バブル崩壊直前に「不確実性の時代」や「第三の波」など新たな時代の到来を予言する書籍がベストセラーとなっている。そして資本主義社会における知識労働者の出現を論じたドラッカーは、「誰も見たことの無い社会が始まる」と遺作で述べて亡くなっている。
50年以上前に電卓が登場し驚いた記憶が今でも鮮明に残っている。そして、そこに搭載された小さなマイコンが、この40年間におけるイノベーションの主役であることを誰もが認める時代になった。
当方は新入社員の時にIBM3033というメインフレームコンピューターと出会い、業務でデータサイエンスの可能性について研究を始めている。
ところがコンピューターの使用料は各部門に使用時間に応じて配賦されるので、同僚からハラスメントを受けるようになった。さらに、直属上司から命じられて、乗用車一台分に相当するローンを組みMZ80Kを中心にしたコンピューターシステムを購入する事態にまで至っている。
ただし、それは「花王のOAパソコン革命」というベストセラーの影響で、研究所内にOA委員会が設置され、業務を推進するためにパソコンが必要となったことがきっかけだった。
上司がOA委員長であり研究所にパソコンを購入する予算が無かったため、このような異常な事態になったのだが、初任給10万円の時代に、新入社員へ80万円のローンを組ませて仕事を命じる問題をY本部長も含め誰も気がつかないような時代だった。
なぜならベストセラーとなったその本には、10数万で購入できるパソコンでOAができる、と書いてあったため、1か月分の給与程度で購入できると誤解されていたからである。
当方は誤解を正すために、ローンの保証人を上司にお願いしているが、上司は、購入リストを確認しあっさりと押印したので、購入せざるをえなかった。10数万円で購入できたのは、CPUの搭載されたキーボードだけであることなど誰も知らず、当方が趣味で購入すると誤解された可能性がある。
プリンターやフロッピーディスクドライブなどの周辺機器は本体よりも高く、それらを揃えて初めて業務に使用できるシステムとなることを上司に説明しても、ベストセラーにはそのようなことは書かれていないと一蹴されたのである。
また、10数万円でOA革命ができるというウソの情報をまき散らしても、その社会的責任を問われないどころか、称賛されたような社会背景もある。
TVではこの著者とその会社が取り上げられ、ホワイトカラーのOAとして大々的に報じられたのでご存知の方もいるのではないか。その陰で悲惨な目にあっていたサラリーマンに同情してくれたのは友人だけだった。当方は第3の波の被災者となった。
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PPSへ可塑剤や他のポリマーを分散すると、その添加量に応じてTgが変化する。例えば6ナイロンを添加すると、6ナイロンのTgは上がり、PPSのTgは下がる。
すなわち、ポリマーの場合には2種類のTgが観測され、カオス混合により両者は相溶して一つのTgとなるのだが、PPSのTgは相溶により10℃前後下がる。
相溶は、非晶質相だけで起きるので、Tgが下がる欠点はあるが、PPSの靭性改善には良い方法であり、例えばPPSフィルムの場合に6ナイロンがただ添加されただけの場合のMITは3000前後であるが、これが6ナイロンの相溶したフィルムでは20000以上に改善される。
脆いと言われるPPSだが、ここまでMITが改善されると高速プリンターの動的部品である中間転写ベルトへ利用できるようになる。
PPSの改善効果を狙って退職後ナノポリスで研究をしているのだが、このTgを下げないで物性改善できる添加剤を10年ほど前に開発している。
低分子の添加では、低分子のTgは観察されないので、低分子の添加によりPPSのTgが下がる現象だけが観察される。しかし、10年前に開発されたPH01の添加では、なんとPH01の添加量を増やしてもPPSのTgは変化しない。
すなわちPPSの耐熱性を阻害しないで、その靭性を改善できる添加剤である。PH01は低分子ではないが、このような物性を分子設計されたオリゴマーである。詳細は弊社へ問い合わせていただきたいが、興味深いのは力学物性以外の改善効果もナノポリスから最近報告された。
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2010年から続いている第三次AIブームは10年以上経過してもホットな状態である。これまでの第一次AIブームと第二次AIブームとの違いであり、これがDXの効果と言ってしまえば簡単である。
