自己紹介の中でこれを説明するので是非受講していただきたい。
たった一晩8bitコンピューターを走らせて、検証するための実験を終えただけである。一発で答えが出るくらいデータサイエンスの手法は決まった時に周囲が卒倒するぐらいの破壊力がある。
リクエストがあれば、データサイエンスを用いる問題解決法のセミナーを開催します。これは現在企業向けのみ販売しております。
2名以上でセミナーを申し込まれれば、割引致します。例えば、10名ならば、20万円(消費税込み)となりますが、問い合わせていただきたい。出張セミナーも行っています。
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2月15日10時から16時(12時から1時間休憩)の予定で、プログラミング初心者対象に、Python入門WEBセミナーを開催いたします。
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内容はMS-Excelファイルの自動処理プログラム作成です。弊社では、「Pythonでタグチメソッドを理解する」や、「パーコレーション転移プログラムを作成しながら学ぶPython」という入門セミナーを予定しております。
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今回、MS-Excelで作成されたデータをPythonで処理するプログラムを題材に新たな入門セミナーを準備しましたので、Pythonを学びたい方は弊社へお申し込みください。
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受講料は3万円(消費税込み)です。また、セミナーで使用しましたプログラムをセミナー終了後配布いたします。
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Pythonは、これまで登場したプログラミング言語と大きく異なります。まず、言語処理系が無料であり、さらにオブジェクト指向を実装し、多くのライブラリーが存在します。そしてほとんどの資源を無料で入手できます。
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機械学習のプログラムも無料で開発できます。また、その気になれば、無料セミナーも開講されていますので、無料で学習することも可能です。弊社が有料でセミナーを行いますのは、無料セミナーでは提供していない、実務ノウハウを講義の内容にしているからです。
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このPython入門セミナーでは、単にMS-Excelファイルの整理を行うだけでなく、そこからデータウェアハウスを構築したり、データサイエンスに展開したりするノウハウを伝授いたします。
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トヨタ自動車グループの源流にあたる豊田自動織機で17年以上前から不正があり、一部の車種で型式認定が取り消されるという。ダイハツに続いて不正が明らかになったことに驚いている。
さらに、この不正もダイハツ同様に現場の判断で行われ、組織的なものではないという。ダイハツの不正が明らかになってから、ダイハツ社内の雰囲気、風土に関するニュースや一部社員のSNSなどの書き込みから、管理職の問題が指摘されている。
すなわち、現場で問題が発生し管理職に相談した時に、「それで」、とか、「どうするの」、とか応えてくるだけで、問題解決の糸口を教えてくれないだけでなく、「あなたの問題でしょう」という答えもあるという。
管理職が部下に責任を押し付けてくる問題は、どこの組織でもあるのだろう。しかし、今回の問題に潜む、この30年間に普及してきたマネジメント手法に疑問を持った。
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2月22日にデータサイエンスのセミナー(時間等他のセミナーと同じです。詳細お問い合わせください。)を開催します。コンピュータを用いてどのように問題解決するのか事例を中心に、Pythonプログラミングの基礎も解説いたします。
詳細プログラムは後日公開しますが、多変量解析と機械学習のPythonプログラミングについても解説予定で、申込を本日から受け付けます。申し込まれますと最初に予習編を配布いたしますので早めにお申し込みください。
当日解説したプログラムコードはサービスで希望者に配布いたします。テキストにコードが書かれていますので、事前配布は致しません。ただ、コーディングが面倒と思われる方のためにサービスとして配布予定でおります。
Pythonが初めてであれば、面倒でもテキストのコードを自分でインプットされることをお勧めします。学習効果が高まります。地道な努力が、プログラミングの学習初期には重要です。