重要なことは、実務の問題解決にコンピューターを使うことが常識となったことで、データサイエンスの知識は、エクセルを使いこなすのと同様に特別な方法ではなくなった。
当方は50年近くデータサイエンスを実務に応用する努力を続けてきたが、40年ほど前からそれは自然な問題解決動作となった。その結果、科学的な方法ではないという理由で研究所のメンバーからデータFDにいたずらされるなど壮絶なハラスメントを受け、転職している。
かつて、コンピュータリテラシーが低かった時代には、コンピューターで問題解決することは、コンピューターの専門家以外やってはいけない行為だった。
しかし、今はコンピューターで実務の問題解決を行い、業務の効率アップを図ることは常識となった。アカデミアさえもマテリアルズインフォマティクスをこのAIブームで積極的にPRし、非科学的方法を推進している。
データサイエンスを研究することはサイエンスであるが、実務にデータサイエンスを適用し問題解決するロジックは、厳密にいえば非科学的となることに注意したい。
しかし、これで科学で解決できない問題を解決できるのだから、トランスサイエンスの時代には非科学的方法だから、と拒否していてはいけない。
必要に応じデータサイエンスで問題解決後、現象を科学的に解析すればよい。タグチメソッドを含めデータサイエンスの導入に悩まれている方は弊社にご相談ください。
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昨日微妙なニュースが飛び込んできた。当方はコロナ禍前の2019年までナノポリスへ出かけては、学生やローカルメーカーの指導をしてきたが、その中に1社PPSコンパウンドを事業としている会社があった。
そこの総経理から中国EVメーカーが使用するPPSコンパウンドについて、全EVメーカーへのPPSコンパウンド納入に成功したという連絡が入った。すなわち中国のEVメーカーで生産される製品に使用されるPPS部品は、当方が指導した会社のコンパウンドになったという。
理由は、世界のどのメーカーよりも高品質だからだそうだ。タグチメソッドを導入し開発したのだからロバストが高いのは当然だが、他社では実現できない品質が達成されている、と自慢していた。
特にMAO処理では、高い品質効果が確認されているという。これは今連載で説明しているが、カオス混合の寄与が高いと思っている。
そのほかに、データサイエンスで解析して得たある知見をコンパウンディングに用いているが、これは科学では説明できない現象(注)を活用している。
科学を重視というよりも科学パラノイアに近い技術者には理解しがたい技術でコンパウンドを生産しているので、他社ではリバースエンジニアリングが難しい。
いろいろ感謝された後、10月に来てほしいと言われたが、現在の日中関係を思い、回答を差し控えた。ナノポリスで指導していた技術については、当方の著書にすべて書いてあり、日本で公開済みであるが、著書の売り上げは芳しくない。弊社へご注文いただければ、送料サービスでお送りいたします。
また、タグチメソッドはじめデータサイエンスについては、セミナー活動を通じ、当方のノウハウを公開している。中国や台湾でもセミナーをたまに実施しているが、集客は日本と比較にならないほど盛況で悩ましい問題だと思っている。
日本でも当方のセミナーに多くの人に参加していただきたいと願っている。今週末の難燃化技術セミナーでも50年近くのノウハウとこの10年の成果やデータサイエンスを用いた開発事例を公開する。また、ディープラーニングについても入門程度の解説を行い、難燃化技術とマテリアルズインフォマティクスについて理解できるよう準備してる。
(注)ほとんどの混練技術に関する形式知の説明では、分配混合と分散混合の概念が用いられている。この概念では理解できない現象が混練で起きている。
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PPSは結晶化しやすい樹脂で、力学物性に影響が出るほど球晶が大きくなる。例えば力学物性測定用に射出成形されたPPSを200℃で1時間ほど放置すると、引張強度は低下する。
これをPPSの劣化と勘違いしてはいけない。球晶が成長したために靭性が低下し、強度が低下したのである。再度粉砕して射出成形すれば強度は復活するのでPPSの分子が断裂したわけではない。
PH01という新たなPPS添加剤を開発した。この添加剤は、カオス混合によりPPSに相溶するが、二軸混練機だけで混練したのでは相溶しない。
PH01を7%添加したPPSをカオス混合しコンパウンドAを製造した。このAを射出成形し、200℃1時間放置しても強度低下しない。6時間放置しても強度はそのままである。
ところが、PH01を同様の添加率で通常の二軸混練機だけで製造したコンパウンドBでは、200℃1時間の放置で強度低下する射出成型体しかできない。
AとBを化学分析しただけでは、その差異は不明である。すなわちリバースエンジニアリングで解明できない射出成形体を製造できる技術ができたのである。
これは中国ナノポリスで行った研究の成果で国内の某社で実用化されている。特許も出願されているので興味のあるかたは確認していただきたい。もちろん弊社へ問い合わせていただいても構わない。
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データサイエンスを技術開発に導入するとどのようなご利益があるのか、40年以上前にはよくわかっていなかった。
技術開発を科学で進めることが常識の時代に、仮説も設定せずに集められたデータからどのような真実を見出すことができるのか懐疑的であっただけでなく、そのようなことを考えることさえ非科学的とされた。
研究は科学の方法で行うことが唯一の時代で、あみだくじ方式など行えば壮絶なハラスメントに晒された。21世紀になり、あみだくじ方式でノーベル賞を受賞した研究者が現れたので、データサイエンスを技術開発に導入しても許されると思っていたら、マテリアルズインフォマティクスのブームとなった。
さて、データサイエンスを技術開発に導入すると、どのような御利益があるのか。まず第一に問題解決のヒントを得るまでのスピードが速くなる。これは、電気粘性流体の耐久性問題について一晩でヒントがえられるとともに問題解決できた事例で理解できる。
博士2名を含む頭脳集団が解決不可能と1年かけて科学的に完璧な否定証明を完成させた問題について、たった一晩でその結論をひっくり返すぐらいの破壊力があった。
この事例では、二番目の御利益として科学的に見通せない問題についても解決の道筋のヒントを与えてくれることを示している。ただし、この時の見通しは決して科学的ではないので、別途科学的な証明が求められる。
科学にこだわらなければ、データサイエンスで見通せたヒントを基に技術開発を行えばよい。それで大成功したのが中間転写ベルト用半導体無端ベルトの技術開発である。
おそらくこの技術を科学で証明することは難しいだろう。しかし、データサイエンスで得られたこの技術は18年経った今でも立派に生産技術として稼働している。
3つ目の御利益として経験知の伝承を数理モデルを使って行うことが可能となる。科学の形式知であれば技術の伝承は容易である。しかし、AIの普及でこの形式知の伝承にあまり価値が無くなってきて、経験知の伝承に注目が集まっている。詳細は弊社に御相談ください。
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この10年第3次AIブームで、日本のアカデミアではマテリアルズインフォマティクスが流行している。しかし、これは科学としてはキワモノで、40年以上前は忌み嫌われた手法だった。
しかし当方はその手法の将来性、すなわちコンピューターが普及し誰でもそれを問題解決に利用する時代になると期待した。
すなわち50年近くマテリアルズインフォマティクスを研究に用いてきたわけだが、データで考える、という意味をよく理解していない人が多いことに早くから気がついた。
当方が転職する原因となった電気粘性流体の耐久性問題では、優秀なスタッフが1年かけて否定証明を展開している。彼らは、まさにデータをもとに否定証明を展開していたわけだが、それらのデータは仮説に基づき集められたものだ。
ところがデータサイエンスで問題解決する時のデータは、このような仮説に基づき集められたデータでなくてもよい。すなわち、何か現象から取り出されたデータがあればそれらを学習機械にかけて問題解決のヒントを得ることができる。
当方は40年近く前に、電気粘性流体の耐久性問題について、界面活性剤のカタログデータをMZ80Kに打ち込み、データサイエンスで処理して解決策を見出し、一晩でこの問題を解決している。