2-3例自分でコードを打ち込んでみて、その動作を確認すると、なるほど、と納得でき、それが大切です。ゆえに、サービスプログラムは、このセミナーに限り希望者のみの配布とさせていただきます。
他のセミナーでは、プログラムを事前配布するのに、このセミナーでプログラムコードを事前配布しない理由を受講していただければ理解していただけるのではないかと思っています。
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デンソーなどによると、燃料を吸い上げるための「インペラ」(樹脂製羽根車)という部品を作る金型を変更したところ、樹脂の密度が低いものが生産されてしまったという。広報担当者は「製造後、車両に搭載するまでの環境なども複雑に絡んでいるとみており、複数の要因についてさらに調査している」と話した。 これまで7回のリコールを届け出たホンダの分析によると、樹脂密度が低いインペラが長期間倉庫に置かれるなどして、車両に搭載されるまでの間に表面が乾いてしまい、樹脂が収縮することで細かな亀裂が入ってしまうものがあるという。 (1月27日版朝日新聞デジタル記事より抜粋)
ホンダ車のリコールに関する記事で、1月27日に原因が細かく記載された記事を見つけた。おそらく樹脂はPPSだろうと推測され、燃料ポンプのインペラーについては、東レが特許を取得していた(10年間特許年金が支払われたが年金不払いで権利消滅)のを見つけた。
朝日新聞デジタルとこの東レ特許を読むと、トラブルの原因が見えてくる。2月度(昨日の本欄参照)に高分子のトラブルに関するセミナーを開催予定ですのでご参加ください。少し解説いたします。
また、本セミナーにつきましては、3月にゴムタイムズ社で、4月に技術情報協会でも開催されます。弊社で開催されますセミナーは若干お得な価格設定にしておりますので是非ご利用ください。
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2月に下記WEBセミナーを開催します。開催時間は10時から16時で12時から13時はお昼休みとなります。なおテキストは電子ブック形式で配布いたします。
1.高分子の劣化と寿命予測、トラブル対策
開催日:2月10日、17日(2日間同一内容です)
費用:
テキスト代込参加費用:3万円(税込)
別途質問枠オプション付:5万円(税込)
なお、3月にはゴムタイムズ社で、4月には技術情報協会で類似セミナーが開催されます。
高分子の破壊に関しGriffithの理論から体系的に説明します。セラミックスの破壊研究の経験を活かした説明で、高分子の破壊について分かりやすく説明します。また、アーレニウスプロットで推定された寿命よりも短時間で量産試作段階に壊れた部品を事例に、信頼性工学や品質工学さらにはフロントローディングの手法など解説する実践的内容です。
2.高分子の難燃化技術
開催日:2月6日、13日、20日(3日間同一内容です)
費用:
テキスト代込参加費用:1万円(税込)
別途質問枠オプション付:3万円(税込)
ゴム会社に入社した時が開発競争が始まった時代で、それ以来セミナー講師を40年以上やってきました定番のサービスセミナーです。歴史と体系を学ぶことに注力しています。社会的に注目度の高い内容のため、特別価格にて提供中です。詳細はこちらをご覧ください。
3.Pythonで学ぶタグチメソッド(プログラムサービス)
開催日:2月9日、16日(2日間同一内容ですが、参加者の希望により内容を変更可能)
費用:
テキスト代込参加費用:3万円(税込)
別途質問枠オプション付:5万円(税込)
Pythonの簡単な説明も行いますが、受講者の希望により、説明時間を増減可能です。タグチメソッドにつきましては、SN比計算プログラムを配布しますので面倒な計算の理解に必要な負担を軽減できます。メソッドとその思想を理解することに注力したセミナーです。
4.パーコレーションで学ぶPython(プログラムサービス)
開催日:2月14日、21日(2日間同一内容)
費用:
テキスト代込参加費用:3万円(税込)
別途質問枠オプション付:5万円(税込)
シミュレーションをどのように開発業務に活用したのか、実際の開発事例で説明します。すなわち単なるPython入門ではなく、Pythonを身に着ける動機づけも目指しています。開発事例は2例あり、いずれもトランスサイエンスの事例。一つは否定証明をシミュレーションでひっくり返し、日本化学工業協会から賞を頂いた事例で、他の一つはフローリーハギンズ理論をひっくり返す技術をシミュレーションで確認した事例です。手軽にプログラミングできるPythonのマルチパラダイムの世界を実感していただきます。詳細はこちらをご覧ください。
受講を希望される方は、ご希望のセミナータイトル及び日時を下記フォーラムからお知らせください。
送信時に不具合等が起きる場合はinfo@kensyu323.comまでご連絡ください。
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連日お笑いタレントの引き起こした事件について何らかのニュースが出ている。最近は出たニュースに対して反対意見の見解がニュースになっていたりする。これは、本当に性加害があったかどうかが不明であり、正しい問題が明らかとなっていないためである。