この時のデータは、当方の実験データでもなければ、誰かが仮説に基づき集めたデータでもない、公知のカタログデータである。
それを用いてデータサイエンスにより結論を出したことが非科学的だと電気粘性流体のリーダーから非難され、非難されただけでなく、その後壮絶なハラスメントを受けることになった。
それを隠蔽化する方針が研究所で出されたので、命を惜しみ転職している(注)。データサイエンスで問題解決することが命がけであった時代である。
データで考える、という時のデータは、科学の世界では仮説に基づくデータとなるが、仮説によらない現象を記述したデータを用いて考えても問題解決できるが、これは非科学的方法となる。
ところが非科学的方法ではあるが、データサイエンスを活用してデータで考えることが、コンピューターの普及で当たり前の時代になったのである。
今コンピューターリテラシーが進歩したので、データサイエンスで問題解決してもハラスメントを受けるようなことはないと思う。
ただし、そのためにはデータ処理方法の科学的知識が求められる。知識は科学的であるが、知識を活用する過程が非科学となるのがマテリアルズインフォマティクスである。しかし、今やこれも科学と呼ぶ時代になった。哲学者イムレラカトシュは科学と非科学の境界は時代ともともに変わると指摘しているとおりだ。
(注)当時このテーマに関わった3人の若手研究者が次々と退職している。転職後それぞれと面会しドラマが展開するのだが、企業内の悪人に対してそれが刑事事件となるような問題でも隠蔽化されれば被害者は常にハラスメントにさらされることになる。ゆえに自殺するサラリーマンが出てくる背景になっているのだが、命だけは大切にしたい。それに耐えれば出世できる、とアドバイスしてくれた人がいるが、ナイフが机に刺さっていたりしたら命の心配をする。インターネットを調べていただければ、その後の壮絶な事件が出てくるが。
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PPSと6ナイロンはカオス混合により相溶する。これはフローリー・ハギンズ理論から説明できない現象であるが混練技術を工夫すれば起きるのである。
この実験のヒントは、東工大で行われたPPSと4,6ナイロンの相溶現象におけるその場観察である。すなわち、PPSと4,6ナイロンを二枚のガラス円板に挟み、それぞれ反対方向に回転させて剪断流動を発生する。
300℃近くになると円板の周辺部分が透明になってくる現象が観察された。すなわち、温度と剪断力でPPSと4,6ナイロンが相溶することを世界で初めて実証した扇沢グループの実験である。
この研究があまり注目されていないのはもったいないことである。この研究成果を思考実験により展開するとカオス混合装置が生まれる。そして4,6ナイロン以外のナイロンでも相溶するのではないかという妄想が生まれる。
この妄想が目の前で起きると感動に変わるが、当方の部下は当方を信じていなかったので腰を抜かした。当方は妄想で十分に理解していたので感動しただけであるが、彼はキャという悲鳴とともに腰を抜かしたのである。
PPSと6ナイロンの混練されて透明な樹脂液として二軸混練機の吐出口から流れている光景は、それくらい驚くべき光景なのだが、フローリー・ハギンズ理論の問題を理解しておれば感動の光景となる。
6ナイロン以外に12ナイロンとか数種類ナイロンをPPSとともに混練したがいずれも透明な樹脂液となった。面白いのはこの後である。
ストランドとして回収したサンプルを机の中に保管し、在職中こっそりと眺めるのが楽しみとなったが、5年ほど透明だった。2011年3月11日に最終講演が15時から予定されていたのでサンプルを準備していたが、ぐらっと来た。
その後忘れていたが、ストランドとして回収後のサンプルを数年後に見つけたら真っ白くなっていた。すなわち少しずつスピノーダル分解し、白くなったのである。白濁したが、ストランドの柔軟性は失われていなかった。これには腰を抜かしそうになった。
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この10年、マテリアルズインフォマティクスのブームだったが、相関関係による回帰が主に利用された手法ではないだろうか。データ駆動により見出された数式なり学習機械を用いて得られる回帰と分類の効果が、データサイエンスにより現象の理解に貢献する,というのがマテリアルズインフォマティクスである。
その中で線形回帰は、データサイエンスを意識せず昔から使われてきた手法であるが、せっかくこの10年データサイエンスを意識したので、もう一度基礎から見直していただきたい。
ポリマーアロイの設計においても線形回帰は、エクセルのソルバーで簡単に活用でき、新素材開発に貢献するので、その正しい意味をよく理解しておきたい。
y=ax+bは小学校の算数でも出てきそうな式であるが、あまりにも簡単ゆえに甘く見ている人が多い。線形回帰ではbに誤差項が含まれてくるのだが、2つの意味がある。
一つは誤差を認めたうえで、yを予測するための式、という意味であり、他の一つはyとxにはあらかじめ式で示された形式知に基づく関係があり、何らかの影響で誤差が発生している、という意味である。
前者と後者は同じことを言っているのではないかとか、前者と後者の意味の違いがよく分からない、と言ってはいけない。よく読み返していただきたい。
前者では、単なる誤差を含んだ予測を行うための式でしかないが、後者ではyとxの間に科学の形式知で保証された関係があるので、誤差項には、深く解析すると意味のある何らかの情報が含まれている、と踏み込んでyとxの関係を述べている。
すなわち、前者における誤差項は測定ばらつきなどの統計的に純粋な誤差であり、その誤差を解析してみても何ら現象に秘められた情報を取りだすことができないが、後者では誤差を考察することにより、単なる統計ばらつき以外の情報が見えてくる。
線形回帰で残渣分析を行う必要があるのはこのためであり、現象に隠れた何らかの情報が誤差に含まれていないか考察する習慣を身に着けたい。
来週開催される難燃化技術セミナーでは事例をもとにこのあたりを説明するので興味のあるかたは弊社へ問い合わせていただきたい。
50年近く前からマテリアルズインフォマティクスを実践し、それが原因でFDを壊されるような嫌がらせを受け、それを組織が隠蔽化するというので命が惜しくて転職している。マテリアルズインフォマティクスは半世紀ほど前には非科学として嫌われた手法である。
企業内の事件であり、なかなかすべてを表に出せないので、マテリアルズインフォマティクスと科学の微妙な関係について詳しく書けないが、昔はその手法を忌嫌う「科学こそ命」な研究者が多かった。
仮説ではなく学習機械で問題解決する方法は50年近く前から行われていた。来週のセミナーではその証拠もご披露する。それだけではない。最近のAIの手法についてプログラムを組み実験を行った結果との比較も交えて、「ある手法」の優位性を解説する。
「ある手法」とは、アレである。ただしここでは阪神の優勝の意味ではない、50年以上前から知られているアレである。アレとAIとの比較は、珍しい発表だと思っているので問い合わせていただきたい。アレのほうが使い方によりAIより便利である。
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同一配合で異なる物性のコンパウンドをプロセス設計により作り分ける、これができない技術者は新材料開発能力が低い、と言わざるを得ない。
また、配合と物性は1:1に対応すべき、と某国家プロジェクトの目標に書かれていたようなことを信じている技術者はもっと材料技術について勉強すべきである。
PPS/6ナイロン/カーボンを二軸混練機で常識的な混練をしている限り、押出成形で半導体ベルトの歩留まりが100%となるコンパウンドを製造することは不可能である。
力学物性を犠牲にすれば、二軸混練機を二回用いることで、電気抵抗の安定したコンパウンドを製造可能である。例えば6ナイロン相にカーボンを分散し、それをPPSと混練すると得られる。
しかし、カーボンの分散したナイロン相のドメインが硬いので、そのようなコンパウンドで製造した無端ベルトは紙のような靭性のベルトとなる。
力学物性も電気物性も両方目標物性を満たしたコンパウンドを製造するためには、現在のところカオス混合しかない。すなわち、カーボンの凝集相が6ナイロンの相溶したPPSに分散した高次構造を有するコンパウンドなら電気物性も力学物性もその品質が良好な半導体無端ベルトを押出成形できるようになる。
ただし、PPSと6ナイロンのχは大きいので、これはフローリー・ハギンズの理論に反する、と考えた方は優秀である。カオス混合は、科学の形式知に反するような現象が発生するトランスサイエンスの混練方法である。
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