すなわち、何か事件が起きたときに、正しい問題は何か、という議論と正しい問題について行われる議論とが存在するからで、お笑いタレントが性加害を引き起こしたかどうか不明のため、正しい問題を探す議論まで問題として騒がれている状況が生まれている。
もし、実際に性加害があった、と確定したならば、お笑いタレントはアウトである。これについて誰も異論はないだろう。その時には、ごった煮状態は解消され、非難の嵐となる。
ところがこの性加害という問題の場合に、ビートたけしが指摘しているように、「せこい遊び方をしたからダメだ、芸人が遊ぶときにはお金に糸目をつけていてはだめだ」という珍答がでてくる。
これを珍答とする理由は、お金で性的な行為を行えば法律上売春としてアウトとなるためである。ただし、両者合意の上であれば表に出ず、自由恋愛としてセーフとなる。
いささか怪しい仕組みだが、問題が起きたときに、すぐに解決しておけば問題は無くなる、という人類の知恵がここに働いている。
大切なことは、問題が発生した直後に、それを解決する対応がなされれば、後日その問題が問題として繰り返されることはない、という考え方である。
パワハラやセクハラなど組織内の各種ハラスメントも同様であり、それが発生した時にすぐに手当てをしておけば、後日それが問題となることはない。ゆえに今社会でそのような解決を目指し話題となっている。
ところで、各種ハラスメントや企業の引き起こした問題について、すぐに謝罪すればお金を支払わなくてもそれが解決される事例がある。寛容の精神を社会が認めているためだが、少し注意すべき点がある。
昔は、インチキ麻雀であってもすぐに謝罪し笑ってごまかせた時代であったが、最近はペナルティーを支払わなければ許されない。そして、賭けマージャンであった場合には、あらためてアウトとなる。
ただし、このルールには時効があり、一定時間がたってからそれを問題として明らかにすることを社会は認めていない。しかし、それでも明らかにしようとしている場合では、お金とは異なる問題がそこにある。
その一つに心の問題がある。何か問題が起き、加害者と被害者が生まれると、加害者の対応次第で被害者には大きな心の傷が残る。その心の傷が癒されないまま時がたった時に、問題は解決されていると納得できれば、被害者は心の傷を自分で癒すことになる。
しかし、加害者から謝罪も無ければ被害者をないがしろにして時が経過した場合には、被害者は心の傷を自分で癒しようがないのである。このような場合、社会がそれを認め問題解決しない限り、被害者は訴え続けることになる。
このような問題で次から次へ被害者が現れるのはそのためである。ジャニーズ問題でいわれたように、社会が被害者を否定してはいけないのだ。社会がまず被害者を被害者として認め扱わなければ、二次被害を生み出し問題を複雑化する。
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来月2月14日と21日に下記セミナーを行います。時間帯は10:00-16:00です。途中昼休みが入ります。
技術開発において、現象を科学の方法でとらえることが20世紀に重要視されたが、21世紀となってもすべての現象を形式知で記述できるわけではない。そこでAIとビッグデータを活用し、回帰や予測、分類による特徴抽出を行おうという研究、マテリアルズインフォマティクスが2010年代に盛んになり、2017年にはアカデミアでデータサイエンスの講座設置ブームが起きている。
ところで現象を数理モデルで把握し問題解決を図る方法は、厳密な意味で科学の方法ではない。例えば、レオロジーの問題をダッシュポットとバネのモデルで解こうとする研究が1980年まで活発に研究されたが、この方法では緩和現象を説明できなかったので学会で議論されなくなった。
しかし、非科学的であっても現象の振る舞いを何らかの数理モデルを用いて考察する方法は、科学で未解明な現象に潜む問題についてモデルベースで対策方法の予測ができ、技術開発スピードを加速させる。
本セミナーでは、絶縁体高分子に導電性微粒子を分散した時に生じるパーコレーション転移を取り上げ、その閾値における大きなばらつき現象を独自のモデル化によるプログラムでシミュレーションを行い、配合設計における問題を解決した事例を紹介する。そしてこのモデルで用いたプログラミング過程を解説し、データサイエンス分野で今後も主流となるプログラミング言語Pythonの学習を行う。
プログラミング言語の学び方として、すでに開発されたプログラムを基にスキルを身に着ける方法は、実戦的であるとともに効率が良い。
また、導電性薄膜のインピーダンスが低周波領域で異常分散する現象について、同様に数理モデルによる解析を行い、パーコレーションと関係していることが示され、新しい帯電防止層の評価技術を開発した事例も紹介する。この評価技術は非科学的であるにもかかわらず、開発成果のロバストを示すパラメータとなった。この事例からモデルベース開発手法について理解でき、コンピューターによる問題解決でPythonの活用法を学べる。
なお、本セミナーで使用するプログラムのエンジン部分について参加者には事前に無料配布し、今後もデータサイエンスにおける中心的言語と位置付けられたPythonの初歩を解説する。
<費用>
テキスト及びプログラミングコード付参加費用:3万円(税込)
別途質問専用枠オプション付:5万円(税込)
<目次>
1.シミュレーションによる問題解決事例
1.1.シミュレーションの役割
1.2.パーコレーション転移
1.3.事例:酸化スズゾルを用いた帯電防止層
A.何が問題だったのか
B.シミュレーションで分かったこと
C.数値シミュレーションとコンピューターモデル実験
1.4.事例:半導体無端ベルトの押出成形
A.科学と技術
B.Wパーコレーション転移制御
2.プログラミング言語概論
2.1.コンピューターの仕組みとプログラミング言語
2.2.プログラミング言語の歴史
2.3.オブジェクト指向の考え方
2.4.Python概論
3.パーコレーション転移シミュレーションプログラム作成
3.1.変数と組み込み型
3.2.条件分岐とループ
3.3.関数
3.4.ファイル処理
3.5.クラスとオブジェクト指向開発
3.6.まとめ:パーコレーション転移シミュレーションプログラム
4.まとめ:Pythonによるプログラミング
お申込みを希望される方は下記フォームから希望する日付を入力してください。
送信時に不具合等が起きる場合はinfo@kensyu323.comまでご連絡ください。
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ロール混練ではカオス混合が起きているという。数㎜の間隔で表面が平滑な二本のロールが対向で回転しているところへゴムを投入すると早い回転のロールにゴムが巻き付き、混練が進行する。
初めてロール混練を体験した時にこの様子に感動している。指導社員は天然ゴムだけ混練されているところへ数粒カーボンを添加し、それがあっという間に分散して真っ黒に変わる現象を前に、伸長流動とリップで起きている剪断流動をよく観察するように言われた。
見るとロールの下に手鏡が置かれ、ロールの真下の様子を観察できるように用意されていた。指導社員がロールで起きている天然ゴムの流動を当方に説明するために手鏡だけでなく、数種類のカーボンまでTEM写真とともに用意されていた。
カーボンのストラクチャーによりカーボンの分散状態が微妙に変化した。そして、疑問に思ったらこの実験をやるようにとのアドバイスをされたのである。
レオロジーの難しい理論ではなく、実際の現象で観察することにより、混練の機構を学ぶ方法を指導してくれた指導社員は、大学院でレオロジーを研究し、ダッシュポットとバネのモデルから導かれた常微分方程式を関数電卓で解くような技術者だった。
餅つきやパイ生地練り、ロール混練で発生している効率の良い練り、カオス混合についても研究されていた。そして、当時イノベーションが起きていた二軸混練機でカオス混合ができるようにするのが当方の宿題となった。
ただ、指導社員と出会って3か月で職場異動となる。宿題はしばらくペンディングとなり、リアクティブブレンドのプロセシングを学ばなければいけなくなった。高速剪断のこの世界はロール混練とは異なり、剪断流動でナノオーダーの混合が進行するとんでもない世界だった。
それから25年経ってカオス混合の宿題を仕上げなければいけない事態になった。2005年8月に単身赴任し、PPS/6ナイロン/カーボンというシンプルな配合で歩留まりが10%前後で低迷していた半導体無端ベルトの押出成形を半年間で歩留まり100%にしなければいけないテーマを担当したのである。
日本のトップメーカーのコンパウンドだから必ずできると言われ前任者から引き継いだのだが、そのトップメーカーの技術サービスから「素人は黙っとれ、勝手に自分で工場を作ってコンパウンドを製造してみろ」と言われた。
仕方が無いので、中古機を集め子会社の敷地を間借りして粗末な建屋の中に先端のカオス混合ラインを3か月で立ち上げた。このラインから製造されたコンパウンドで半導体無端ベルトの押出成形歩留まりは100%となった。
ただし、押出成形プロセス条件を従来の条件から何も変更していない。押出成形は「行ってこい、の世界だから」というゴム会社で実習した時の現場の職長(ゴムの押出成形を40年担当していた)から教えられた教訓を守っただけである。
これは実話である。この時行ったパーコレーションの制御技術を題材にパーコレーション転移プログラムを作成しながら学ぶPythonセミナーを2月に行います。明日目次と日程を公開します。1/26に申し込まれますとプログラム付5000円で参加できるだけでなく、2月のご希望の日を指定できます。お問い合わせください。
お申込みを希望される方は下記フォームから希望する日付を入力してください。
送信時に不具合等が起きる場合はinfo@kensyu323.comまでご連絡ください。
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